『推しとクリスマスを一緒に過ごすよ』

『推しとクリスマスを一緒に過ごすよ』          

                              安条序那


※セリフ部は演じる人が読んでください。


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クリスマスの夜、お金のない聞き手と推しを想定する。

終電が、駅のホームに入ってくる。

駅の無機質なアナウンスが響き、聞き慣れたドアの音を耳に捉えながら、二人の歩みは暗いホームの中に入っていく。

寒風吹きすさぶホームには誰もいない。

二人っきりで終点の駅の改札口に向かいながら、二人はお互いの顔を見合わせながら話し始める。


推し「誰もいないね。こんな夜遅くだしそれにクリスマスだもんね~。終電なんてこんなもんか」


推し「ううん。それにしても繁華街の方はすごい人混みだったね。ほんとに歩くのも大変なくらい」


推し「みんな幸せそうだったね~、ああいう雰囲気もたまにはいいかも」


推しが主人公の方を向いて笑う。

主人公は肯定的な言葉を返す。


推し「んふふ、毎日は勘弁したいかな~なんだか所在ない感じするし?」


推し「でも来年はあの人混みの中、ちょっといたいかも。一回くらい、いいんじゃない? 分不相応なこと、してみようよ」


推し「ええ~? 初詣とかは違うんだよね~、だってクリスマスは、なんていうか、大事な人向けです、ってカオしてるし」


推し「二人でちょっと限界越えてみよ、来年ね」


顔を見合わせる。少し瞳が潤んでいるかもしれない。

くると踵を返して、言葉が紡がれる。


推し「にしても、君も今日一人だったんだ。かわいそ。こんな日にバイト詰められちゃって。どうせ先輩に代わってって言われたんでしょ」


推し「言わなくてもわかるよ、君そういうこと言われたら絶対代わってあげちゃいそうだし」


推し「わたしはそもそも日入ってたから。もともと予定なかったし。君とは違うんですう~」


推し「でも、君が来てくれてよかった。お陰でワンオペじゃなくなったし。変なお客に絡まれずに済んだしね」


推し「まあ、でも気分的はいまのところごちそうさま、って感じだけど。でもどうせ、来年になったらそんな風には思わないんだろうな」


推し「そんな風に思わなくしてくれる人がいれば、だけどね」


推し「はーっ。外でいるのも寒いね。こんなもんにしとくかな。今日はありがと。おやすみ」


推し「じゃ、来年、予約したからね~。忘れちゃだめだよ。絶対だからね」

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