第11話 街へ行こう
パーティーから一月後、ようやく街に出かけることができた。
この一月の間で王女教育以外に、色々なことを覚えさせられた。勉強の隙に魔法の練習ができたのはよかったけど、まさか護身術を習わせられる事になるとは思わなかった。なんでも護衛の足を引っ張らない為らしいけど、護衛の意味って何だろうって思ったよ。
どのくらい
それと街に行く前に通貨のことを知れたのは助かった。正直それを知らないと、お忍びに影響が出るもんね。通貨は金貨・銀貨・銅貨の3種類が基本で、銅貨10枚で銀貨1枚になって、銀貨10枚で金貨1枚になるので、分かりやすかった。ちなみに銅貨1枚でパンが1個買えるらしい。なので前世基準だと、銅貨1枚が100円くらいだと思う。
「王女殿下、目的地に到着いたしました」
護衛の騎士に声をかけられて、考え事をしていた意識が現実に引き戻された。馬車の中が分からないように、カーテンが引かれて外が見えなくて退屈だったけど、思ったよりも早く到着したな。馬車の中にはメイドが一人一緒に乗ってたけど、会話のネタが思いつかなかったんだよね。
「ありがとう」
騎士にエスコートされて馬車から出ると、そこは倉庫のような建物の中だった。騎士に案内されて倉庫の扉をくぐると、そこそこ高級そうな家具が置いてある部屋に出た。そしてそこには見覚えのあるメイドが数人待機していた。
「王女殿下、お待ちいたしておりました。こちらでお召し物の変更をお願いいたします。騎士様のお召し物は、隣の部屋に用意してございます」
「承知しました」
メイドの言葉に騎士様は軽く返事をすると、隣の部屋へと消えていった。
「それでは姫様。失礼いたします」
その言葉をきっかけにメイド達がわたしに群がり、お忍び用の変装を施していった。
今回のお忍びのわたしは、そこそこ大きな商家の娘という設定なのだ。名前はリスティー・ミラージュ。ミラージュ商会の跡取り娘ということになっている。ちなみにこのミラージュ商会は、書類上は
「ところで、本日わたしについてきてくれるメイドはどなたかしら?」
「は、はい。私です」
何気なしに聞いてみると、返事をしたのは髪の毛を整えてくれているメイドだった。ちなみに馬車で一緒だったのもこのメイドさんだ。
「そう。よろしくね」
「せ、精一杯務めさせていただきます」
「では、わたしの支度はもういいので、あなたも用意をしてください」
「か、畏まりました」
わたしに促されるまま、メイドは身支度をするために少し離れていった。
それにしてもこのメイドさんは少し緊張しているみたいだけど大丈夫かなあ?
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