第41話作戦開始!

2週間前「一日100PVいった!やったぁ!」

今日「三日連続で3000PV超え...すげえぇ...」

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「昨日も説明したが、俺の証の効果は“顔を見た事のある人物の場所を特定する”というものだ。」


俺がラウラの足を串刺しにした後、隊員達は一か所に集まっていた。

そこで、クラウが話をする。


「そんで、俺のスキルによると、都合の良いことに、王族の一人であるクリスティア王女がこっちに向かっている。おそらく砦奪還のためだ。」


クリスティア王女、という言葉にレオが反応した。


「クリスティア王女...合衆王国最強の将軍か。」


学園にいた俺でも聞いたことがある。

聖女のように兵士達を強化することができ、彼女が率いる軍の戦闘力は最上。

彼女はどんな策も弄し、寡兵だろうと軽々しく勝利する。

魔術師としても優秀で、彼女が操る炎魔術で燃やせないモノはない。


正に“最強”の名が相応しい王女だ。


余談だが、合衆王国は野蛮人の集まりとプロパカンダしている王国は、彼女の事を悪魔に魂を売った売婦と主張している。バカげた話だ


「でだ、そんな彼女からエリクサーをぶんどる事になる訳なんで。一応作戦を考えてみた。」


隊員達の顔は、珍しく真剣だ。

それだけ、サラの事を大事に思っているのだろう。


俺の腕の上で、まだ苦しそうにしているサラに目を向ける。


腕の上で、というのは、俺が彼女を持ち上げているからだ。

俗に言う“お姫様だっこ”っというヤツで。


最初はレオあたりに担がせようとしたのだが、俺から離れようとしなかったのだ。

なので、ラウラは別の隊員に任せ、俺がサラを運ぶことにした。


「作戦は簡単。俺達がその王女と会うのは、距離と速度からして恐らく深夜。会敵後、俺達はそのまま王女が居ると思われる天幕に突撃、彼女を人質にとってエリクサーを要求する。以上だ。」

「...その後の事は考えているのか?」


エリクサーを飲ませて、サラが助かったとしよう。それで、その後はどうする?

王族を人質に取るなんて事した後に「王国から裏切って来ました。あなた達の仲間になりたいです!」なんて言っても信用なんかされない。アベルの遺言はその王女に伝えればいいから問題ないが、この作戦では懲罰部隊の未来は暗くする事になる。


だが、クラウの返答は随分と気の抜ける物だった。


「いいや、全く...まぁ、問題ないと思う。」

「それでいいのかよ...」


そう呟いて頭を抱える。


思わず隊員達の顔を見渡すが、どいつもこいつも「問題ない」とでも言いそうな表情をしている。


「...まぁ、お前らがいいなら俺もそれでいいわ」

「よし、隊長からの許可は得た。それでは――」


そこで一度言葉を切り、隊員を見渡すクラウ。

隊員のキマってる顔を確認すると、不敵な笑みを浮かべながら高らかに宣言した。


「エリクサー強奪作戦発動!俺達の恩人を助けるぞォ!!」

「「了解!!」」









そんなこんなで到着しました。

目の前に見えているのが合衆王国の陣地でございます。なんつって。


「どう行く?」

「普通に突撃...は駄目だな、死者が出る。」

「じゃあどうすんの?まさか飛んで行く訳には行かないし。」


敵陣を目前にしながら、身を隠して話し合う隊員達。

作戦の目的は恩人を助ける事だが、一応俺達のこの先のことを考えると、敵に死者を出すのは不味い。


「...それだ!」

「は?」


突然叫ぶクラウ。

何に対しての「それだ!」なのか分からん。


「地上からが無理なら、飛んで行けばいいじゃん。」

「...頭に虫湧いてんのか?どう飛べと?」

「ほら、サラの真似をするんだよ。」


...魔術で吹っ飛ぶって事?

バカな、と一瞬否定し掛けたが、意外と良い案なのかもしれない。


「着地はどうすんの?風だと敵も吹き飛ばしちゃうよ?」


ラウラを肩に担ぎながら質問するリアム。


「水魔術。巨大なウォーターボールを空中に浮かせて減速させる。」

「...なかなか狂ってるが、結構良いんじゃないか?」


確認してくるかのようにこちらを向くガル。

俺は躊躇わずに頷いた。











「だ か ら!!今すぐにでも進行を再開すべきだと言っておろう!!」


合衆王国軍の陣地、そこにある天幕の中で。


美しい金髪と赤い目を持つ女性が激高しながら叫ぶ。


「私も何度も言っているでしょう!!膠着していた戦況を一瞬で覆す敵なのですよ!情報も何もない上、休息不足で戦闘なんかしたら私達も砦攻略部隊の二の舞となりますよ!!」


その女性に、同じく叫びながら答えるのはハゲ頭の男。

頭は寂しいことになっているが、全身から滲み出る雰囲気はその男が只者でないことを示している。


「私の支援魔術で押し通せばいい!!」

「それにも限界はあります!!ただでさえ寄せ集めの兵士で強行軍だったのです!明日には死人が出ますよ!」


男の言う通り、この軍はかなりの速度で移動していた。それは、単純に軍全体が無理をしながら行軍しているからだ。実際、落伍者は既に何人も出ている。


だから、その男が言う事は正しい。

にも関わらず、女性は納得している様子はない。


「関係ない!それでも進む!!」


焦燥に駆られながらそう言う彼女に対し、ハゲ男は眉を顰め不審そうな顔をした。


「...今の姫様には、いつものような冷静さが欠けています。失礼を承知で聞きますが、それほど焦る理由はなんですか?」

「...すまない、それは言えないんだ。」


さっきまでの勢いはどこに行ったのか、落ち込むように下を向く女性。


「...これ以上は詮索しませんが、理由がなければこれ以上の強行軍は賛成できません。良いですか?」

「くっ...分かった。何かあったら私の天幕に直接報告に来い。私はもう寝―――」

「姫様ッ!!!」


二人しかいない軍議用のから出ようと椅子から立った女性。

だが、ハゲ男の並々ならぬ声によってその動きは中断された。


一瞬眉を顰める女性だったが、直ぐに男のその行動の理由を理解する。


「――“ヘルファイア”――」


そして、異常な速度で炎魔術を展開。天幕ごと上に向かって発射した。大勢の魔術師の複節詠唱が必要な魔術を、一人で、しかも魔術名のみの詠唱で展開したのだ。


それだけでその女性が魔術においては異常である事が分かるが、敵もまた異常な存在であった。


状況を確認しようと、魔術によって天幕の上部に開いた穴を覗き込む女性。



―――そんな彼女の眼には、目を疑う光景が広がっていた。


「ヒャッハアアァァ!」


そう叫びながら空から落ちて来る、30人程の人間の集団。

驚きながらも、再び魔術を放とうとするが、もう手遅れだった。


目の前に落下した男が、剣を突き付けて来る。


私も剣を抜こうと柄に手を掛けるが、その時には男の剣が私の喉元まで迫っていた。


「悪いが、あなたには人質になって貰う...!」







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懲罰部隊から強盗団に格下げされました。

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