ターニングポイントⅢ・前 トラウマ

やっとここまで漕ぎつけました...

本来はもっと暗い作品になるはずなのですが、前置き大分長くなってしまいました。

鬱系統かどうかは微妙ですか、これからは暗めな作風になると思います。

めちゃくちゃ急に変わるのでついていけないかもしれませんが、今の所プロット通りなので大丈夫...なはず。


あ、今回は残酷描写ありです。

自分なんかの表現力でどこまで書けるかは不安でしたが、まぁあぁ胸糞悪く書けました。耐性のない方は見ないでください。いやガチで。


書いてるこっちがイライラした。食欲も無くなったし。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「はぁ...」


俺は火の元から離れ、一人夜空に佇みながらため息をつく。


懲罰部隊のこれからを考えると、どうしても暗澹たる気持ちになってしまう。


そもそも懲罰部隊は、冤罪だのなんだのはともかく、王国に犯罪者として監獄にぶち込まれたような連中の集まりだ。

最初から全部うまくいくとは思っていなかった。

いずれは問題も出て来るだろうとは思っていたが...


「...タイミングが悪すぎる。」


いくら何でもこれはないだろう。あと、タイミングもそうだが、そもそもの問題の深刻さもかなり酷い。


復讐心は簡単には無くならないし、抑え込むのだって大変だ。


彼ら復讐派はあくまでも復讐のために合衆王国を使っているだけであり、それが果せないとなったら、合衆王国に従う理由などないだろう。


そうなった彼らを止める方法は一つしかない。


「...勝てるだろうか、アイツらに。」


彼らを止める方法。


――それは、殺すことだ。


自分でも冷酷な判断だという自覚はある。

だが、それ以外にどうすればいいのだ。


憎悪に焦がれた人間は簡単に冷静さを失う。そうなった復讐派は、見境なく、それこそ一般人も巻き込んで殺しまくるだろう。


そうなる前に止める義務があるのは、間違いなく俺達だ。


...殺せるだろうか。今の俺に、彼らを。


長い時間を共にした。

初めて、誰かと一緒に居て苦にならないと感じた。

腹の底を割って話し合った。


懲罰部隊は、思ったことを隠さずにぶちまける事が出来た唯一の場所だった。


――その半分を、この手で殺すのか。


腰に掛かった聖剣アスカロンに目を向ける。


目覚めてからは忙しかったから、まだ一度も抜いていない。


(父から譲り受けたこの剣を、仲間の血で汚すのか。)


アスカロンは、俺を持ち主と認めてくれるだろうか。


認めてくれなかったら、そう考えると、どうしても剣を抜く事が出来なかった。


「はぁ...」


再度、深い溜息をついてしまう。



だが、くよくよしていたも何も変わらないのだ。

もう一度ガル達と話をしよう。


そう考えた俺は、立ち上がってケツについた土を払う。


「さて、戻るか―――――」




そう、呟いたときだった。




何の因果だろうか。ついさっき、黒幕かもしれないと疑ったソイツが。



















「やぁ」




――俺に冤罪をかけさせ、この戦争を糸引いているかもしれないと疑ったエルが、そこに居た。



耳を疑った。幻聴だと思った。



だが、事実として、ソイツはそこに居た。



――そして、何故だろうか。



今すぐ逃げろと、本能が警鐘を全力で鳴らしまくっている。


鳥肌が立って、全身の毛穴がガン開きしている。


だが、エルはそんな俺の様子を歯牙にもかけず言葉を続ける。



「この時を待っていた。この時を恐れていた。逃げたい、だが逃げられない。

これは運命だ。お前は運命という死神に魅入られたんだ。」


その様子は、明らかに普通ではなかった。

彼の周りの空間が、大きく歪んで見える。


それは恐怖による幻視なのか、或いは魔力の放出によるものなのか。


前者であって欲しかった。


空間を歪ませる程の魔力なら、俺でも放出出来る。

放出すれば、手の平の上くらいの空間なら歪ませられる。


あれだけの空間を歪ませるには、俺の10倍くらいの魔力が必要だ。


だから、幻視であって欲しかった。


(勝てない。)


これは無理だ。懲罰部隊全員で挑んでも勝てる気がしない。


今までに感じた事のない恐怖を抱きながらも、しかし全力で冷静であろうとする。

勝てないなら、戦わなければいい。


ここはどうにか話合いで解決出来ないかと、声が震えない様に気をつけながら口を開いた。


「久しぶりですね。こんな所で何を?」


まぁもっとも、仮面の下に見える目をガン開きにしながら近づいてくるエル相手に、話し合いで解決するとは思ってないが。


「諦めろライト。絶望からは逃れらない。運命には抗えない。」


ダメだなこれ。

こいつ、クスリでもキメてんのか?


理性が残ってるように見えない。


もう戦うしか―――

そう腹をくくろうとしたその時、エルが剣を抜いた。


「今のお前じゃ俺には勝てない。」

「ッ!?」


剣聖の如き素早さで剣を振ってきたエルの初撃を、鞘も抜かずに咄嗟に構えた聖剣でなんとか防ぐ。


コイツ、剣術も出来んのかよ!?


もう情報量が多すぎて理解が追いつかない。


ともかく今は耐えなければと魔術を放とうとするが――


「【ヘルファイア!!】」

「それはもう。」


無詠唱で放たれた、俺と全く同じ――だが、それでいて圧倒的に強力であろう魔術によって、俺が放った魔術を呑み込まれた。


このまま戦っても勝てない。そう悟った俺はこの場から逃げ出そうと風魔術を放とうとするが――


「【ウィンド――】」

「【理を破壊する者システム・クラッシャー】諦めろ、もうどうしようもないんだよ。」


もうめちゃくちゃだ。


それは懲罰部隊全員でやっと放てる魔術なんだぞ!?


「ああああああッ!!」


せめて剣を鞘から抜きたい。

だが、エルはそれすらも許してくれなかった。


エルの剣が迫っている。


一閃を、鞘から抜いてもいない剣で防げるハズもなく。



迫ってくるエルの剣を、ただ見つめる事しか出来なかった。



――また、負けるのか。


魔力も手に入れた、剣も取り戻した、劣等感だって乗り越えた!!



なのに、また負けるのか!!


こんな、意味不明な状況で!


手も足も出ずに、無様に負けるのかッ!!!



「あぁ――やはり、運命には抗えないんだな。」




――絶望に満ちた、エルの声を最後に。


俺の意識は、あっさりと途絶えた。







...これからの事を考えると、嫌になる。


何もかも投げ出して、死んでしまいたくなる。


だが、それは許されていない。


何より、許せるハズがない。



――俺は、この世で最も罪深い、大罪人だから。


罰は、受けなければいけないだろう。


だが、目の前で意識を失っているコイツを見ると、憎悪で頭がおかしくなりそうだ。

手に持っている剣で、コイツの命を刈り取ってやりたい。


でも、コイツは罪人じゃない。


俺は未来が分かる。


今コイツを殺せば、あんなにも多くの人が死ぬことにはならないだろう。

俺がこんな罪を背負う事もなかっただろう。


だが、これがだ。


俺はコイツに罪を受け渡さなければいけない。



――それが、運命なのだから。






意識を失ったコイツを運び出す。


何処に運ぶべきかは分からないが、だからこそ何処に運ぼうと自由であり、だがそれは自由なのではなく、既に定められた事だ。


全く笑えない、意味不明な矛盾である。



なので、俺は取り合えず、王国軍の目の前に放置する事にした。



するとどうだろう。


何だコイツと言わんばかりに兵士達が集まり、そしてその上官が出て来る。


不審に思ったその上官は、ソイツを拘束した上で兵士達に運ばせた。


大きめの天幕に運ばれたソイツは、しばらくすると更に厳重に拘束されて再び天幕から出てきた。そして、ソイツは大勢の兵士が囲まれていた。


どうやら何処かに移送される様だ。


しかし、移送部隊の様子がおかしい。


なにやら争っているようだが――


「あぁ、なるほど。」


納得した。そういう経緯でああなったのか。


気になっていた事は分かったし、もうここ用はない。









「...何故、何故あなたがここに居るのです...ライト...!!」



なんだ...?


何が起きている?


この声、ラウラなのか?


ゆっくりと目を開ける。やはりそこには、ラウラがいた。


「——この人は――に移送させます――」


良く聞き取れないまま、俺の意識は再び途絶えるのだった。








「コイツ、コイツだよ!!」


サム、とそう呼ばれる兵士が突然叫んだ。


サムは合衆王国との戦いの中、重症を負ったため本国に送り返された兵士だ。


いつもは寡黙なサムが急に叫んだことに、周りの兵士は困惑した。


「コイツ、懲罰部隊に居た野郎だ!!俺がこの目で直接見た、デイビットを殺したのはコイツだッ!」


そう言ったサムの目は、憎悪で満ちていた。


兵士たちは聞いた事がある。懲罰部隊によって親友が殺された、と。


だが、それは事実なのだろうか。


兵士たちにも懲罰部隊への憎しみはあるが、決して危害は加えるなという上からの命令に逆らう事は出来ない。


「なら、なら軍部に送り付けよう!俺達が直接危害を加える訳じゃない!その上でコイツを地獄に突き落とす事が出来る!!」


それならいいか、と兵士たちは頷いた。


――これが、ライトの一つ目の罪に対する罰であり。


これから背負う罪の、きっかけになるのだった。

















「う...」


意識がゆっくりと浮上する。


それと同時に、直ぐに理解出来た。

あぁ、また俺は負けたのか――と。


金属で出来た椅子に縛り付けられ、全く身動きが取れない。


周りには拷問道具と一目でわかるような物がズラリと並んでおり、その全てが血で汚れている。



魔術を使って脱出しようにも、魔力が全く反応しない。

腕輪で抑えられていたのはあくまでも放出だった。だから腕輪の許容量を超える魔力を注ぐだけで破壊出来た。


だが、魔力の反応自体がなければ、俺は抵抗出来ない。



今、身に置かれた状況を考えれば、これから起こる事等容易に想像出来る。


「拷問、か...」


何でこんな事に。そう思わずにはいられない。


何故エルが襲って来た。

何故エルはあんなにも強い。


だが、それは今考えるべき事ではない。


俺は合衆王国の重要な情報を握っている。


上陸作戦の全容が王国に知られてしまったら、合衆王国は大損害だ。


ここは、何としてでも耐えなければ。


ギィ...と、不安を掻き立てるような音と共に扉が開かれた。


「あ、起きた?」


十中八九拷問官だろう。不気味で、寒気がするような笑みを浮かべている。


「こんな有名人で遊べるなんて中々ない。しかもいくら良いと来た。今までで最高の条件だ!!」


俺は、拷問に耐える事が出来るだろうか。

意味不明な言葉を吐き出す拷問官を前に、そんな事を考える。


もちろん、恐怖に耐えかねて情報を吐くなんて事をするつもりはない。


だが、スキルなどの未知の技術を使われたら、情報が敵に渡ってしまうかもしれない。


ならいっそ、今すぐにでも死んだ方が良いだろう。


舌をかみ切って死ぬのは...無理だな。


あれは故意に窒息を起こして死ぬ訳だから、拷問官の目の前でやったら生かされてしまう。どこかで隙を見て死ぬしかないだろう。


「素晴らしい!まだ少年なのにそんな覚悟の決まった目を出来るなんて!!

僕はね、そんな相手を絶望させるのが大好きなんだ!!」


ボキッ。何かが砕けるような、折れるような乾いた音が薄暗い拷問部屋に響いた。


「ッ...!いってぇなクソが...」


拷問官が息をするように俺の指を折ったのだ。

だが、この程度の痛みなら耐えられる。


「すごい、その年で痛みに耐性があるなんて...!」


つい昨日、何度も体を切り裂かれながら相手と戦った。

そう考えると、拷問など大したことではないように思える。


「——じゃあ、最初からハードなヤツにしよう。」


拷問官は楽しそうにそう言うと、壁に掛かっている拷問道具の一つを手に取った。


レイピアを小さくしたようなそれは、相手に痛みを与えるためだろう、その刃先は酷く鈍かった。


嫌な予感しかしない。


「こういうのはね、ゆっくりとやるのが良いんだ。覚悟を恐怖でゆっくりと溶かすように、ゆっくりとね。」


刃先を目に向けられ、それを言葉通りゆっくりと眼球に近づけていった。


せめて少しでも抵抗しようと、全力で目を閉じる。

だがそれでも、いつ目玉をやられるかという恐怖が増すだけだった。


暗闇の中で数秒とも数分とも思える時間が経過し、やがて目蓋に何かが触れた感覚がした。


「ふーッ...ふーッ...!」


一思いにやってくれ。そう思ったが、拷問官とはやって欲しくない事をやるのが仕事だ。残酷なまでにゆっくりと、最初はただ触れられているという感覚だったそれを痛みに変えながら、刃先は目を押し続ける。


「ぁ...がぁあッ!!!」


ブツッ。俺の吐息と呻き声のみが聞こえる拷問部屋に、そんな音が響いた。


それは、目蓋を貫通した音だろうか。それとも、刃先が眼球に入った音だろうか。


それを判断出来る程、ライトに余裕はなかった。


(痛い、痛い、痛い、痛い。気持ち悪い、気持ち悪い。なんでこんな事に。クソ。痛い。めちゃくちゃ痛い。エルは何で俺を。痛い。)


頭を殴りつけるような、神経が焼け付くような痛み。

何も考える事が出来ず、ただ痛みを受け入れるしかなかった。


だがそれ以上に、頭の中に何かが入ってくる異物感が不快で気持ち悪かった。


「い゛ッ!?」


どうやら、今の拷問道具には返しが付いていた様だ。

眼球を突き破ったそれを一気に引き抜いた痛みに、思わず声をあげてしまう。


「いいねぇその声...次はどれにしようかな~」


鼻歌を歌いながらそう言う拷問官に、恐怖を抱かずにはいられない。


「情報のためでなく、楽しむために拷問をしているのではないか」

——と、そう思ってしまう。


人間、理解が出来ないものに恐怖を抱く生き物だ。

情報のために拷問するならまだしも、自分が理解出来ないような理由で拷問されているかもしれないと考えるだけで恐怖を抱いてしまう。


という恐怖を。


「決めた、これにしよう!」


拷問官のそんな声が聞こえた。

意味もないのに、俺はもう片方の目でそれを確認してしまう。


それは、鉄の棒だった。


太さは、先程の道具より少し太い程度だろう。


「クソが...」


見なきゃよかった。

そう思ったのは、その鉄の棒の周りに、無数の棘が飛び出していたからだ。


「はい、あーん」

「あ...あ゛あ゛あ゛ぁ゛ッ!!!?」


グチャグチャと言う音は、残った眼球を潰す音。

ゴリゴリと言う音は、顔の骨を削る音。


痛み、気持ち悪さ、恐怖。


そんな感情が混ざって、ただただ混乱していた。


死にたい。今すぐ楽になりたい。だが、目の前の拷問官はそうしてくれなかった。


言えば楽になる。そんな風に魔が差すが、必死でそれを抑えこんだ。


「まだまだ楽しめるよ!次はもう片方でやろう!!」










「すごい、本当にすごい!!こんなに耐えてくれるのは久しぶりだ!!」


拷問官は楽しそうにそういった。だが、相手はそれを聞く事は出来ない。

両耳は既にその機能を失っているし、聞こえたとしても返事をする事は出来ないだろう。彼の歯は全て抜かれ、喉も死なない程度に切り裂かれていた。


全身は見るも無残な姿になっている。


これなら、そこらの死体の方がよっぽど生きている様に見える。


“人間、ここまで削っても死なないのか”と思える程、それは様々な部位が無くなっている。手足はもちろん、胴の皮までもはぎ取られていた。


ただ、こひゅー、こひゅー。と、口ではなく、切り裂かれた喉の傷口から聞こえる微かな音のみが、それが今も生きている事を示していた。


だが、不思議な事に、しばらくすると彼の傷は治り始めた。


「やっぱり、聖女の回復魔術ってすごなぁ...!!」


この拷問部屋には、前聖女と若き頃の魔術王が協力して描いた魔術陣が張り巡らされている。当初の目的は医療施設であったが、今ではより苦痛を与えるための物として使われていた。


そして、この魔術陣は椅子に拘束されている人物の魔力によって発動する。

つまり―――


「魔力量がこんなにあるなら、あと100は遊べる...!!」


それは、魔力量の多い人物にとっては、地獄以外の何物でもないという事だった。










もうやめてくれ。




もう終わりにしたいんだ。



頼むから殺してくれ。誰でもいい。殺してくれ。殺してくれ。死にたいんだ。もう辛いんだ。限界なんだ。疲れたんだ。


ああ、あぁ。あぁ。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!


なんで、誰も殺してくれないんだよ...


せめて、死なせてくれよ。なぁ。なぁ、なぁ、なぁ、なぁ!!!!!



「おはよう!!次で56回目だよ!!まだイケそう?」







「———もう、やめてくれ。」


「...あぁ、良い!!その顔、凄く良い...ッ!!」


しばらくは顔を歪ませていた拷問官だが、やがて再び言葉を発した。


「じゃあ、次の段階に進もうか。」







ライトは腕、足、首、その全てに鎖が巻かれ、魔力を封じるための道具を数十個も取り付けられていた。


そして、その鎖が繋がれた先は――馬だ。


御者は馬を動かし、ライトを引きずりながらゆっくりと街中を進ませる。


すると、何事かと住民たちた顔を出し――掲げられた看板に書いてある、「懲罰部隊」の名を見た瞬間、顔を憎悪に歪ませた。


かの部隊に殺されたとされているのは、10万人もの兵士だ。

その遺族は、街の至る所に居た。


石畳の道によって背中を傷だらけにし、住民に投げられる石や熱湯、汚物等で全身を見るも無残な姿に変える。


やがてライトは広場に引っ立てられ、無理やり立たされた。


もはや、ライトは何も感じなかった。


「何でお父さんを殺したの」


――そう、ライト本人は思っていたが。目の前に現れた少女の一言で、大きく動揺してしまう。


「人殺し!!」

「悪魔!!」

「死ね!地獄に落ちろ!!」



肉体的にも、そして、精神的にも。


ライトは、限界だった。











「情報、吐く気になった?」


まともな思考が出来ない。

だけど、彼の言う事を聞いたら楽になれる。


だから、口を開こうとして――やめた。


仲間がいる。サラがいる。だから、情報を吐く訳にはいかない。

それだけは、曲げる事は出来なかった。


「あと一押し、かな。」


そう言った拷問官は、ポケットから何かを取り出した。

それが何かはライトには判別が出来なかったが、どうせろくでもない物だ。


襲い掛かってくるであろう痛みに耐える為に身構えるが――


「...あ...え?」


感じたのは痛みは、想定していた物より遥かに小さかった。


痛みだ。




だが、段々と思考があやふやになってきた。


なぜだろうか、幸せな感じもする。



「実はね、合衆王国がどんな作戦を立ててるのか、僕たちは全部分かってるんだ。」


そうなんだ。

きっとそうなのだろう。


「だから、君にはそれが正しいかの裏取りをしたいだけなんだ。出来れば知りたいけど、君から聞かなくても分かってるからね。その程度の事なんだ。」


「その程度の為に、こんなに苦しむのは割に合わないと思わないかい?」


確かに、もう相手に気づかれているなら、言っても、言わなくても、変わらない。


「だから、さ。ちょっと教えてくれない?そうしたら、楽になれるよ?」









































―――そしてライトは、口を開いた。














―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

書いてて気持ち悪いのに馬鹿みたいに筆が進む。

6時間もぶっ通しで書いたのは始めてだよ...

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