第88話

昨日投稿できなくてすいません。


(ストックは)ないです

というより、この作品書き始めてからストックを貯めたこと一回もないっていう...

みんな!小説を書く時は計画的にやろうね!


ってか、「(〇〇は)ないです」って淫夢ネタなの?

元ネタがよくわからん(ggrks)

――――――――――――――――――――――――――――――――















幻聴が聞こえる。


幻視もする。


それはいつもの事だ。



だが、いつもとは違って。

寄り添って手を握ってくれる、ミアが居なかった。


大丈夫だ、直ぐ帰ってくる。


そう言い聞かせるが、流石に耐えきれなくなってきた。


あの時から時間感覚が狂ってしまったせいか、或いは本当に長い時間が経っているのか。そのどちらかは定かではなかったが、とても長い時間一人な気がする。


――もしかして、俺と一緒に居るのが耐えきれなくなったのか。


それもおかしくないだろう。


こんな負の感情ばかり撒き散らすヤツと一緒に居ても良いこと何てないだろう。

それに、彼女は俺に恩がある訳でもない。


『――お前は見捨てられたんだよ』


...何故ここにいる。お前だけは、間違いなく殺したハズだ


『いや、見捨てられたというのは傲慢だな。彼女にお前を見てやる義理はないんだ。あんなに一生懸命に、健気に支えてくれているのに。』


黙れ、黙れ、黙れ。

お前のいう事なんて――


『――お前、一度でも彼女に“ありがとう”って言ったか?だから、こうなるのは当然の事なんだよ、ライト君。』


...やめてくれ。

お前は死んでも俺を苦しめ続けるのか、拷問官。


『それが俺の存在理由だからね。そんな事より、君は何をしているんだい?』


何をしているか、だと?

...何も、していないよ。


『君は罪を償いたい、そうだよね?』


...あぁ、そうだな。

でも、俺は死ねないんだ。死んで償う事は、許されていないんだ。


『死ぬことだけが償いじゃないよ!君も――いや、君こそ知っているハズだろう、死より苦しい事はあるって。』


何が言いたいんだ。


『君が苦しめば、それは償いになるんだよ。分かるね?』


――あぁ、なるほど、そういう事か。


『そこにある剣を手に取るんだ!大丈夫、やり方苦しみ方は熟知しているからね!』



――俺は彼の言う事に従った。











「――う...ん...」


意識がゆっくりと浮上した。

頭に鈍い痛みがする。


――自分は、何をしていたのだろうか。


目を開けると、見たことのない天井があった。

それも、やけに豪奢だ。


だが、余計分からなくなる。

自分は一体、どういう経緯でここで寝ているのだろうか。


「あ、起きた?」


声がした方へ振り向くと、燃えるよな赤髪の少女が居た。

その髪色と同じように、炎を連想させる風貌だ。


「...だれ?」


自分はこんな少女を知らない。なぜかその声には聞き覚えがあったけど。

こんな、私を反転させたような女の子は、知らない。


「覚えてないのも無理はないはね、凄く体調が悪そうだったもの、貴方――」

「起きたの、その子?」


赤髪の少女の言葉を遮る様に、彼女の後ろから別の声が上がる。

気の利かないヤツね、と呟いた少女だったが、振り向くと声を上げた人物に頷いた。


「何か聞きたいこととかあったら答えるよ?」


その人物――彼女や自分と同じくらいの少年――はひょっこりと顔を出すと、若干気を遣うような口調でこう話した。


「...私は何でここに居るの」


今一番知りたいのはそれだ。

理由は分からないけど、心の奥底には何故か焦りがある。


「ちょっとガラの悪い貴族に絡まれててね、そこに口を出したら君が倒れちゃったんだよ。それでたまたま家が近くだから運んだって訳さ。」




―――――そうだ、思い出した。

私は何をしているのだろう、今すぐにでも彼の元に戻らないと。


そして、それと同時にもう一つ。かなり不味いことに気が付いた。


「...私は、どれくらい寝てた?」

「ちょっと、大丈夫?さっきより顔色が酷いけど――」

「答えて!」

「え、えっと...丸一日くらいかな?」


その言葉を聞いた瞬間、体温がサッと低くなったのが分かった。

そんなに長い時間、彼を独りにしてしまったのか。


「今すぐ戻らないと...ッ!」

「ダメだ、どんな事情があるかは知らないけど、もう少し休んでからの方が良いと思うよ。流石に心配だ」

「でも...!」


あまりの焦り様に普通の事情じゃないと察したのか、一瞬困ったような顔をした彼らだったが、直ぐに決心したように表情を変えた。


「分かった、なら付いていくよ。乗り掛かった舟とも言うし、ここで見捨てるのは流石に目覚めが悪い。」

「――わかった」


それすらも拒否するなら、ここは止めさせて貰う。そう言わんばかりの目だった。

おじいちゃん譲りの魔術はあるけど、それでも彼ら二人には勝てる気がしなかった。


きっと普通の人じゃないだろう。

だけど、今はそんな事はどうでもいい。


――そう考えてしまう程、この時の私は焦っていた。



普通じゃない、それも貴族街に居を構える人に、ライトの存在を露見させてしまうというリスクを考えられないくらい。


私は、焦っていた。










風を切る様に走る。

人目についても構わないと、魔術で加速を続けながら走り続ける。


後ろの二人が物凄い警戒しているけど、もうそんな事に気を遣う余裕何てなかった。


「ついた...!」


そうして走ること数十分。私はあの宿に到着していた。

怪訝そうな表情を浮かべる店主を無視し、真っすぐ部屋へと向かう。


焦る気持ちをそのままに、部屋の扉を開けようと取っ手に手を掛ける。


――が、扉を開ける直前、肩に手が置かれた。


「待ってくれ、


その言葉に、ミアの顔色は髪色と同じくらい真っ青になってしまう。

しかしミアは、なら、尚更早くライトの傍に行かなければと躊躇わず扉を開けた。



――そして、その瞬間。


血の匂いが鼻を突き、真っ赤になった部屋が目に入った。


「...ライト?」


そして、その真ん中には。

見るに堪えない姿になってしまったライトが居た。


目が潰れているせいだろう、部屋に誰かが入ったことに気づいた様子はない。

耳から血を流しているせいだろう、ミアの声に答える様子はない。


――もしかして、自分であれをやったのか。


最早、自傷行為という枠を超えてしまっているそれを。


自分で、やったのか。



「ライト...!」


服が汚れることも厭わず、血達磨になってしまった彼を抱きしめる。

誰かに触れられた感覚がしたからだろう。


彼は自分のスキルを使って瞬時に元通りの姿になった。


「...ミア?何でここに」


「大丈夫だから。ライトの傍を離れることは、絶対に、絶対にないから。だから安心して...もう離れないから」


目から涙が零れ落ちる。

生まれてから一度も泣いたことがなかったけれど、自然と泣いてしまった。


それは、ライトを独りにしてしまった不甲斐なさなによるものなのか。

或いは、今目にしてしまった、ライトの抱える闇の大きさによるものなのか。


いや、そのきっと両方だ。


苦しむライトを見ていると胸が締め付けられる様な痛みがする。

――そして、それと同時に。


ライトを絶対に元気にしてみせるという決意を新たにするのだった。









「カイ」

「...分かってるよ、ビアンカ」



あの場で彼女らを眺め続ける訳にはいかないだろうと、一度宿の外に出た二人。

彼らの表情は、間違いなく険しい物だった。


「一瞬であの重傷を治せるスキル、心に抱えた深い闇――普通の物ではないあの剣。」


一言一言告げるにつれ、彼の顔はより険しくなっていく。


「そして、髪色や身長などの身体的特徴の合致――」


彼は一度大きな溜息をつくと、険しさを増したその表情を解すように手を目に当てると、こう言った。




「剣聖の息子にして懲罰部隊隊長、ライト・スペンサー...今その身を追われている大罪人だよ、彼は。」







――――――――――――――――――――――――――――――――


前書き、なんかネタに走りすぎた気はします。

そういうのはハーメルンでして、どうぞ()


あ、淫魔ネタに関してはにわかなのであまり気にしないで下さいね。


ではまた

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