第19話 無謀な計画
なんか公式からメール?来て確認したんだけど、コンテストに応募?するには2週間後までに10万文字書かなきゃなんだって...原稿用紙に換算すると160枚以上...
こっちは学生なんじゃボケェ!!(ごめんなさい)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「...証?」
「うん、証だ。それを使えば、もしかしたら脱獄出来るかもしれない。何というか、オレの証、物凄いおあつらえ向きなんだよ...」
「いや...普通に対策されてる筈だろ。」
「確かに、普通ならね。けど、オレは特別なのさ。」
...なんやコイツ。ちょっと鼻につくんですけど。
「...それはどういう意味だ?」
「オレの証、性能がめっちゃ尖ってるから戦争で使ったことないんだよね。だから、王国はオレの証について何も知らないと思う。」
「それはそれで警戒される気がするんだが...」
「そうだね。だけど、多分王国側はオレの証について誤認してる。」
「誤認?」
「うん。オレ、証は全然使えないんだけど、その代わりと言うべきか、魔術戦がメチャクチャ得意なんだ。その魔術力が証の力による物だと誤認されるくらいね。」
「...マジかよ」
証というのは、魔術や人間の技術ではありえないような事が可能になる、人智を超えた力だ。つまり、アベルはそんな証に見間違われる程の、想像を絶するような強さを持っているのだろう。
「...じゃあ、その証、具体的にどんな奴なんだ?」
俺がそう言うと、アベルは物凄い複雑そうな、だが少しだけ誇らしげな顔をした。
「―――どんな鍵も開けることの出来る力さ。」
「......フっ」
「お前今笑ったな!?」
「まぁ、それは置いといて。確かにこの状況じゃ物凄い役に立つな。この時の為の力かって思うほどだよ。......なんか、捕まる事が前提なのが面白いなよな。使いどころ少なすぎでしょ。」
「お前、ちょっと馬鹿にしてない?」
「なんでそんな証が手に入ったんだろうな。不思議だよ」
基本的に、証ってのは戦闘用の物ばかりだ。アベルの証は戦闘にも使えそうにないし、何より実用性がなさすぎる。諜報員とかだった向いてるんだろうけど。
「...なんか、小さい頃に、どうしても開けたいものがあってさ。ずっと神様にお願いしてたら、何故か開けられるようになってたんだ。」
...そんなもんか?確かに、証には強い思いが必要って聞いたことあるけど。
じゃあなんで俺には証がないんだろうなぁ...あれほど力を願ったってのに。
「結局、それは開けられたのか?」
俺がそう聞くと、アベルは満面の笑みで答えた。
「もちろん!おかげで世界で一番大切な物が手に入ったのさ!」
「ふーん...」
アベルの言う大切な物が何なのかは少し気になるが、そんな事より大事な事がある。
「...早速だが、その証を使ってどう脱獄するのか話し合おう。」
.................................
..........................
......................
..................
.........
......
...
「じゃあ、その案で行こうか。」
「りょーかい。決行はいつ?」
「そうだなぁ...今日しっかり睡眠をとったら、すぐに決行しよう。早ければ早い程良いからな。」
○
俺達が考えた案は至ってシンプルだ。鍵を開けて牢から出る。そして出口を目指しながら、全力で走り抜ける。鍵のかかった扉があったら、その度にアベルの証を使って開ければいい。
けど、俺たちはここがどんな造りになっているのか、その位の看守が居るのか等の、具体的な情報を何一つ持っていない。
それに、ここは大海のド真ん中にある離島。監獄から抜け出せても、そこから先の事はどうしようもない。
...俺も、この計画が無謀なものであある事くらい理解している。だが、このチャンスを逃したら、俺にはもう未来がない。
アベルは、この後王国に移送され、そこで公開処刑されるらしい。アベル自身の名誉と、合衆王国の王族としての誇りにかけてそんな風に死ぬ訳には行かないらしい。
“公開処刑されるくらいなら、自分で死んでやる”アベルがそう思っているのだろう。俺が待ったをかけても、アベルは止めないし、止めたとしてもその先には無様に処刑される未来が待っているだけだ。
だからこその、この無謀な脱獄計画なのだ。
.................................
..........................
......................
..................
.........
......
...
その日の夜、硬い石の床の上寝そべっていると、アベルに話しかけられた。
「お前、脱獄したらどうするの?」
互いに顔に目を向ける事はなく、ただ上を向いたまま答える。
「...どうしようかねぇ。国に帰るのは論外だし、かと言って他の国に当てがある訳でもない。全く、お先真っ暗だよ。」
「...じゃあ、オレの国に来ないか?」
「お前の国って...合衆王国にか?」
「あぁ、そうだ。王国に戻っても未来はないんだろ?それにその様子じゃ愛国心もなさそうだし。オレの国に来れば、ついでに復讐も出来る。」
「そうだなぁ...考えておくよ。」
「...そうか」
アベルが残念そうな声でそう言う。
そして、少し真剣な雰囲気を滲ませると、こう言った。
「分かっていると思うけど、この脱獄計画が無謀な物だ。」
「...あぁ。」
「そこでだ。もしオレが死ぬことになって、君が生き残ったら。とある人に、伝えて欲しいことがある――――」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はあと1話出します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます