第32話 世界最強の懲罰部隊

前書きに書くことがなくなった。という前書き(意味不明)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


◇サラステイア視点


「魔術が使える奴は魔術を放て!弓兵はまだ射程が足りてない!」


前線指揮官の男の命令に従い、魔術を練り上げる。


「炎の精霊よ、我らに暖かさと文明を齎した偉大なる炎の精霊よ、

 我が魔力を依り代とし、今ここに顕現したまへ。

 その高貴な炎は石で石すらも溶かす。

 敵に痛みを与えることすらなく、だだ一瞬で灰と化せ

――“青き不死鳥ノーブル・フェニックス”!!――」


巨大な蒼炎が砦目掛けて飛んでいく。ある程度の魔術障壁はあるだろうが、そんなので私の魔術は防げない!


(城壁の上に居る王国兵はこれで全滅ね――)


敵はこちらに攻撃してくる余裕などないだろう。

そう思って更に速度を上げる。


突然、爆発音が轟いた。私の魔術は城壁に当たったくらいでこんな音は出ない。

思わず目を上げると――


「は?」


巨大な水の壁が、砦を覆っていた。

そんなバカな。あんな大魔術を行使出来るほどの魔力を集めるには、1000人の魔術師でも1日掛かりでやるしか...そう考え、思わずハッとする。


(そうか、昨日の王国の動きはそういう意味だったのか!)


昨日、砦に入ったのは全員王国の精鋭魔術部隊だったという事か。

それなら納得できる。


「え?」


だが、巨大な水壁は一瞬で消えてしまった。

更に意味が分からない。なんであんな効率の悪いことをしたんだ?


そう思っていると、砦の壁の上から王国兵が一人飛び降りた。

遠くてよく見えないが、顔には鉄兜をつけており、年齢は良くわからない。

だが、その男は立ち尽くしたままで何もしてこない。

もう訳が分からなくなって来た。


味方もそれは同じなのだろうが、それでも彼らはその男に向かって魔術を放っている。


頭がこんがらがって来た。ここは一旦落ち着かなければ。


(本来の目的を思い出して、私は兄上の仇をうんでしょ?)


思い出すんだ。兄上の最期の言葉を、民の悲鳴を、戦火に燃える街を。

その光景を思い出した瞬間、体が熱くなるのを感じる。


私はこの国の王女。王国兵は、敵だ。


あの男が何故あんな事をしているのかは分からない。ただ、こちらの魔術師の攻撃を防いでるので、魔術の腕に自信があるのだろう。


だが、その程度だ。


実際に、彼は防戦一方で魔術を放って来ない。

もう互いの言葉聞こえるくらいの距離だ。

男が口を開いた。


「こちらに戦意はない」

「ふん!あの魔術を防いでおいて何を言う!!」


思ったよりも若い声だ。何故顔だけ隠しているのか分からないが、素性を明かしたくないのは私も同じだ。顔をフルフェイスの鉄兜で隠した上変声魔術をつかっている為、容姿や声で私が王女だとバレる心配はない。敵から見たら、私の鎧の無骨さも相まって男の騎士に見えるだろう。



私は知っているぞ。クラウディア兄さま王国に人質として差し出されたにも関わらず、王国は約束を反故にして攻め込んできたのを!


こちらに投降したあと裏切るに決まってる。


「―――“太陽神の化身ザ・サンゴッド”!!―――」


私の必殺の魔術。だが、それを見てもその男に焦った様子はなかった。

何故か、少し困惑してそうな表情だ。


「ハァ...まぁいい。時間はあるし、ゆっくり証明する事にしますか。」

「随分な余裕だな!」

「まあね。だって余裕だし。」


私も油断していない。この前、敵の証によって私の必殺の魔術が防がれたのだ。

話している間にも、幾つもの魔術を準備している


「燃やし尽くせ!」


声と共に、空中に浮遊していた灼熱の塊が彼目掛けて飛んでいく。

これで終わりにしてやる!





◇ライト視点


敵の騎士らしき全身鎧。かなりの魔術の使い手なのだろう。

きっと鍛錬を積み重ねてきたのだろうが、圧倒的魔力の前では無駄だ。


ちなみに、俺が鉄兜を使って顔を隠しているのは、剣聖の息子が大きな力を持っていると思われたくないからだ。


「――炎よ、壁となりて出現せよ――」


俺が選んだのは、炎の魔術。土の壁だと厚さが足りなくて貫通される。水だと水蒸気爆発で敵の全身鎧が吹き飛びかねない。木は燃えるので論外。


詠唱も短い、ただ炎を出現させるだけの魔術だ。


「はっ!そんな魔術で―――」


だが、込めた魔力量の桁が違う。

出現した炎の色は、深い青。先程の全身鎧の青い炎は白っぽかったが、俺のはもっと高温だ。しかも巨大。


全身鎧の魔術は、その巨大な炎にあっけなく呑み込まれた。


「なっ!?」

「言ったろ、余裕だって。」

「...バカな。それ程の魔力量、どうやって手に入れた?」

「寝てたら」

「チッ」


あ、これ信じてないやつだな。まぁ少し語弊があるのは認めるが、実際に寝てる間に魔力量が増えたのだ。


「俺の魔力量も見た事だし、諦めてくれたりしない?」

「...あまり舐めるなよ!」


...............

............

.........

......

...



結局、日が暮れるまでコイツの相手をすることになった。多分魔力切れが近づいたのだろう。最後の方はものすごいフラフラしてた。そこに全身鎧の側近らしき少女割り込んで来て、全身鎧を自分たちの陣地に引っ張って行った。


他の敵は固まってたよ。まぁ、結構レベルの高い戦いだったからな。



まぁ、そんな事はどうでもいい。

俺は今物凄いイラついてるのだ。


戦っている最中気になったのだ、「懲罰部隊の皆はどうした」と。

戦いが終わって砦に戻ってきて最初に見えたのは、火を囲って酒を飲みながら談笑してる奴ら。つい思ってしまったよ。「あれ、掃除漏れが残ってたのかな?」ってね。


そして、今に至る。


「だってお前一人でなんとかなりそうだったし。俺達やる事ないだろ?」

「それにしたってもう少しやりようがあるだろ。応援するとか」

「え?お前俺達に応援してほしいの?頑張れライトさまー♡って?」


ガルが猫なで声で気持ち悪いことを言うので、鳥肌がブワッて出た。


「気持ち悪っ。いや、そうじゃないんだけどさぁ...なんというか、うーん...」

「もういいじゃねえか。戦いお疲れさん。ちょっと見てたぜ。やっぱ強いなお前。」

「...ハァ。まあ良いか。俺も混ぜろ」


そう言うと、俺はガルのとなりに腰を落とす。


「なんか飲み物くれ。一日戦ってたせいで何も飲んでないんだ」

「酒でいいか?」


物は試しだ。飲んでみるか。


「あぁ、頼む。」

「そういえば、飲んだことあんのか?」

「ない。」

「酔いつぶれないよう気を付けろよ」


それは大丈夫だろう。気持ち悪くなっても酒を飲むほど俺はバカじゃない。





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最近、タイトルを変更しようか迷っています。

この前のように短くするだけではなく、もっと大幅な変更です。


具体的には、なろう風に「冤罪で監獄にブチ込まれた剣聖の息子、敵国に寝返り最強の魔術師として復讐を果たす」みたいなwwww



そして、今ありがたいことに約1800pvついています。

二乗したら3000000pvなんですよ。

だから「祝!√3百万PV!!」って付け足すのも良さそうですね。






冗談です。

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