第6話 私は逃げない。

全ての話を聞き終えた時には顔面が洪水のようになっていた。

「あ、あなた七海はどうしたい?まだ女性とはバレていない。freedomのメンバーとして頑張るか…」

私はすぐに返事を返せないでいた。

社長のために続けたい気持ちはあるけど、

メンバーを騙しながらやるには申し訳ない、義足での私はどこまでできるか不安だったから。

「安心してお金は返さなくて大丈夫よ」

お金…すっかり忘れていた…

このお金は返すべきだ。

「性別を隠しながら関わるのは相手を騙しているようで私にはできません。だけど…」

と言い切る時にふと社長室のドアが開きfreedomのメンバー3人が入ってきた。

島崎くんが声に出して言った。

「綾瀬が男性ではないということは俺たち薄々わかっていました。3人で話し合い、やはり女性が男性として振りまうとは難しいと思います。だけど…最初で最後のライブを”4人”でしたいと言う決断をしました。」

社長は少し嬉しそうにわかったと言っていた。

その時の私の思考はえ??バレるようなことしてないけど…!?などと考えて話が入ってこなかった。

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