第14話 再び、敗北
昨日は忙しかったんだ。
許してくれ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺の切り札である二段階爆破。俺が持つ最大の火力と破壊力を持っていたそれの直撃を受けたヒロ。
だが、ヒロは生きていた。体中が傷だらけだが、四肢の欠損とか内臓がはみ出たりとかもしていない。
「...まさか、君にそんな発想が出来るとは思わなかったよ。」
「...クソが」
「けど、もう終わりだよ」
悔しいが、その通りだ。自分には剣もなく、切り札は防がれた。
あれで倒れないなら、何で倒せるんだ?さっきのは俺の最大火力だったんだぞ?
「僕も、君の努力に応えるとしよう。」
そう言うとヒロは剣を鞘に納め、目を閉じると手を前に突き出した。
「ーーー風よ、常に流動する大気よ。それは時には緩やかなそよ風となり、時には全てを吹き飛ばす暴風となる風よーー」
...無詠唱は、使い慣れた魔術の感覚を頼りに発動するものだ。故に、一発一発の魔力消費量が多く、連発出来ないタイプの魔術は、無詠唱で放てるようにするのは難しい。つまり、無詠唱を扱えるコイツが詠唱しているという事は、今放とうとしている物が高度な魔術である事を示している。
「ーー今、その流れの全てを結集させ、破壊の嵐となりて発現せよ!ーー」
ヒロは一度詠唱をやめると、目を開けてこちらに試すような視線を浴びせると、再び口を開く。
「ーーー風神の息吹!ーーー」
そこで、俺の意識は途絶えた。
...............
.........
......
...
「結局、負けたのか...」
俺は屋敷にある部屋で一人ため息をつく。
あの時、俺はヒロの魔術によって場外に吹き飛ばされたらしい。俺が医務室で意識を回復した時、ウィリアムが煽りながら教えて来た。
アイツに負けたことは滅茶苦茶悔しいけど、学んだ事も多かった。何よりここ3週間の努力を全てぶつける事が出来たからか、とても清々しい気持ちだ。
...そうだ、今日の戦いの結果とか反省点とかをエルに報告しに行こう。
「次こそは勝ってやる!」
俺はもう、負けた事が悔しくて何もかもが面倒くさくなったあの時とは違うのだ。
...............
.........
......
...
~ヒロ視点(3週間前)~
目が覚めた時、僕は知らない場所に居た。
何故ここにいるのか、記憶を手繰り寄せようとするも、何も思い出せない。
分かるのは、自分の名前が「ヒロ」であること、それだけだ。
ふと気になって周りを見渡してみると、全く知らない景色が広がっていた。
そして、それから僕は、正に激動という表現がピッタリな時間を過ごしていくことになる。
○
人が魔物に襲われているのを見つけて助けに入ったら、助けた相手がこの国?じゃ貴重な聖魔術の使い手だったとか何とかで感謝され、お礼としてその聖魔術の使い手
(聖女と呼ばれているらしい)に話しかけられる。
「年齢も近いみたいですし、その年であれほど魔術が扱えるのでしたら、我が国の学園に通ってみませんか?いろいろ学べますよ!」
何故自分に記憶がないのか、どうしたら記憶が戻るのか。そして、ここで生きていくなら、ここでの知識や常識を知って置いたほうがいい。
そう思い、聖女さんの誘いを快諾した。
○
転校してすぐ。とりあえず強そうな貴族様に喧嘩を売ってみた。たかが平民と貴族に舐められない為でもあるが、ここでの強さのレベルを知っておきたかったからだ。
あと、そいつの事が目に入った瞬間、何故か強く惹かれたからでもある。かつての知り合いか何かだろうか、と一瞬考え、戦っているうちに何か思い出せるかもしれないと思い、戦いを申し込むことにしたのだ。
ただ、戦いが始まってすぐ、喧嘩を売る相手を間違えたと思った。この国の強さのレベルと言っても、剣術じゃそれは分からない。確認しておきたかったのは魔術に関する事だったのに、コイツはに相手は剣でしか挑んでこないのだ。
しかも、コイツも戦い方に違和感を覚える。やっぱり人違いか?
ずっと努力してきたのか、そいつの剣の腕はそこそこ高かった。
だが、僕に近づけもしない時点でそれもたかが知れている。
「まぁ、こんなもんか」
思わず言葉を漏らすと、相手ーーライトという名の対戦相手の顔が悔しそうに歪んだのが印象的だった。
○
1日目からいろいろやった僕だが、その後は割と普通の学園生活を送れたと思う。
聖女さん(アメリアって名前らしい。)と仲良くなったり、普通に授業を受けたり。
記憶がないせいか、何処か寂しさを感じるものの結構楽しい学園生活だ。
そして、学園に転校してから3週間経ったある日、僕は再びライトと対戦することになる。
ーーー前回の戦いで学習したのか、ライトは魔術が使えるようになっていた。
なかなかトリッキーな使い方をしていて、最後の爆発は結構ヤバいなと思ったが何とか凌ぎ、こちらも詠唱魔術で反撃して場外に吹っ飛ばし、そこで試合終了。
今回も悔しそうな顔をしていたが、前回から学んで対策を練って挑んできたヤツだ。
きっと、また強くななって挑んでくるだろうーーーそう、思っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はあと2本、出来れば3本出したい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます