第3話 オリンピア
伝令神ヘルメスが海洋の全てを支配する神ポセイドンをいさめる。
「相手はハデス様、やっぱり無理なんじゃ‥‥‥」
粗野で狂暴な性格のポセイドンが恐れるものはなにもない。
「例え、試合の相手がハデスあろうとは余は容赦せん」
ポセイドンは海色のマントをリングの外へ投げ捨てる。
ポセイドンの老いてはいるが筋骨隆々の身体があらわになる。
ポセイドンの全裸を見たヘルメスが叫び声をあげる。
泉の女神クレーネーが兄ポセイドンを応援する。
ポセイドンがリングに立つと全裸になった冥界の王ハデスがいた。
ハデスは試合中に眼鏡が壊れるのが嫌で外したらしい。
ポセイドンはハデスの脱ぎ捨てた闇色のマントを見つめる。
「ポセイドン、来ると思っていた‥‥‥」
「抜かせ、ハデス」
ハデスの老いてはいるが鍛えられた身体をモニカはまじまじと見つめる。
「クレーネー様、あれがハデス様ですか?」
「そうよ。ギリシャの神々でも型物と噂のハデス兄様よ」
全裸のポセイドンとハデスが互いを睨む。
「ポセイドン、ティーターノマキアー以来だな」
「全身全霊でお前の全てを受け止めよう」
ポセイドンの蹴りがハデスの腹に叩き込まれる。
ハデスは左足でポセイドンの右肩に蹴りを入れる。
「ハデス、運動不足の癖に力が強いな」
「余がワーカーホリックだというイメージを覆すためだ」
ポセイドンはまだまだだと言って今度はハデスの左脛を殴る。
ハデスはポセイドンの腹に蹴りを入れた。
「ハデス、年寄りのくせにいいケツを見せやがって‥‥‥」
「ポセイドン、お前も年寄りだ。無理するなよ」
闘い合うポセイドンとハデスを見て美の女神アフロディーテがクレーネーとモニカにひそひそと話す。
「ポセイドン様もハデス様も本気のようね。ゼウス様とタイマンしたポセイドン様が‥‥‥」
ポセイドンとハデスは全裸のままで闘っている。
「トライデントなしで挑むとはそれでも海の神か!」
「そっちこそ、バイデントなしで戦うとはそれでも冥界の王か!」
クレーネーは争う兄たちを見て審判をヘルメスに任せた。
モニカはやれやれと思いながらクレーネーと話した。
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