第13話

地下へと進む会土丹を降りている四人。

どんどん潜っていく一方で、徐々に明るくなってきている。

しばらく歩いていると、大きな鉄の扉が現れた。


「ここですね…。」

「いかにもって感じの扉だな。」

「そうですね…。」

「皆準備はいいか? 開けるぞ。」


全員無言で頷く。

そして扉を開けるとそこには、上の廃墟に似つかわしくない部屋が広がっていた。

上の大広間ほどの広さがあり、隅々まで清掃が行き届いており、家具や食器などもきれいなものばかりだ。扉も複数あり、一部屋ではないようだ。

すると奥の扉から、一人の女性が現れた。

女性は長い紫色の髪を携え、とんがった帽子をかぶっている。


「なぜここまで来た貴様ら。と言うべきか、よく来たなと言うべきか。まあどちらでもいいさ。下から見とったぞ貴様ら。」


大和たちは武器を構える。

只ならぬ雰囲気を醸し出す女性は、とてもおぞましいオーラを放っている。


「お前は何者だ? 」

「私か? 私は魔王軍幹部の魔女ルマリーザさ。」

「魔王軍…。」

「幹部…?」


その言葉を聞いて四には体にぐっと力が入り、能動的にスキルを発動する。


「まあここまで来たんだ、私を退屈させてくれるなよ? 」


ルマリーザは自信の背後に巨大な魔方陣を出現させた。

そして魔法陣から、無数の矢を放った。

しかし、エドが巨大な土壁を生成し、ルマリーザの攻撃を防ぐ。


「ほーう。 下で見とった時のやつ。なかなか頑丈だね。 じゃあこれはどう? 行け我が僕ども。」


次にルマリーザは、泥人形とスケルトンを数十体召喚した。


「こっちも攻勢に出るぞ。」


前方で大和と白が次々と魔物達を倒し始めた。

後方からそれを援護する形でエドが弓を放っている。

しかし、数が一向に減らない、次々とルマリーザが召喚し続けているのだ。


「ほらほら、どーしたどーした。」

「くっ…。キリがねーな。」

「一体一体は大したことねーが、これだけの数がいるとな。」

「やはり魔物を操っている本体を叩いたほうがよさそうですね。大和さん、魔物は僕とエドさんが引き受けます。その間に魔女を倒してください。」

「ああ、わかった。」


大和は魔物を倒しつつ、最短距離でルマリーザへと詰め寄る。

大和を狙う魔物達は白とエドが的確に排除し続けている。


「なかなかやるではないか。 ただ私に刃を突き立てられるかな? 」


ルマリーザは魔法陣を生成し、無数の矢を大和へとはなった。

大和は刀で弾きつつ、火属性の魔法で矢を燃やしかき消しながらルマリーザへと近づいていく。

そして大和は、光属性の魔法で閃光弾を放った。


「くっ…。目くらましかっ。」


そして閃光弾の中から大和はルマリーザ目掛けて刀を投げていた。


「甘いね! 」


ルマリーザは刀を透かさず躱す。そして避けた刀はルマリーザの後ろの壁へと突き刺さる。

が、それこそが大和の狙いであった。


「甘いのはお前だ。」


大和は閃光弾と刀をブラフに、ルマリーザの後方へと回っていた。

そして壁に突き刺さった刀を手に取り、ルマリーザの首へと刃を突き立てた。


「終わりだ。」


大和はルマリーザの首を刎ねた。

そしてルマリーザの体は消滅し、召喚されていた魔物達も消滅した。


「やったな大和! 」

「あ、ああ…。」

「どうかしましたか? 」

「確かに俺は奴の首を刎ねた、だが手ごたえが全くなかったんだ。」


すると先ほどルマリーザが現れた扉から再びルマリーザが拍手をしながら現れた。


「いやーお見事お見事。 分身とはいえ私を倒すとは君らただものじゃないねぇ。」


大和たちは再び戦闘態勢をとる。


「待て待て、もう君らと争う気はないよ。武器を下ろしてくれ。」

「なんだと? 」

「でも確かに先ほどまでの殺気はありませんね…。」


大和たちは武器を下ろした。


「ありがとう。 それと私と少し話をしないか? あーでも、話をするにしては少し散らかっているね。それ。」


そう言うとルマリーザは部屋をもとの姿に戻した。


「これでいいな。 よし君達そこに座ってくれ。」


四人はルマリーザに言われるがまま椅子へと腰を掛けた。

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