単刀直入に言う
俺、高梨高良は、朝から顔が熱かった。
恥ずかしい! 恥ずかしい! 恥ずかしい!
目覚めた瞬間、濁流のように昨日の記憶が押し寄せてきて、悶えに悶え苦しんだ。
な、なんだよ、みつにゃん、みつるん、って!!
手繋ぎ、恋人繋ぎも初めてだし、しかもキザったらしいって!!
好きなところの山手線ゲームとかマジできっちいいいい!
また肩に頭預けちゃったし、それに……好き、と言ってしまった。
単純に好きと言われたから、何の考えもなく返してしまったのだけれど、簡単に反射で返せるということは、そういうことなのか?
ああ、わからない。考えないようにしよう。
何はともあれ、顔が熱くて仕方ないので、昨日のことは、忘れることにする。二人とも三徹の馬鹿テンションだったのだ。バッチリ覚えているけど忘れたことにした方がいいだろう。
素数を数えながら朝食をとり、身支度を終え、登校する。
見慣れた河川敷は見ないようにして、せかせかと歩く。
そして校門までたどり着くと、違和感に気づく。
「あのすっごく可愛い子、何してるんだろう」
「俺、ロリじゃねえけど目覚めそうだわ」
「僕ロリだから目覚めたわ」
皆学校に入る学生たちは、校門横に好奇の視線を向けている。俺も倣って見ると、そこには覚えのある人間がいた。
あれ、夏乃先生? どうしたんだろう?
そう思った瞬間目があった。てちてちと駆け寄ってきたので、子供を迎えるようにしゃがんで腕を広げる。
「そんな迎え方があるか! 私は子供か! それともペットか!」
顔を赤くした夏乃先生にぽかりと叩かれた。何も痛くないけど。
「どうしたんですか? こんな待ち伏せるような真似して。美鶴に用なら、電話したらいいのに」
「美鶴に用があるのなら、私はそうしてる」
「つまりは、俺に用ってことですか?」
尋ねると、夏乃先生は頷いた。
何だろう、忘れ物でもしたんだろうか?
夏乃先生は、そんな疑問とはかけ離れた答えを言った。
「単刀直入に言う、私と付き合ってくれ」
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