第50.5話

 魔界にある、この辺りでは大きな城のような場所にて。

 この人数にしては、かなりの部屋数がある。

「——状況は?」

 魔界の魔人、ディークストはそのお世話役ともいえるリークに眉をひそめてそう言った。

「はい。現在、<ベスティア>が10体。そのうち一体は殺されています」

「ほう。死者は?」

「一人です」

「……ま、こんなものか」

 そう言われ、ややわざとらしくため息をついて席に座る。

 リークが操作している小さいスマートフォンのようなものの画面には、今人間界で<ベスティア>が、どんなことをしているのかが映し出されていた。

 人間は多いはずなのに。<ベスティア>は10体も出したはずなのに。

 どうして死んだ数は1人なのだろうか。

「……」

 その画面を見つめながら、静かにあごをさすったリーク。

 <ベスティア>と言えども、自分たちのような強い存在ではない。こいつらは、魔力が根絶されない耐性を付けただけの、いわゆるデモである。

 けれども妖精よりは強いはずなのに。

「……改良が必要かもしれませんね」

 怪訝そうに、対面に座っていたディークストに言う。

「あっちの世界には、<ベスティア>が9体。人間はいっぱいいいるはずなのに、一人しか殺せていない。確かに、おかしなことだ。改良は良いが、どこをどう改良する?」

「……やっぱり、ベスティアが殺そうっていう意識を高めた方がいいのかなと」

「そうか。なら、開発者を見つけないとな」

「はい。今から探します」

 そう言って、リークは手元の画面を操作した。



 


 


 


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