第17話
「はー! さっきは気持ちよかった! 男なんて金玉蹴ったら弱いんだよ」
海への家へと向かう途中、二人乗りをしながらペダルを漕ぐ海が向かい風に負けないくらいの大きなそう声で叫んだ。
「でも、本当に良かったの?」
「なにが?」
「あんな殴っちゃって。先生にバレたらまた海は……」
「大丈夫大丈夫。あいつらもそこまでバカじゃない。自分達から言ったら、月がされてることだって明るみに出る。自分で自分の首を絞めるだけだよ」
あれ、意外と合理的な考えを持ってるんだ。
「それでも殴ったのは悪いって先生に怒られそうじゃ……」
「まあそれは五年前と同じことさ。悪を懲らしめてなにが悪い! 高野先生ならいざそうなっても分かってくれるさ」
「だと良いんだけど……」
今のところあの人は全く頼りにならなそうなので、少々の不安は頭の片隅に残る。
そんな霧のかかった暗い先のことを払いたくて、海の腰に回していた腕をギュッと絞めた。
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