幕間・人魔大戦

週末になった瞬間月曜日が嫌になってテンションが下がるというジレンマ...


あ、今回は説明回です。

めちゃくちゃ分かり辛いかもしれません。後書きで纏めたんで、そっちだけ読んで貰っても構いません...

――――――――――――――――――――――――――――――――




ライト達が帝都に居る間も、人々は変わらず動き続ける。


街を一つ破壊し、停戦の立役者であるラウラを殺したライトによって、停戦協定は破られると思われていた。



――が、とある人々の行動によってそれは阻止された。


つまり、停戦協定は破られていないのだ。



合衆王国と王国は、ライトを停戦協定を破って独断で行動し、修復の兆しが見えた2国間の関係を切り裂いた大罪人と認定。

両国は戦争に向けていたエネルギーをライトの捕縛、そして来るべく人魔大戦への備えに向ける事によって衝突を回避した。


まるで最初から仕組まれていたかのように円滑に決定されたそれだが、それも無理はないと言えるだろう。

予言にある人魔大戦、その詳しい内容を調査するにつれ、半ば眉唾物とされていたそれに現実味が帯びてしまったからだ。



――だが、それにしても。あまりにも円滑すぎて不気味ではあったが。

大体、国民感情をを動かすのはそう簡単ではないのだ。上層部がどう言ったところで、知り合いを、家族を殺された恨みは消えない。

その恨みを別の物――この場合はライト・スペンサー――へと矛先を変えるのだって、そんなにすぐに出来るものではないのだ。

にも関わらず、魔法でも使ったかのように、人々の恨みはライトへと向けられた。


まぁ、ともかく。感情はライトに、エネルギーは戦争への備えにそれぞれ担わせる事によって継戦は回避されたのだ。


それでも継戦を主張する主戦派はいたが、かつて神算鬼謀と呼ばれた、今は亡き王国の参謀――その娘による理論的な主張によって彼らは黙らされた。


その上、王立騎士団ロイヤル・ナイツ、魔術王、聖女等の主戦力までもが停戦を主張したのだ。王国上層部は彼らに従うしかなかった。

だがしかし、彼等が等しく口を揃えて主張した、ライト・スペンサーの冤罪を認めるというのは却下された。


彼ら――特に聖女は、ライトにあのような不名誉を被せてしまったのは私だと言い、自分自身に対する処罰を求めた。


――が、それも却下。


いよいよ現実味を帯びてきた人魔大戦への備えに、聖女という戦力を失うわけにはいかなかったのだ。


...と、以上がライトが逃亡した後の事の顛末である。


次は、話に何度も登場している「人魔大戦」について、そしてそれがこの停戦とどう関係しているのかを話そう。







“厄災に備えよ、それは必ず到来するであろう

人の業によって、必ず齎されるであろう


人の中から出でたる魔王は魔獣を呼び

魔獣はやがて魔物を呼ぶ


力を持つ適合者が世に絶望した時

それは魔王へとなり


世に蔓延する怨念が器を超えた時

それは魔獣となって世に産み落とされるであろう”



――これが予言である。

さて、眉唾物と思われていたこれだが、果たして何故今更になって現実味を帯びてきたのか?

それには勿論いくつかの理由がある。


まず、古代文明とその終焉に関係する新たな説だ。


古代文明は謎の多い文明とされている。

その文明は空を飛ぶ鉄の鳥やら、海の下を進む円錐やら、今では考えられないような高度な文明だったと知られている文明だ。


で、そんな高度な文明が滅んだのは何故か。


色んな説が唱えられているが、今話している新しい説に於いては、かつて古代文明で勃発した3度目となる世界を巻き込む大戦と、それによって発生した人魔大戦によるものだとされている。


そう、3度目という事は、もちろん1度目も2度目もある。しかし、不思議な事にその時代は魔力を使える人々が極度に少なく、また、その少ない人々も魔力や魔術を秘匿していた。

それによって魔王が誕生する事はなかったようだ。


その3度目の大戦の原因は定かではない。中東と呼ばれる地域の紛争が飛び火したとも、極東の島国の海底資源の奪い合いだとも、果ては魔術の台頭によるものだとも言われている...が、それは今重要ではないので省略しよう。


重要なのは、1度目も2度目も出現することはなかった魔王が、3度目の大戦で初めて出てきてしまったという事だ。


3度の大戦によって蓄積された怨念が、一気に解放されたという事だ。

予言でいう「世に蔓延する怨念が器を超えた時それは魔獣となって世に産み落とされるであろう」という部分から分かる通り、魔獣とは怨念が蓄積される事によって誕生する。であるからして、3度もの大戦で蓄積された怨念は尋常ではなく。


魔獣の強さはそれまでの比ではなく、古代文明は呆気なく滅んだ。

幾つかの大陸は消滅。一部を除いて、それまでの地図が全く役に立たなくなる程、魔獣による被害は甚大だった。


勿論彼らも抵抗しただろうが、魔力の籠っていない攻撃では魔獣を倒すことは出来ないとされている。魔術が秘匿されていた古代文明では太刀打ち出来なかった。


も効かなかった、と絶望している様子が文献に記されていた事から、結局彼らは魔獣をどうにかする事は出来なかったのだろう。


そうして、古代文明は滅んだ―――


と、いうのがその説だ。

それがどう関係するかっていうと、この説は“人魔大戦は眉唾物ではない”という前提を置いた、今までにない説なのだ。

そして、これは今までのどんな説より説得力があった。遺跡やかすかに残った文献などによっても説得力を増している。


つまり、人魔大戦は本当にあって、それによって古代文明は滅んだという説が本当なら、予言もまた本当であるという事だ。


...ややこしい話をしている自覚はあるので、少し簡潔にまとめよう。

古代文明が滅んだ理由を人魔大戦と仮定すれば大体説明できてしまうから、多分人魔大戦は本当にあった。なら予言も本当じゃね?という事だ。


そして、これとは別の予言よれば、次の人魔大戦まで後半年。その時期は帝国と再び戦争が予測されている時期だ。


その戦争で“器”とやらが満たされ、魔獣が生れ落ちると仮定すれば、予言の説得力はさらに増す。



そして、二つ目の理由が――――まぁ、それは今は良いだろう。

ともかく、幾つかの理由があって、人魔大戦は実際に起きる可能性が高いと判明。


両国は互いに抱く悪感情ヘイトをライトに擦り付ける事で国民を納得させ、人魔大戦への備えを進めていくのだった―――







――――――――――――――――――――――――――――――――

クッソ疲れた。

なんか昔学校でレポート書いてた時の気分を思い出したわ。


以下が簡単にまとめたやつです。



・合衆王国と王国のヘイトが何故かライトに

・人魔大戦への備えの為に両国は停戦

→何で急に人魔大戦の話?

 →古代文明が滅んだ理由を人魔大戦と仮定すれば大体説明できてしまうから、多分  

  人魔大戦は本当にあった。なら予言も本当じゃね?

 →次の人魔大戦まで後半年くらいか...あ、ちょうど帝国と戦争しそうな時期じゃん

  その戦争で器が満たされて魔獣が生まれる感じ?

 →本格的にガチっぽくなってきたやん、合衆王国と戦争してる場合じゃねぇわ。     

  帝国もちょっと話聞いてくれません?...ダメ?

 →じゃあ戦争しかねぇなあ!!



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