第3話 切断の真実

メンバーでの練習が始まる前。

私は慣れない義足でレッスン室ダンスの練習をした。

自分の足だった頃は俊敏に動けていたのに義足だと思うように動かすことが出来ない。

freedomのダンスは1つ1つの動きがキビキビして遅れてしまう。

それでもコケては立ち、コケては立ちの繰り返し。

そのコケている時にレッスン室のドアが開き、freedomの三人が入ってきた。

私は飛び上がったかのように急いで立ち上がり挨拶をした。

「お、おはようございます!」

一声もかえってこない。

由利くんは社長の前では歓迎な感じだったが、今は逆に邪魔とでも言っているかのオーラーを放っている。

由利くんは社長に反抗してもこちらの意見は通らないからわざわざ言っても無駄と思ったんだろう。

まあ、知らない奴が突然入ってきて仲良くしてって言われても困るだろうと思うけど、”仕事”としてはちゃんとして欲しいな。

今は3人と練習するよりも俊敏に動ける練習をした方がためになると思った私はレッスン室から出ることにした…


いつの間にか寝てしまったみたい?

目を開けると私は病室らしい場所でベットに横になっていた。視界には誰もいなかったが、看護師さんらしき人達がなにやら話しているのが聞こえる。

「入院してきた綾瀬さんだっけ?先天性無痛無汗症らしいよ?それで気づかずに潰瘍が酷くなって足を切断したとか…その疲れで倒れたとか?若いのにかわい…」

私は病室のドアを思いっきり開けて看護師さんの話を遮って、

「そ、その話本当ですか!?」

今の私の思考はすぐにでもパンクしような感じだった。

看護師さんは真っ青な顔していた。

恐らく医師よりも先に告知をしてしまったということに気づいて驚きを隠せていない状態だった。

看護師さんはすみませんと軽く頭を下げて逃げるようにしていなくなった。


私はどうしても真実を知りたく病院を抜け出し、事務所に向かった。

社長室に入り、社長に呼びかけた。

「社長!私は先天性無痛無汗症であり、それ気づかず潰瘍になって足を切断したんですね!?」

社長は黙り込んだまま涙を堪えている。

眼力とオーラーが強い社長がこの状態ということはこの話は本当なんだろう。

そうとは知らず私は社長を悪者にしていた。

足を切らなければどんどん悪化して命を落としていた可能性もあったと思うと自己管理不足で招いた自分が情けなく感じた。


これ以上迷惑になると思って「すいません」と言って社長室を出た。




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