エピローグ
*
あの日から約1ヶ月が経った。
あのあと俺達はテストに追われながら
その結果俺は本屋、樹は近くのスーパーで働くことになった。
そのあとうちの家に
だけど最初の1週間は大変だった。馴れないバイトに加えて、一緒に住む人間がふたりも増えたというのもあると思う。だけど一番は樹と
だけどだんだんそんな生活にも馴れてきて春休みに入った。
それと同時ぐらいに優弥と真哉の家に嶺が住み始めた。
そして今日はそんな7人であの鴨川シーワールドに来た。
いろんな生き物を見たなか俺達が一番長くいたのはくらげのコーナーだった。
みんな口々に「きれい」「すご、吸い込まれそう」そんなことを言っているなか、樹と
帰りに俺達は海に行って近くの丸太に座って海に沈んでいく夕日を見た。そんなとき俺はこんなことを言ってみた。
「ねぇ何でくらげって漢字で書くと海に月って書くか知ってる?」
そう聞くと誰ひとり悩みもせず「知らなーい」と答えてきた。もう少し悩んでくれよとか思っていると
「ねぇ早く教えて」と樹に急かされたので教えることにした
「正解はね海のなかにいるくらげが月のように映って見えるからなんだって。俺さそれ知ってくらげってすごいなって思って」
「なんで?」
といつもいつもしゃべらない
「だって最終的には水に溶けちゃうけど生きているときはすごくきれいなんだよ?何て言うんだろう離れられなくなるって目が離せなくなるって言うか、それでもちゃんと生きている。誰かに安らぎを与えている。」
そう言うと樹が
「じゃあ
樹のそういっている顔は笑っていた。
*
「海のなかにいるくらげが月のように映って見えるからなんだって。」
北斗が海に沈む夕日を見ながら教えてくれた。くらげの漢字の理由。本当は知っていた。それはたぶん彼女もだ。だけどあえて知らない振りをした。だって俺が言ったら面白くないから。そして
後ろで泣いている
5人は口々に「あー確かに」そう言った。そして5時のチャイムがなった。
「よーし帰ろう!」
そういって真哉は歩き始めた。
俺は自分のパーカーを
その
「ありがとう」
彼女はそう言って俺にコアラのように抱きついてきた。俺はそんな彼女の頭を撫でた。
俺達は被害者だ。大人の都合によって追い詰められ間違った認識をするようになってしまった。だけどその間違った認識をただすのは簡単じゃない。その間違った認識のせいで誰かを傷つけることもあった。俺たちの人生はまるでくらげだ。何かの歯車が少しでもずれていたら、くらげのようにあっという間に消えていってしまう。
「くらげになりたい」
その願いの本質は「くらげにならないといけない」だったのだろうと今では思う。
でもこいつらが教えてくれた。生きているだけでいい。人間に価値などないと。ちょっとずつその認識をただせばいいと。俺は暗闇のなかをずっと彷徨ってきた。それは彼女も一緒だ。そこから引っ張り出すきっかけをつくってくれたのはあいつらだった。そして過去に少しずつ向き合えるようになっていった。これからも色々なことが起こるであろう。だけど俺達はくらげのように気を逃したら消えてしまうような世界のなかで今日も明日もその明日も精一杯生きていく。
くらげが感じることのできないものを感じながら。
Jellyfish @tatumito
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