王の居ぬ間に

@1987

第1話



だからお前との婚約は破棄だ!」

「承知いたしました。」

「その女は国外追放だ!連行しろ!」

やっとだ。これでもう…

「お待ちなさい。連行するのは皇子の方よ。」

「母上?!」

「婚姻の決定も、宮廷で役職を持つ者の追放も、あなたの権限外です。」「皇子を部屋に。皇子付きは全員、別室に集め個別に聞き取り。皇子には…第二王子付きと、私付き、武官二人付けて部屋で蟄居。連れて行きなさい。」

「そんな!母上!母上!私は悪くありません!嫌だ!やめろ!母上!」

「さて、この事態は予想されてい

ました。婚約破棄は息子の有責

で成立。皇子の地位を外れます。皇子婚約者の貴女の地位は変わりません。貴女の次の婚約者は…」

やめて!まだ続くの!

「ちょうど入ってきましたね。彼で

す。よくご存知でしょう?」

先輩!そんな!耐えられない!だめだそんな!

「??皇妃様?お呼びは貴女様でしたか。至急の御用と伺いましたが?」

「皇子が婚約者に冤罪をかけ、婚約破棄と国外追放を叫びました。猶予の余地はありません。次の皇子は貴方。王の沙汰です。仕事は増えますが貴方なら問題無いでしょう。引き継ぎは彼女から。前任の尻拭いも仕事のうちと心得なさい。大丈夫。あの子の浮気相手達の処断は私が終わらせておいてあげるわ。」

「…!ありがとうございます。承知いたしました。王のご帰還前に急ぎ取り掛かるべき事はございますか?」

「婚約者として、彼女との関係の再構築を優先なさい。」

!!

「承知いたしました。では、この場を失礼いたします。」「姫君、これからは我が姫君とお呼び出来ますね。どうぞお手を。庭を散策しながらお話をいたしましょう」

無理!彼の瞳を間近に見て堰が切れたように涙が溢れ出す。脚の力が抜け崩れ落ちかけ

いつもどおりに優しく微笑む彼の顔が初めて歪み慌てて私を抱きとめ

「やめて…触れないで…」

かろうじて絞り出した声に彼の体が固まる。

「これ以上貴方に優しくされて、その後冷たくされたらそんなの耐えられない!貴方の浮気相手なんて殺してしまいそう。貴方に婚約破棄なんてされたら死んでしまう。無理です。無理なんです。いっそもう私を殺してください。」


その後、慌てた皇妃様が人払いし、さらに私が爆発し彼が爆発し、…

いろいろ、いろいろあって

彼が王、私が皇妃に成りました。

はい今幸せです。




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