第12話

二階へと上がった四人はまず左の部屋を調べた。

どうやらそこは子供部屋で、ベッドとボロボロで大きな熊のぬいぐるみが置かれていた。


「ボロボロでかわいそうです。このくまちゃん。」


ティナが抱きかかえると、熊の目が光りだした。


「今すぐその熊から手を放せ! ティナ! 」

「えっ!? 」


するとぬいぐるみの指先から、鋭利な刃物が出現しティナへと斬りかかった。

ティナは大和に言われてすぐに手を放したが、少し腕をかすってしまった。


「痛っ! 」

「ティナ大丈夫か? 後ろに下がってろ! 」


ティナはエドが作った土壁の裏に回り、傷の手を手を始めた。

ぬいぐるみは、浮遊しながらこちらへと突っ込んできた。

大和が斬りかかるも刃物の爪で防がれ、追い打ちの白の蹴りも間一髪で躱されてしまう。


「くっ…。」

「なかなかやりますね。 完全に死角だったのに。」

「まあ誰かが動かしてるんだろ、こっちの状態は筒抜けっぽいな。」


ぬいぐるみは次々と攻撃してくる。

大和は爪での攻撃を躱し、何とか左腕を切り落とすことに成功した。

切り落とされた左腕は、ぬいぐるみの元へと戻ろうとするが、エドが弓矢で打ち抜き壁へと固定した。


「大和さん、エドさん、あれ見てください。」


白が見たものはぬいぐるみの左腕の傷から、赤黒く光っているものを発見した。


「どうやらあれが核っぽいな。 大和と白ちょっといいか? 」

エドが二人に作戦を伝えると、三人は一斉に動き出した。

大和が斬りかかり爪を抑え、白が指輪を双剣に変え腕と首を切り落とした。

するとぬいぐるみから赤黒い核が飛び出した。


「”精密射撃”」


エドが放った矢は寸分狂わず核を捉え、粉々に砕け散りぬいぐるみは沈黙した。


「よし、作戦成功だな。 さて宝石はどこだ? 」

「見つけましたっ!」


ティナが子供部屋にある机の引き出しから黄色い宝石を見つけた。


「ナイスだティナ。」

「さて、これで残り一つですね。」

「次で最後だ、行くぞ。」


四人は残された最後の部屋、二階の右の部屋を調べた。

そこは大きな寝室だった。おそらくキングサイズのベッドか置いてある。

するとティナが何かを発見した。


「こ、これって…。」


ティナが見つけたものは人間の骨であった。

周りを見渡すと足元に無数の骨が落ちていることに気が付いた。

すると骨がカタカタと動き出し、人間の形へと変わった。手には剣を持っており、数は数十体いるだろう。


「マジか。」

「おそらくスケルトンって魔物だと思いますっ。」

「こいつらで最後だ、出し惜しみなしで行くぞ。ティナはエドの土壁の裏からサポートを頼む。」


大和の掛け声とともに、三人は一斉に自己強化のスキルを発動し、攻撃し始める。

大和は抜刀と同時に柄の頭でスケルトンと頭を砕き、そのままスケルトンたちへと斬りかかっていった。頭を砕かれたスケルトンはピクリとも動かなくなった。

白は勢いよく跳躍した後、二体のスケルトンの頭をつかみ地面へとたたきつけ砕く。

エドは後方から、大和と白の死角から攻撃してくるスケルトンの頭を弓で打ち抜き砕いていった。

三人の勢いは止まらず、次々とスケルトンたちの頭を素早く、そして確実に砕いていった。

まさに蹂躙である。ものの数分でスケルトンたちを蹴散らした。


「よし、片付いたな。」

「皆さんほんっと凄いですっ! 」

「ティナさんだって僕らが少しでも傷ついたら即座に治してくれたでしょう。」

「いいサポートだった。ありがとうティナ。」

「皆さんのお役に立てて嬉しいですっ! 」

「よし宝石を探そう。」


四人は寝室をくまなく探し、ベッドの枕元から緑色の宝石を発見した。


「これで揃ったな。」

「さあ、石造のところへ向かうぞ。」


四人は大広間の石像まで移動した。

そして石造の前にあるくぼみへと宝石をはめた。

すると石造の目が紫色に光り、ゴゴゴゴと大きい音を上げながら床が動き、

地下へと続く階段が現れた。


「わぁ…。」

「これ行くしかないよな?」

「ああ、おそらくこの先に俺達をこの廃墟に閉じ込め、魔物たちに襲わせたやつがいるだろう。」

「ええ、そうですね。 よく警戒していきましょう。」


四人は地下へ続く階段に足を進めた。

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