転生巫女は語る

カナンc

第1話 始まり


泉の女神であるクレーネー様はそれはそれは美しい女神様でして、私も彼女に仕えています。クレーネー様は女神なので私達人間よりも長い間生きてらっしゃるので過去の出来事に詳しいのですごいなと私も思いました。

クレーネー様は見た目が若くて美しいので人間の男性達からもよくプロポーズされます。

クレーネー様には兄が3人もいらっしゃるのですよ。

神々の王であるゼウス様、海を統べるポセイドン様、冥府を統べるハデス様。

3柱はクレーネー様の話では年老いているのですが、どちらも神としての風格が備わっています。ゼウス様とポセイドン様は女性好きですが、ハデス様はこの2柱とは全く違われてるんだとか。クレーネー様の見た目が何故、若いままなのかはゼウス様達のお父様であるお方にのまれた際に時間が止まったままの状態で救出されたそうです。

クレーネー様は兄であるゼウス様やポセイドン様をあまり尊敬してません。


クレーネーは兄であるゼウスに呼ばれた。

全知全能であるゼウスは好色家の老人であるが、宇宙や天候を支配する天空神であり、人類と神々双方の秩序を守護・支配する神々の王である。兄であるポセイドンやハデスでさえもゼウスには逆らえないのである。

「クレーネー、ゼウスが何を言おうが無視しろ」

筋骨隆々で右手に矛を持つこの年老いた男の神はポセイドン。

「ポセイドン兄様、ゼウス兄様がお元気かと」

「余は元気だが、ハデスは?」

「ハデス兄様もこちらにいらしてるの?」

ポセイドンとクレーネーは兄である冥界の王ハデスの姿が見当たらないので神殿中を探す。

「ポセイドン、クレーネー、待ったか?」

頭に王冠を被り、眼鏡を掛けた年老いた男の神の名はハデス。

冥界を統べるハデスはあまり他の神や人間に姿を見せない。

ハデス兄様のレアな姿ね、とクレーネーは一瞬だけ笑った。

「余を待たせておきながら知らんふりとはゼウスもゼウスだ」

ハデスは怒っていた。血の気が荒いポセイドンが怒ると誰も手に負えないが、ハデスは静かにキレるタイプの神なのだ、とヘルメスが言っていたのをクレーネーは思い出す。

「ポセイドン、ハデス。なにを怒ってるのだ?今日は祝宴だ。余も楽しんでおる」

マイペースな男の神の名はゼウス。

「冥府にいてザクロ酒でも呑めばよかったわ」

ハデスは苛立ちを隠せずにゼウスを睨む。

「付き合いが悪いとお前の株が下がるぞ、ハデス」

「ゼウス兄様、それは言い過ぎかと」

「クレーネー、もうよい。ゼウスとはこんな神なのだ」

クレーネーはハデスのほうへに向き直る。ハデスに冗談は通じない。どこか堅い人だな、とヘルメスやゼウスも呆れていたが、ハデスは良識的な神である。

「ハデス、この酒は美味だな。クレーネーも呑むか?」

ポセイドンは果実酒を呑みながらハデスとクレーネーにも酒を勧めた。


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