破天荒な天才4


 そいつの狂った才能は、まさに世界の敵とも思えるようなものだった。


 6才の頃に作った獣人制御装置では、人以外の生き物を配下にしていった。獣の体と頭脳を肥大化させて、獣人として統べるその凄まじい能力は、世界機構も何もかもすべてを滅ぼす力を生んだ。


 8才の頃に作った超次元世界破壊兵器は、あいつを核にすることで、誰にも滅ぼすことのできない存在になっていった。


 荒廃する世界、砂漠、塩の平原。あまり生き物が住めなくなった世界で俺はあいつにしがみつかれる。

『もう、嫌だ。もう、君を失いたくない』

 この世界はこいつと俺以外を失ってしまった。

 こいつを止めることが出来たのは、俺しかいなかったのに。

 だけど結局俺は、世界の敵になってしまったこいつを見捨てる事なんて出来なかったんだ。


 世界があいつを排除しようとする。

 世界の敵を倒すための、正義の使者なんてものを産み出そうとする。


 あいつを守る肉の壁になって、正義の使者の剣で貫かれる。


『なん……で……そんな……』

 溢れ出す血で言葉が出にくい。


 あぁ、本当にこいつはいつも泣き虫な俺の幼馴染みのままだ。


「お前は……何でもできる。だから……生きて……」


 そう呟くと俺は事切れた。



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