第14話 テンプレがやって来た?
「登録やカードとは別に聞きたいことがあるのだけど良いかしら?」
無事に登録ができたので、
「聞きたいことですか?どうぞ」
「木工の工房を紹介していただくことはできますか?もしくは、ギルドに設計図を売るか登録して利益を得るみたいなシステムはありますか?」
「結論から申しますと、どちらも可能です。ただ込み入った話になりますので別室へご案内いたします。あちらの階段を上がりまして3番のお部屋でお待ちください」
受付のお姉さんはそう言いつつ、入口の横にある階段を指し示した。話からして応接室か商談室があるのだろう。予想通りそれなりの奥行きもありそうだ。
「承知いたしましたわ。それでは参りましょうか」
「少々お待ちくださいませ」
ブラオとアリアと共に指示された場所へ向かおうとしたら、小太りの男性が目の前に現れた。
笑顔で立ってるけど、顔というか目が嫌らしく胡散臭い感じだ。
「何かご用ですか?」
「いえ小耳に入ったのですが、何やら工房をお探しのご様子。私どもでしたらお力になれると思い、お声がけさせていただきました」
なるほど。そういう事か。でもまあ、登録したばかりで
「いいえ。結構ですわ」
「そう言わずに話だけでもどうですか?」
男の話を断って横を通り過ぎようとしたけど、進路を妨害しつつしつこく話しかけてきた。流石に子供の体格だと逃げるのは難しいかな。
後ろからブラオとアリアの不機嫌な様子がヒシヒシと伝わってくる。暴発する前に打ち切らないと面倒なことになりそうね。
「オジマー様。お止めください」
どうしようか考えていたら、さっきの受付のお姉さんが止めてくれた。
「なんだ。受付嬢ごときがこの私に指図するのか!」
「確かにギルドは商人同士の話に介入することはできません。ただ、今回はやり過ぎだと思ったので、止めさせていただきます。もしこれ以上のお話をお望みなら、ギルドマスターも交えてお願いします」
「ちっわかったわ!小娘どもが後悔しても知らんからな!」
受付のお姉さんの毅然とした態度に、小太りの男は捨てゼリフを吐いてギルドから出て行った。
「助かったわ。ええっと・・・」
「申し遅れましたが商業ギルドで受付をしておりますカミラと申します。以後よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いしますわ。カミラさん。ところで、先程の男は誰なんですか?」
「あの方はオジマー様と言いまして、オジマー商会の会長です。国内で一二を争う大きな商会で、王都での影響力もかなりのものです。同時に裏では法に触れることもやっていると噂ですが、証拠が無く貴族の後ろ盾もあるので取り締まれないみたいなのです」
「なるほど。かなり危険な男のようですわね。暫くは身の回りには気を付けることにしますわ」
それにしてもあの男。せっかくのわたしの王都散策の出鼻をくじいてくれやがりましたわね。機会があったら絶対に地獄を見せてやりますわ。
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