泡沫の記憶
薄い記憶は儚く燃えて
青ざめていくの、少しずつ
キラキラした思い出ばかりが
書き綴られた日記帳
本当にそんな楽しいことばかりだったのか、ふと頭をもたげることもある
記憶はあやふやで、
思い出は美しく補填されて美化されて
形を変えるの、すこしずつ
歪んでいたものが
真っ直ぐに調整されて、
汚れたシミが
アンティークの加工に変わるみたいに
何もかも、こうして起きていることも全て
継ぎ剥ぎの中に落とし込まれていくのね
そうなってしまうのが嫌で
出来事を綺麗事で済ましてしまわないように
できる限り書き綴っていたあの熱い日々
覚えている限り、忘れない限り
鮮明に事細かく描写していた
あの焦がれた月日
なのにその思いで書き綴った日記でさえも
キラキラと輝いてしまっていて、
読めば読むほど悲しくなっていく
本当のことは どこからどこまでで
どこからが 継ぎ剥ぎにした
フィクションなのか
もう分からなくなってしまった
消えないと思っていたその顔も
もうすっかり見えなくなったよ
だから
もう戻ることなんて有り得ないんだけど
懐かしさが込み上げて、もう戻れないのよね
あの淡い時間を過ごす 前の記憶には
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