第16話 仕事着を注文しよう
「早速だけど、見てもらいたいものがあるのよ」
わたしはお姉さんに一枚の紙を渡した。そこにはこの日のために
女神様にお願いした
「・・・・・・これは・・・ドレス、ですか?」
お姉さんはわたしの渡した紙を凝視しながら質問してきた。疑問形が混ざってるのは、決してわたしの絵が下手な為でないと思いたい。知らない人が見れば、
「いいえ違うわ。これは仕事着よ」
「仕事着?ですか?」
「まず、その服を着用するのは女性の使用人よ。一応男性用の服も考えてるけど、ひとまず女性用だけを作ろうと思うのよ。えっと、絵だと分かりづらいと思うけど、その服は基本的にワンピースとエプロンの二つで構成されてるわ。それで色はワンピースを黒でエプロンは白でお願いしたいわ」
「なるほど。それで着用されるのは、そちらの女性ですか?」
「え?」
お姉さんの質問に、アリアが驚きの声を上げた。そういえばそれは想定していなかったわね。この世界は前世と違って大量生産じゃなく、オーダーメイドが一般的だ。とはいえ庶民にはそれでは服の値段が高価になりすぎるので、こういう古着を扱う店が多くあるんだしね。
「あーそういえば誰が着るのかは想定していなかったわね。でもちょうどいいし、アリアのサイズで作ってもらおうかしら。それとアリアよりも一サイズ大きいものと小さいものを一着ずつの合計三着をお願いしたいわ」
「承知いたしました。ただできれば一着完成させて、ご確認をいただいてから追加を作れると助かるのですが・・・」
「うん?そのほうが都合がいいなら、それでかまわないわ」
「それで代金なのですが、一着あたり金貨十枚を想定しています。もちろんこれは使用する生地によって前後するとは思います」
一着十万円かあ・・・。少し高い気がするけど、前世でもオーダーメイドのコスプレ衣装なんかは数万円するのもあったしね。この世界だと手縫いだろうし、このくらいの値段が妥当なのかもね。
「ええ。それで構わないわ。生地は高級品である必要はないけど、なるべく丈夫なものをお願いね。あと、もちろん動きやすいのは大前提だからね」
「承知してございます。それではアリアさんの採寸をいたしますので、こちらにいらっしゃってください」
アリアはお姉さんに促されるまま、お店の奥の方へ連れて行かれ採寸されて帰ってきた。完成は三日後との事なので、その時にまた来ないといけないんだけどどうやって出て来ようかしらね・・・。まあ最悪、アリアにまた来てもらえばいいかな?
そして完全に空気になってるブラオの表情が、何かを諦めた感じになってるのは何故だろう??
※お知らせ
本日が今年最後の更新です。
来年もよろしくお願いします。
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