第31話 ライトのお掃除講座
帰国もしたことですし、投稿頻度を上げていきたい。
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俺の名前は、ケダイ・カデ。
スラム出身だった俺が生きるためには、犯罪に手を染める必要があった。
何度も盗み、殺した。
だが、段々とそれが楽しくなってきやがった。
自分が生きるためだけでなく、趣味で殺人や凌辱をするようになった。
自分がヤベェ事をしてるって自覚はあるが、やめる気にはなれなかった。
その日も適当な女を攫って犯そうとした。ただそれをどっかの騎士サマに見られてしあったらしい。ミスをしたことに気付かず、間抜けに腰を振ってたらボコされて捕まっちまった。
まぁヤバイ事してたって自覚はあったんで、間違いなく処刑される。だから「これで終わりかぁ。ま、結構楽しめたしいいか。」なんて考えていた。
だがそんな俺の考えとは裏腹に、俺は監獄に送られる事になった。
そこで他の囚人たちをボコしながら暇をつぶしてたら、王国から兵士といして敵国に攻め込むよう指示が出たんだ。神様ってのはクソだと思っていたが、この時ほど神に感謝したことはねえ。
ともかく、俺はそんなこんなで異大陸に行くことになった。
砦に到着した時は少し安心したが、それ以上に興奮があった。
王国兵共が撤退していくのだ。
つまり、ここに残っているのは俺達クズ共。その中だったら、俺は間違いなくトップに立てる。
この砦の中では、俺が王様だ。
〇
「では、第3回目の会議を始める。」
今回は砦の地下だ。相変わらずカビくせぇ。
「さて、今回の議題もこれからについてだ。何か意見がある奴は言え。」
「とりあえず、他の囚人共を殺そうぜ。」
俺の問いに、少しも間を開けずにガルが答える。
周りを見渡すと、皆その意見に賛成してそうだった。
「俺も同意見だ。俺達のいた監獄島では、ただのクズが精神を保てるような場所じゃない。冤罪や勘違いであそこに送られ、怒りや復讐心、正義心などで心をなんとか保ってた奴だ。」
ここに居る連中以外でも、魔力切れを起こしている奴は何人もいた。だが、そこから人と話せるくらいの精神が残ったのは俺達だけだ。
「だが、他の奴らは別だ。あいつらは間違いなくただの犯罪者。クズだ。特に、あのケダイとか言う王サマ気取りのクズは気に入らない。現に俺達はアイツに命令されて食料を取りに行かされた。」
俺達は食料を取りに行くという名目でここに来て会議をしているのだ。
「砦の中は王国軍も合衆王国軍も見えない。アイツらが死んだら砦が陥落して俺達も死ぬ、という事も考えらるが、あんなクズども千人いたって俺達には敵わない。」
世界で最も魔力の強い30人を集めても、その枠に俺達がそっくりそのまま収まるだけだ。ただ魔術自体使ったことがない奴もいるので、最強の魔術師になれるかというと話が変わってくる。まあその辺も俺が教えていけばいいだろう。
「だから、俺達はアイツらを皆殺しにする。それでいいか?」
皆の顔を見渡す。特に意義はなさそうだ、と思った時、クラウが口を開いた。
「アイツらの中にも冤罪の奴が居たらどうする?」
「あぁ、それは俺も考えた。確かにありえそうだから一応最初に声を掛けておこう。“罪を犯したことがないってやつは手を挙げろ”てな。その後10秒待ってから殺す。これでいいか?」
「まぁ、いいだろう。仮にいたとしても足手まとい間違いなしだしな。」
これで決まりだ。
「じゃあ、早速始めるか。地上に戻ったら早速始めよう。」
〇
地上に戻ると、目の前には酷い光景が広がっていた。
談笑したり、殴り合っていたり、何処から持ち出したのか酒を飲んでる奴もいる。
コイツら、ここが戦場って分かってんのか?
「おいお前ら、食料は持って来たんだろうな?」
呆然としてる俺に声を掛けてくる奴が居た
王サマ気取りのケダイだ。
「いや、持ってきてない。」
「は?舐めてんのかテメェ!?」
結構大きな声を出したからか、それとも他のクズ共もケダイがここの実質トップだと思っているからかは分からないが、全員がこちらに目を向ける。好都合だ。
俺はケダイを無視し、ありったけの声で叫ぶ。
「今からお前らを皆殺しにする!自分は罪を犯した事ないって奴は手を挙げろ!」
一瞬の静寂の後、笑いの渦が巻き起こる。
全員バカにしたような下品な笑い声だ。
「ハハハハハハハ!!あいつらバカだ!!」
「頭のネジどっかに置いて来たんじゃねぇの!」
「傑作だ!アッハッハッハ!」
まぁ、やっぱこうなるよな。想定内だ。
「後5秒待ってやる!」
「おい、聞いてんのか?あ?殺すぞォ!!」
さっきからやかましいケダイを尚も無視し、時が経つのを待った。
「4、3、2、1。タイムオーバーだ。殺す。」
「了解!」
「待て、俺がやる。お前らは手を出すな。」
さて、今からちょっとお掃除をするのだが。
ここで大事になってくるのは、いかに綺麗に掃除出来るかだ。
グチャグチャに殺してしまったら最悪だ。俺達だけじゃその後始末が出来ない。
ハエやカラス、ネズミが集って砦の外の連中も何が起きたのか察してしまうし、俺達も死体が発生源の疫病か何かで死にかねない。
死体を放置した事で発生した疫病で崩壊した軍隊だってあるくらいだ。
という事で、やっていきましょう!
第1回ライトのお掃除講座!
「ウィンド」
まずはゴミを一か所に集めます。
「な、なんだ!!風か!?」
「う、うわああああああぁ!」
「クソ!テメェ!何しやがる!」
「アースホール」
次に、大きな穴をいくつか掘ります。その穴にゴミを落としましょう。
ゴミも自分たちの行く末を察し、喚きますが無視しましょう。
「や、やめろ!!」
「俺は本当は冤罪だったんだ!許してくれ!」
「ファイア」
次に、ゴミを焼却しましょう。
「ぐあああああ!!」
「熱い熱いあづいイイィ!」
「ギャアアアアアァ!助け――」
最初は少し騒音が気になりますが、直ぐに静かになります。
コツは、最初から強火で炙る事です。
その状態で少し焼いたら真っ黒になるのります。その上に土をかぶせましょう。
「―――土よ、穴を塞げ―――」
今までは魔術名のみの詠唱でしたが、穴を塞ぐ魔術なんてないのでここだけ詠唱魔術でしましょう。
「はい、完成!!」
さっまで沢山あったゴミは、今は少しも残っていません!まるで最初から何もなかったかのような綺麗さです!
「お前、結構エグいな」
「流石にちょと引いた」
まぁ確かにエグいけどさ。ここまでしないと俺達が死にかねないんだよなぁ...
「にしても、ガチで綺麗になったな」
「でしょ?死体掃除なんてするよりはずっとマシだよ」
〇
「行け!侵略者から砦を取り戻すんだ!」
「「「了解!!!」」」
指揮官の命令の元、合衆王国軍が動き出す。
連日の砦攻めで疲弊した兵士に代わり私達後方の兵士が攻め込むことになったのだ。
とは言え、昨日の王国軍の動きは不気味だった。増援を送ると思えば、元居た兵士と精鋭らしき兵士も撤退していったのだ。王国の行動の真意は分からないが、砦に入ったばかりであまり敵が準備出来ていない内に攻め込む。
兵士達は元々後方員だが、私が居る。もうこのまま攻め滅ぼしてやる。
兄上の仇だ、覚悟しろ。王国兵ども!
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ケダイ・カデ。逆から読んだら...
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