第3話

大手の不動産がいいのはわかるんだけど、どこ行こうかな。とりあえず1ヶ所行って、そこがダメなら違うとこに行けばいいか。うん、そうしよう。

ということで予約しておいた不動産に行ってみた。

「あの、すみません、13時にマンションの購入でご相談のお約束をさせてもらった吉田ですが、、、」

「13時にお約束の吉田様ですね。いま担当者を呼んでまいりますので少々お待ちください。」

「はい。」

そっか、世の中のしっかりした企業に勤めてる会社員の女性はちゃんとメイクもバッチリなんだな。でも派手じゃないし、清潔感がある。これが接客か。

と、会話用に設置されている目の前のアクリルスタンドに映ってる自分をみて少し恥ずかしくなった。

なんでもう少しちゃんとしてこなかったんだろう、私。服装も適当にしてしまった。なんか本当にこの人マンション買うの?って怪しまれて変なとこしか紹介されなかったらどうしよう、、、。金額が高いところを勧められるよりはいいか、、、。

「吉田様、お待たせ致しました。今回ご担当させていただきます小山と申します。」

紺色のスーツをきて清潔感のありそうな男性が名刺を差し出してきた。

(小山雄大、、、名前に大小入ってる、、、逆に覚えそう。)

私は軽く会釈をした。

「それでは誠に申し訳ございませんが、まずこちらの紙にご記入をお願いできますでしょうか?」

あ、私こういうの本当嫌いなのよね。

聴きながら書いてくれない?って韓国ドラマとかのお金持ちなら言えそうだけど、日本でもお金持ちなら言えるのかな?変なことを想像してることがバレないように記入を進めていく。

「将来のご結婚を考えた物件もお考えですか?」

ん?小山さんよ。私そんなこと書きました?というかまだ書き終わってないんですけど?

「なんでですか?」

「もし、ご結婚のご予定がございましたら間取りもローンも共同名義などにより変わるかと思いまして。」

「…あの、今のところ予定はないですし、一人で購入する気でいます。」

「了解いたしました。」

小山さんよ、、、こちらが、書き終わるまで待てないかな?それと一人で買っちゃいけないんですか?

私のこの服装とメイクを見て?大雑把でしょ?

結婚する予定あるなら二人でくるわよ。

「はい、かけました。」

「ありがとうございます。」

小山さんは書類に目を通しながら私に質問をしてきた。

「お一人でお住まい用の築浅の中古マンションをご購入予定ということでいらっしゃいますね?」

「はい、いずれは売りやすいようなところがいいので低層地域がいいんですが。」

「低層は何階までがよろしいんですか?」

「3階までの第一種低層区域です。」

小山さん少し驚いた顔をしている。

「よくご存知ですね?第一種低層区域をご存知なんですか?」

「一人暮らしで賃貸を借りてきましたから大体わかりますよ。」

「シングルの方はタワーマンションなどのご希望が多いので、珍しいなと思いまして。」

え?シングルはタワーマンションを希望してるのが多いの?高いのに?値段が。

「高いところは苦手なんですよ。」

「そうですか。ご希望されているエリアは本当に人気なエリアなので、なかなか中古では出てこないんですよね。お急ぎでなかったら、こういった新築マンションもございますのでご一考されてください。」

「はい。」

小山さん、いや、もはや小山と呼びたい。先に中古マンションの情報をくれ!電話でエリア言っておいたじゃない!

「こちらが先日お電話でうかがっておりましたエリアのマンションとなります。」

「見せてもらっていいですか?」

それから数件きいたが築が古かったり、思っていた以上に値段が高い。そしてなによりなぜかこの担当の人が気に入らない。

「どうですか?」

「こちら持って帰って検討していいですか?」

「わかりました。大丈夫ですよ。」

小山さんは笑顔を崩さず封筒に物件候補を入れてくれた。

「もし気に入った物件がありましたら、内見のご予約を取りますのでお気軽にご連絡ください。」

小山さん、私多分あなたにはしないと思います。

ごめんなさい。

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不動産屋で恋を買いました @D335

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