第17話 追跡・羽田空港編
日本国 東京都 大田区
羽田空港内
ビジネスジェット専用ゲート
17時55分頃
3人のワトソン重工役員が専用ゲートに着いた。
本来国際線の出入国用だが、ワトソン重工が金にものを言わせ、強引に利用していた。
「正直、こんな指示を実行したくない。」
待合室で山地部長は他の2人に話した。
「それを言うのはやめろ、裏切り者扱いされて、消されるぞ。」
怒った顔の関部長が山地を叱った。
「どの道、こんなこと実行したら、死ぬんだよ。好きに言わせとけよ。」
加藤部長は関に対して怒鳴った。
「てめえ、黙れインテリ野郎。」
関が加藤に対して、怒鳴り返した。
3人の間に妙な緊迫感が走り、お互いが殴り合うかと思われた最中、
小林と書かれた名札を付けた空港の専用スタッフの若い男性が入って来た。
「ワトソン重工役員の皆様、飛行機の用意が終わりました。すぐに出発が可能です。」
「わかった。」
3人同時に返答した。
滑走路へ向かった3人の前に別のスーツ姿の3人の男たちが立ちはだかった。
「何者だ?」
怒りを表しながら関が聞いた。
「警察だ!今すぐその鞄を置いて、手を上げろ。貴様ら全員逮捕する。」
明智警部は警告した。
「逮捕してみろ、馬鹿が。」
関は悪態をついた。
明智、金田一と銭形が日本刀を抜いた。
明智が関を睨み、関も明智を睨んだ。
金田一は山地の前に立った。
銭形が逃げ出した加藤を追いかけた。
関は強姦魔で殺人者だった。
彼はワトソン重工に入社してから95人以上を葬ってきた。
常に暴力を振るい、部下に対しても酷い扱いをしてきた。
社内では嫌われた存在だったが、会長に見いだされた人材だったため、
彼の暴走を止める人がいなかった。
関は隠し持っていた切れ味抜群の中華包丁を取り出した。
「かかってこいよ。」
関が明智を挑発した。
明智は冷静だった。相手は人間(ウォーム)だったが、
おそらく何かの能力(スキル)を持っていた。
系統の能力(スキル)である【業火(ヘルファイヤー)】を発動した。
「炎の日本刀か?面白いよ。」
嫌味たっぷりの笑顔で関が明智に言った。
関が地面に鞄を置き、明智に向けて、ゆっくりと歩き出した。
歩きながらつぶやいた。
「【肉屋(ブッチャー)】発動。」
関が持っていた中華包丁が一気に大きくなった。
信じられないほどの大きさに。
関は片手で軽々と包丁を回し始めた。。
大きなジャンプをした関が思い切り巨大包丁を明智目掛けに振り下ろした。
関は常に怒りに満ちており、冷静に判断できない男だった。
彼は人間(ウォーム)相手をいたぶるのは慣れていたが、今、目の前にいる相手が人間(ウォーム)ではないことを完全に忘れていた。
明智は素早く関の一撃をかわした後、炎の日本刀で彼の頭を胴体から切り離した。
関が最後に見た光景は頭のない自分の体が地面に落ちることだった。
明智が地面に落ちた関の頭を足で踏み潰した。
「これが被害者の無念と遺族の怒り。」
軽蔑を込めた口調でつぶした頭に向けて言った。
明智は関の鞄と注射器を回収した。
同時期
金田一は山地の前に構えた。
比較的若い役員だった山地の顔に恐怖が映し出されていた。
「降参だ。お願いだ、死にたくない。」
山地が金田一に命乞いした。
「お前に殺された被害者たちも同じことを言ったんだ。それでもお前は彼女らを殺した。許されると思うなよ、虫けらめ。」
金田一は珍しく怒っていた。
山地は特殊な性癖を持っていた。必ず姉妹を殺すことだった。
双子であろうとなかろうと、姉妹でなければならず、
強姦してからゆっくり、いたぶるように殺すのが好きだった。
彼がワトソン重工に入社してから42ペア、合計84人の女性を殺してきた。
「ご慈悲を、お願いです。殺さないでください!!」
情けなく、涙を流しながら、山地が命乞いした。
金田一の性格は穏やかで理性的だったが、この男に慈悲をかけるつもりがなかった。
「慈悲?ふざけんな!お前に情けをかけない。」
「お願いです。僕には他の役員みたいに能力(スキル)がないです。お願いです、殺さないで!」
「お前が被害者たちのお願いを聞き入れたとでも?」
「いいえ、僕は理性を失っていた、悪いと思っているので、頼む、殺さないでください。」
「ナイフか何か持っているか?」
金田一は質問した。
「はい、持っています。サバイバルナイフです。」
「構えろ。」
「嫌だ、絶対に嫌だ、殺さないでくれ!」
「もう一度言うよ、抜いて、構えろ。」
山地が震えながらサバイバルナイフを抜いた。
「俺に対して向けろ!」
「嫌だ!お願いです!助けてください!!」
「向けて、構えろと言っている。」
震えながら山地がサバイバルナイフを金田一に向けて、構えた。
素早く金田一が系統の能力(スキル)の【業火(ヘルファイヤー)】を発動し、
頭のてっぺんから股間まで山地を一刀両断した。
能力(スキル)の影響で真っ二つに切られた山地の死体が燃え始めた。
金田一が燃える山地の体の前に立ち、つぶやいた。
「あなたの孫娘ふたりの仇を討ったよ、我が友よ、等々力警部。」
注射器が体とともに燃えてしまったため、
金田一は近くにあった鞄だけを拾い、合流しに向かった。
同時期
加藤は必死に逃げようとした。
彼は一つの能力(スキル)を持っていた。
その能力(スキル)のおかげで何度も救われていた。
「加藤、待てぇぃ!!」
素早く追いかけて来た銭形警部補が叫んだ。
加藤はニヤリと笑った。
「【疾走(ラン)】発動。」
それをつぶやいた後、加藤は転化人(インヒューマン)並みの速さで走り出した。
「バイバイ、無能どもめ!」
笑いながら猛スピードで走った。
彼はこれでまた逃げ切れると思った。
その時だった、肩を掴まれた。
加藤は驚いて、振り向いた。
そこに銭形警部補がいた。
「待てぇぃと言ってるだろうが、この!!」
銭形が加藤の顔を殴り、飛ばされた彼は飛行機ハンガーの壁にぶつかった。
「立てぃ!!この野郎め。」
銭形は怒っていた。
歯数本と片腕が折れた加藤はゆっくりと立ち上がった。
「そんなまさか。俺の速さに付いてこられるなんて信じられない。」
血を吐きながら、銭形に言った。
「お前、頭が悪いのか?俺たち、転化人(インヒューマン)だぞ。」
銭形が加藤を見ながら皮肉った。
「腐れ吸血鬼どもめ!!」
「連続殺人鬼のくせによく言うわ。」
加藤は人を殺すことに快感を覚えていた。
都内某所で大型トラックを使い、歩行者天国に突っ込み、数名を殺し、
最終的に15名を刺し殺した後、能力スキルでカメラに撮られることなく、逃げた。
同じような大量殺りくを全国で行ってきた。
老若男女問わず、彼は115人を殺してきた。
「お前、人を引き殺すのや切り殺すのが好きなんだろう?」
「好きさ、何が悪い、くそ吸血鬼め!!」
銭形がまた加藤の顔を思い切り殴った。
数メートル先まで飛ばされた加藤が地面に落ちた。
銭形が特殊警棒を出した。
「加藤、撲殺されてみる?お前に苦痛というものを教えてやる。」
加藤の目に恐怖が宿り、叫んだ。
「やめろ!!」
銭形が凄まじい速さで加藤の体の骨を全部叩き折った。
残った頭に渾身の一撃を放った。
加藤の頭がバットで殴られたスイカのように割れて、脳が飛び散った。
「お前のような連続殺人鬼の悪党にワッパをかける必要はない。それが俺の主義なんだよ。」
原型をとどめてない加藤の体に向けて、静かにつぶやいた。
加藤が放置した鞄と注射器を回収した後、他の2人と合流し、警視庁へ戻った。
同時期
羽田空港ジェット専用ゲート内
小林の名札をしていた男性が携帯電話を取り出した後、連絡した。
「ノートルダム会長、今羽田空港で6人のうち、3人がやられた。」
「仕方ない、1人だけ成功すれば、それでいいので。」
「監視続けますか?会長?」
「はい、警視庁へ行って、監視してくれ、そしてジャックの援護も頼むよ。」
「承知しました会長。」
「今君の敵の小林君の身分を使っているかね?それとも遠藤に戻ったかな?」
「ここを出たら遠藤に戻りますよ、会長。」
「ではよろしく頼むね、遠藤さん、または怪人二十面相さん。」
会長が電話を切った後、遠藤が小林の顔マスクを取った。
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