ターニングポイントⅠ 「冤罪」
学校クソだるいです。
だから一週間も投稿できなかったんです!
許して!!今回であらすじに追いつくから!
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翌朝、昨日の事を思い出しながら最悪な気分で馬車に揺られること数分。
学園に到着し、教室に入るとーーーー
「...?」
教室に生徒全員が、一斉に俺の方へ目を向けた。
何対もあるその目達が、疑惑と嫌悪感に満ちた物であると気付くのに、さほど時間を要さなかった。
(嫌な予感がする......!)
「おい」
ーーーそして、殺気に満ちたヒロの声を聞いた瞬間、それが間違いでない事を確信する。
「お前、昨日は何処で何をしていた?」
...身に覚えがない、とは言い切れない。俺は、リスクを背負う事を承知し、それでも強さを欲して犯罪者であるエルに教えを頼み込んだのだ。
だが、罪に問われる事といえばそれ位だ。そして、その事以外でヒロにブチギレられるような事をした覚えはない。
「...それが人に物を聞く態度か?」
最初から疑って掛かり、殺気まで向けて来るヒロの態度に苛立ちながら聞き返す。
しかし、そんな俺の問いを無視し、尚も話しかけてくる。
「早く質問に答えろ」
「...断る」
俺には、エルとの約束がある。答える訳には行かないのだ。というか、言ったら殺される気がする。
「...ふざけるな!!」
「ふざけてなどいない!さっきから何なんだよ!」
激高したヒロに俺は怒声で言い返す。本当に何なんだ!
しかし、俺のその言葉を聞いたクラスメイト達が「言い逃れするつもりか!」「いい加減認めろ!」とか訳の分からん事を言って来た。
「とぼけるなよ...!!」
ーーー怒りが限界に達したのか、ヒロが剣を抜く。
そして、見下した様な目で俺を見て、吐き捨てるように言葉を発した。
「...クズが!」
...何も事情を聞かされないまま多くの人間に責め立てられ、挙句の果てに暴言を吐かれる。俺の事を舐めいるとしか思えない態度に、俺の怒りも頂点に達した。
そしてその怒りのまま、俺も剣を抜き放つ。
「ふざけやがって...お前のその態度は前々から気に入らなかったんだよ!!」
「正々堂々と戦った挙句無様に負けたのはお前だろ。それを気にしてるのか?」
何時もとは違う口調で煽ってくる。
「いい加減にしろよ...ッ!」
「お前がな...!」
そして、二人の間に火花が散る。
...表現的な意味ではなく、実際に、剣と剣がぶつかることで火花が生じたのだ。
一瞬の鍔競り合いの後、すぐに斬り合いに発展した。上から、横から、何度も斬りかかる。しかし、そのすべてをいなされた。
コイツ、剣術も出来るのかよ!?
「クソがァ!」
しかし、剣による斬り合いも長くは続かず、俺はヒロの無詠唱魔術によって教室の端に吹き飛ばされてしまう。
「ガッ...!」
壁が背中に当たり、肺にある空気が吐き出されて意識が遠のく。
頭を打ったせいか、酷い頭痛がする。
それでも何とか顔を上げると――そこには、剣を振り上げた状態のヒロがいた。
(不味い...ッ!)
思わず左手を顔の前に出して目をつむる。
しかし、予想していた衝撃は来なかった。
代わりに“ボトッ”と、何かが落ちる音が聞こえる。
そして目を開けると――綺麗な断面が、見えた。
「...は?」
――俺の、左手が、ない――
「...う、あ、あぁ、アァァァア゛ア゛!」
脳みそが焼き切れるかのような痛みと。
体の一部を欠損した時にしか生じないであろう、押しつぶすような喪失感。
そしてそれは、自分がもう、剣を振れないことを意味する。
(なんでなんでなんでなんで――)
今までに感じた事のない痛みと、喪失感、そしてそれに伴う絶望感。それらでのた打ち回る俺を見ているヒロは、未だに見下した様な冷たい目をしていた――
○
「では、ライト・スペンサーには、監獄島への追放を言い渡す。」
その貴族裁判の結果は、ハッキリ言って最悪な物だった。
監獄島への追放は死刑の次に重い刑罰だ。そして、貴族に死刑が施されるのは、王家や国家に反逆した時のみ。つまり、実質最も重い処罰が俺に下された事になる。
罪状は、強姦。
最悪な事に、あの夜俺が助けた女性は記憶が混濁しており、俺の事を犯人だと思ったらしい。
そして更に最悪なのが、その女性が国内でも――いや、世界でも希少な聖魔術の使い手、いわゆる“聖女”であったという事。そう、いつもヒロの近くにいたあの女子生徒だ。
事の顛末はこうだ。
俺を犯人だと勘違いした聖女が、ヒロに“ライトに無理やりヤラれた”と言った。
それを聞いたヒロブチギレて俺と戦い、勝利。何事かと思って学園側が捜査を始めると、怪しい情報が出るわ出るわ。
元々劣等感を抱いていた俺がヒロにボコされ、しばらく学園に来ないでスラム街でよく出没。
そして今までとは大きく変わった謎の戦い方――学園関係者の中に犯罪者であるエルの事を知っている人物がいて、その人物が俺の戦い方を見て疑問に思ったらしい――で再びヒロに挑むも敗北。
そしてその日にヒロと仲のいい女性がスラムで襲われた。俺もその時スラムにいた。
俺にスラムに居た理由を聞くも、「言えない」の一点張り。
...自分で言うのも何だが、確かに怪し過ぎる。
恩を仇で返された、という事だ。あんな女助けなきゃ良かった。
手段を選ばずに、ただひたすらに強さを求めた結果がこれ、か...
「ははっ。皮肉だなぁ。」
俺は裁判場にいる多くの人間が侮蔑と軽蔑の籠った目で俺を見ているのを感じながら、虚ろな目でそう呟くのだった。
地位も名誉も、そして何よりも努力してきた剣さえも奪われた。
もう、俺には何も残っていない――――
いや、この怒りだけは、絶やしてなるものか。
絶対に、許さないからな――
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やっとここまで来れた...
けど、想定してるイベントの数的にはまだ全体の百分の一くらいなんだよなぁ...
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