第26話 かつての騎士
昨日の定期テスト最悪だった...
今回は監獄の囚人さん視点です。主人公とはまだ接点はありません
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この地獄にきてから、どれ程たっただろうか。
家族があの悪魔に殺されて、最初は絶望した。しかし、だんだん怒りが、耐えようのない憤怒が私を襲った。なんとしても復讐してやる、と思った。
だが、現実はそう上手くはいかなかった。何度も脱獄しようとするも、その全がて失敗。果てには全てに絶望して、自殺しようとした。しかし、それさえ阻まれた。
あの悪魔が命令したのだろう。私に生き地獄を味合わせろ、と。
―――主君、いや、あの悪魔は、全てを欺いた。
あの悪魔の表の顔は貴族。貴族としてのあの人の事を、とてもいい人だと思っていた。この人に生涯仕えよう。とさえ思ったほどだ。領民に優しく、常に弱きものを助ける。そんな理想の貴族だった。
―――そして、裏切られた。
あの悪魔の裏の顔は、奴隷商人。たまたま、本当にたまたま、見てしまったのだ。
いつもは優し気なその人の顔が醜悪に歪んでいて、前にいる人間と話し合っていた。
騎士という仕事柄、いろんな犯罪者の顔を見てきた。その経験が、俺に語り掛けて来た。領主と、そして領主と話し合っている男は、間違いなく闇の住人の顔だ、と。何人も殺してきて、しかもそれを何とも思っていない。そんなヤツの顔だ、と。
それで、確信した。確信、してしまった。
―――この領主は、間違いなく悪の類いだ、と。
自分で探ってみたら、直ぐに分かった。最近誘拐されている子供たち。その行方は、奴隷。あの領主がその事を仕切っていたのだ。
それからの生活は辛かった――といっても、今ほどではないが――。私のの雇い主であり、忠誠を誓った相手が、間違いなく悪だと確信してしまって。でも、次の日見た領主の顔はいつも通り優し気で。それを、疑う自分が居て。
自分には家族が居る。だから、そう簡単に騎士なんて安定した職を捨てる訳には行かない。そう思って妻にに相談した。
――――それが、いけなかったのだろう。秘密は、自分の胸の中に秘めておくべきだったのだ。妻と話し合っている時、物音がした。そちらに目を向けると、目を見開いた私の子供が居た。
私たちの会話を聞いていたのだろう。その子は唖然としていた。私は自分の浅はかさを呪いながら、絶対にこの事を口に出しては行けない、と約束させた。
その事から、一週間ほど経った頃だろうか。私はその日、いつも通り家を出て領主の館に行った。何事もなく訓練と見張りを終え、帰路についた。
――――そして、家に帰ると、家族が死んでいた。
最近第二子をお腹に宿したばかりの妻は腹を引き裂かれ、胸からは剣が生えていた。
俺は何があっても父さんの味方だよ!と言ってくれた息子の頭は、真っ二つに割れていた。
直ぐに衛兵がやってきて、唖然としてる私を拘束した。
そして私は家族殺しの罪をでっち上げられ、この地獄に送られた。
息子は、誰にも言わないと約束してくれた。けど、まだ13歳だ。友達にあの事を話してしまったらしい。そして、その友達が親に言い、親が領主に告げ口したのだ。
悪魔が、嬉しそうにそう話していた。“息子のせいで家族が死んだ気分はどうだ”と。
何度も思った。息子の口が、もっと堅かったら。いや、絶対に言わない。という約束を破ってしまったのは、偏に私の信頼のなさなのだろう。でなければ、約束を破ったりしなかった筈だ。
言霊のように、絶対にいい聞かせる力が私にあれば...
〇
――この地獄にきてから、どれ程経っただろうか。
最近はここにいた囚人に教えてもらった“魔力切れ”を繰り返している。
もう、このまま寝ていよう。そう思っていた。
――――その時、外から戦闘音が聞こえた。久しぶりに目を覚ます。
...ここが攻められているという事は、この国は危機なのか。
いや、それももう関係のない話だ。あの悪魔が居る国など、滅びてしまえ。
そう考え、再び眠りにつく。
...............
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.........
......
...
少し時間が経った頃、声が聞こえた。
「――解放してやれ」
〇
最後に浴びたのは何年前か、もう忘れてしまった程久しぶりに太陽の光を浴びる。
外に出された私たち囚人は、一か所に集められていた。
...といっても、その数は少ない。だいたい30人程だ。きっと、まともに会話できる囚人がこれだけだったのだろう。
あの地獄を耐える――といっても偶々自我が残っていただけだが――方法はただ一つ。魔力切れで楽になる事だ。ここにいる囚人たちも、皆そうやって眠っていたのだろう。
そんな囚人達の前に一人の少女が出てくる。
高貴さとを纏いながらも、芯が通っていて、強い意志を持った目をしている。その雰囲気から彼女が強者である事も分かるが、彼女は悲壮な表情をしていた。
そんな彼女が、口を開く。
「――君たち伝えたいことがある。」
反応はない。皆、どうでもよさそうな顔をしている
「今日、私たちはとある人物の救出のためにここに来た。――といっても、それは叶わなかったけど。その代わり、というのは何だが、私達はこれから捕虜を救出する」
囚人たちの虚ろな目が、“何が言いたい”と言っている。
王女が、再び口を開いた。
「そこでだ。私は、あなた達も救出することにした。」
囚人たちは目を見開いた。今度は“何故そんなことを”とでも言いたげな顔だ。
王女の近くにいた側近らしき少女も驚いていた。
「あんな地獄に長い間いて、自我が残っている。それは、あなた達が強い心を持っる事の証明だ。ただの凶悪犯罪者に、そんな物はない。」
彼女は、それに――と言葉を続ける。
「私は、あなた達がただの悪党だとは思えない。これでも人を見る目には自信があるんだ。それに、あの王国の事だ。正義感を持ちすぎた者、不正を知ってしまった者。ただ誤解されただけの者。そんな人々を地獄に送るくらいよくするのだろう。」
「――だから、私はあなた達が悪がとは思わない。」
その一言に、救われた。
きっと、彼女が言う通り、ここにいる囚人たちは冤罪や騙されたりしてこここにきたのだろう。
皆も、救われたような表情をしていた。
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今日から海外旅行行ってきます。
カンボジア?だった気がする。
なんか俺のテスト期間中に話がついてたらしく、つい最近その話を聞きました。
向こうでも空港とかホテルで投稿します。
投稿頻度は下がるかもしれませんが、よろしくお願いします!
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