Betray Trust

 彼は私とは違って前に進むことを選んだ。それが憎い。殺したい。死んでしまえばいい。


 どうしてその選択肢を選べるの?君なら私と一緒に恨み続けてくれると思ったのに。


 なぜ君は前に進むの?君なら一緒に立ち止まってくれると思っていたのに。


 どうして君は生きているの?生きることを諦めると思っていたのに。


 なぜ君は誰かを守ろうとするの?守ったって失うだけなのに。


 君は私を裏切った。残念だけど仕方がないね。前に進もうとする君が悪いんだよ。


「……私。あと少しでそっちに向かう。彼も一緒。うん、もう殺した方が良いよ。もう邪魔になるだけだわ。……いいえ、お礼を言うのは私。彼は死んだ方が良いもの。貴方の復讐は正当な物よ」


 そして私の復讐も。希望は要らない。必要なのは憎しみだけ。後は全て憎しみの燃料だ。


「せめて惨たらしく死んでね。それだけが私の夢」


 霧は濃く、私の心を隠してくれる。この心は霧とともに。私の夢は霧に消えることなくその炎を炎々と燃え盛らせている。それはまるで消え失せることが無かった憎しみをこの街は認めてくれているかのようだった。

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