・知恵のピザパンを作ろう - 小さな大魔法使い! -
「お姉ちゃんっ、このパン美味しかったのです!」
「わっ?!」
けど食べ終わると、フィーちゃんとあたしの頭の上からあの不思議な音色がほぼ同時に響き渡った!
でもそれが聞こえているのはあたしだけで、フィーちゃんは驚くあたしを不思議そうに見ていた。
新しい魔法のひらめきとコツが頭に浮かんだ。
それはフィーちゃんも同じだった。
遅れて同じように何かをひらめいて跳ねていた。
「ピコーンッ!! おねーちゃんおねーちゃんっ、なんかなんかっ、思い付いちゃったのですよーっ! 急に頭に新しい魔法が浮かんで……今やってみていいですかーっ!?」
「もちろん!」
あたしも新しい魔法の手応えを感じていた。
これはきっと、何度練習しても使えなかった回復の魔法だ。
それともう1つ、変なイメージが頭の中にある。
「おねーちゃんっ! な、なんか、なんか……しゅ、しゅごいやつ、くるです……っっ!! といやーっっ!!」
フィーちゃんが両手を空に掲げた!
するとなんだか、急に涼しくなってきたような感じがして、あたしたちは空を見上げた。
なんか、空に雪雲みたいなのが浮かんでいる……。
そしてそこから――ヒュンッて何かが鋭い音を上げで降ってきた!
「はっ、はわわわわぁぁっっ?!!」
「キャァァーッッ、こ、こっ、こっ、氷の槍ぃぃーっっ?!」
それは長細い
塔の頂上に落ちるとパリンと砕けて、置かれていた木箱にそれが落ちるとタンッと突き刺さった!
当たったら、死んじゃう!!
「逃げるよ、フィーちゃんっっ!! えっと、こうだっ!!」
「は、はわぁぁーっっ?!!」
幸運だったのは、あたしの覚えたもう1つの魔法がそういう術だったこと。
きっとこれはこういう時に使う魔法なんだとあたしはひらめいて、フィーちゃんを胸に抱き込んで術を発動させた。
「リターンッッ!!」
世界が消えた! いや、切り替わった!
塔の頂上にいたあたしたちは、塔の1階の入り口に一瞬で移動してた!
「ヒェヒェヒェ……本当にけったいなパンだねぇ~! まさか、フィーが広範囲・無差別攻撃魔法アイスレインを覚えるなんて、凄いじゃないかい!」
「お、お師匠様、ごめんなさいでしゅ……。あ、危ない魔法だったのです……っ」
「何を謝ってるんだい? メガーテとキュアとファイアしか使えなかったアンタが、やっと使える魔法を覚えたんじゃないかい」
「へ、へへへ……で、でも、こ、この魔法……怖いのですよぉ……!?」
確かに……。
使った本人も串刺しになっちゃいそうな凄く怖い魔法だ……。
あたしならもう二度と使いたくない……。
「仲間はともかく、自分には刺さらないはずだよ」
「ちょっと、仲間には刺さるってことじゃないですか、それーっ?!」
「ヒェェェーッッ、やっぱり怖い魔法なのですよーっ!!」
「ヒェッヒェッヒェッ、自爆魔法を最初に覚えた弟子には、お似合いの術だとあたしゃ思うよぉ~!」
外を見ると、空が晴れていた。
塔の周囲はあの長い氷柱が地面の辺りそこら中にに突き刺さっている。
あたしとフィーちゃんはそれを見て、また青ざめた。
「お、おねえちゃんっ、さっきのピザパンッ、もう1個食べるですっ! おねえちゃんのパンには、魔法の力があると思うですよっ!」
「それは……気のせいじゃないかな……」
「とにかく食べてやり直すです! ソフィーは、も、もっと平和な魔法が使いたいですよーっ!」
そうは言うけど、あれは1枚でもたっぷりボリュームだ。
果たして2枚目のピザパンは、フィーちゃんのお腹に入りきるのだろうか。
うん。
それでもフィーちゃんはやる気だった。
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