第11話 婚約者
「最近、学園に来れてていないようですが...」
「は、はぁ。」
「なんで来ないんですか?」
(め、めんどくせぇ...なんて言い訳すればいい?いや、もう普通に答えるか。)
「俺、この前平民に負けたんですよ。」
「...」
そう言うと、ラウラは少し気まずそうに目を逸らす。恐らく、というか十中八九
俺がその事を気に病んで学園に来なくなったと思っていたのだろう。
「それで、このまま負けてなるものか!って特訓をしているんです。」
「...じゃあ、今からどこに行くのですか?私、心配してたんですよ?何回もこちらの屋敷を訪ねたのに、毎回どこかへ出かけいるんですもの。」
畳み掛けるようなラウラの問いに、思わず言葉を詰まらせる。
...今更になって気づいたが、こんな朝早くから訪ねるのはおかしい。おそらく、前に来た時に、俺が屋敷にいなかったから「今日こそは」と、かなり早い時間から俺が出てくるのを待っていたのだろう。律儀なことだ。
...なんて答えればいい?これは正直に答える訳にはいかない。
全然良い言い訳が思いつかない。
「と、特訓です...」
「だから、何処にですか?訓練場ならあなたの屋敷にもありますよね?」
......ヨシ、逃げよう!
「あー!もう待ち合わせの時間になってしまう!それじゃ!」
「ちょ...っ!」
次会った時のために、言い訳考えておかないとなぁ...
...............
.........
......
...
ラウラをなんとか撒いた後、俺はスラム街の道を進んでいた。
この道ももう慣れたな。なんて考えながら歩き続け、いつもの広場に付く。
広場、と言っても噴水とかベンチはない。太陽の光が差さず、朝なのに薄暗い。
薄汚く、少し開けただけのところだ。
「おはよう!今日は少し遅かったじゃないか!」
「ちょっと絡まれてしまって...」
「...?まあいいけど。そんな事より、今日は少し話があるんだ!」
「話、ですか?」
「そうそう。君、そろそろ自分がどれくらい成長できたか試したい頃じゃない?」
確かに、ここ3週間はエルとの特訓しかしてない。たまに学園に行った日は、必ずウィリアムが勝負しろと迫っているが、あまり戦い方を見せない為に全て拒否している。この戦い方は一般的じゃないから、誰から教えられたのかと詮索されるかもしれないからだ。
自分が成長しているという確信はあるが、それがどれくらいかは他の人と戦わないとわからない。
それと...そろそろアイツと再戦したい。まだ無詠唱は使えないがから勝てるかは分からないが、今ならもう少しまともな戦いが出来る確信はある。
あの時の敗因は、俺に遠距離攻撃の手段がなかった事だ。そして、今の俺にはそれがある。
「そうですね...」
「明日、学園に行ってみると良い。それで、君が言ってたヒロってやつに喧嘩を売るんだ。どうだい?」
そして、エルの口から出てきた言葉は、俺の考えを肯定するものだった。
ーーーーこうして、俺は明日ヒロとの再戦を決心するのだった。
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いつも通りの本日2本目
やはり、というべきなのか、投稿頻度を上げようすると文字数が少なくなってしまう。いや、元から少ないんだけどね?
あと、星下さい。
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