第5話 好き?

アミナを助けるために気合を入れる。

僕はアミナを庇うように覆いかぶさり、獣人を睨みつけた。


「店長さんよぉ。俺たちはただアミナちゃんと楽しもうとしただけだぜ?」

「そ、それはわかっております」

「じゃあなんで邪魔するんだい? あんたにゃ関係ねえだろ」

「確かに関係はありませんが、店の中でそういう行為は困るのです。他のお客様にも迷惑ですので、お控えください」


僕は毅然とした態度で言った。

アミナを守れたらそれでいいのだ。

異世界転生ものの主人公になった気分だよ。


「うるせえ! 黙れ!」


獣人はそう言うと、僕の顔面を殴ってきた。

痛い……。

鼻血が出たみたいだ。

僕は思わず尻餅をつく。

そして殴られ続けた。

ああ……また気絶する。

今度は死んじゃうかも。

でも、アミナが助かるならそれでも良いかも。


……そうか、僕はアミナのことが……


「お前達! ここでなにをやっている!」


怒鳴り声。

振り返ると、王族の紋章を胸に着けた兵士達がいた。

どうやら騒ぎを聞きつけて駆けつけてくれたようだ。


「ちっ、やべえな。おい行くぞ」


獣人と男は逃げていった。

助かった……。

でも、僕は動けなかった。

出血多量で死ぬかもしれない。


「大丈夫か? それにしても王都でこんな商売をやっているとは、ほっておけんな」


兵士の一人が呟いた。

そういえば、ここは王都だったな。


「君たち、名前は?」


兵士が聞いてきた。

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