第2話 蓮の花
モニカ=ミツォタキスは姉の友人であるペチュニアと話していた。
少女モニカは幼い頃から神に仕えるための巫女としての受けていたので、泉の女神クレーネーとも親しい。
ペチュニアは祖母と二人暮らしだが、何不自由なく過ごしている。
「クレーネー様が言ってたアスクレピオスについてだけど‥‥‥」
ペチュニアは神の怒りを買った医者についてモニカに訊く。
「アスクレピオスはハデス様の逆鱗に触れて、ゼウス様に殺されたけど‥‥‥神様になったとクレーネー様が言ってた」
「モニカ、そんな経緯があったなんて‥‥‥!」
「クレーネー様から聞いたんじゃ?」
「ボッーとしてて忘れてたのよね、私」
クレーネーは知っていた。兄たちが人間をあまり好ましく思っていないことを。
「冥界のは元気にしてるか?タナトス〜」
冥府に訪れたモニカの男友達のケイスが中年の死神に訊く。
厄介だ。この男さえいなければよかったのに、とタナトスは思った。
「冥界とは本来、死者が訪れる場所。ケルベロスにおやつでも与えてこちらに来たんでしょうが…………」
「お前がハデスのご機嫌取りなのは分かってんだ。オレの姉さんはいないか?」
「いませんよ。ハデス様の許可なくこちらに来るのがおかしい」
ケイスの姉は一度だけ冥界に迷い込んだことがある。
「厄介な人間どもを追い払え」
冥府の王ハデスは苛立ちを見せながらタナトスに告げた。
「はい。私にお任せください」
「不老不死だとか不老は余の管轄下では無理だ。そういった連中こそ扱いに困る」
「不老不死?始皇帝かギルガメッシュあたりでも来たんですか?」
「知らん。タナトス、仕事しろ」
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