第11話

翌日四人は準備を整え、例の廃墟へと向かった。

ジャストンから貰った地図を頼りに、商店街の東を抜け進み続けた。

だんだんと人気がなくなってきたところで、只ならぬ雰囲気をした廃墟へとたどり着いた。



「ここですね…。」

「でかいな。」

「こりゃ、なーんか出そうだな。」

「エドさんっ。怖いこと言うのやめてくださいっ。」

「そうですよエドさん。女の子を怖がらせるなんて最低です。」

「すまんすまん。」

「みんな準備はいいか? 」


大和が確認すると三人は首を縦に振った。


「よし、入るぞ。」


四人は廃墟へと侵入した。玄関の先の扉を開けると大広間へと出た。

目の前には大きな階段が二つ、どうやら二階建てのようだ。

真ん中には気味の悪い石像が置かれている。

廃墟の中は薄暗く、とても埃っぽい。人間の住んでいる形跡は全くない。

壊れた家具などが乱雑に置かれており、絨毯やカーテンが所々破けている。


「おー広いな。 結構な館じゃねーか」

「人の住んでいる気配はありませんね。」

「とりあえず虱潰しに部屋を調査していこう。」


すると先ほどまで空いていた玄関側の勝手に扉がバタンと大きな音と共に閉じられた。


「えっ…。 勝手に閉じましたよ…?」

「しかもこれ開かないぞ。」


ガチャガチャとノブを捻っても開かない。

白が少し殴ったりしても、ビクともしない。


「どうやら完全に閉じ込められましたね。」

「やはり、何か潜んでいそうだな。」

「脱出方法を探さないねーといけねーな。」

「調査しつつ脱出方法も探そう。」


四人はとりあえず大広間を調査し始めた。

いくつか燭台があったため、大和が火をつけた。


「これでいくらか調べやすくなるだろう。」

「ありがとうございます。」

「やっぱこの部屋で気になるのは、この銅像ですよね。」


四人は銅像の前に集まる。

悪魔のような形をした石像であり、銅像の前には四つのくぼみがある。

くぼみの部分は石造の部分よりも色褪せておらず、何かがはまっていた形跡がある。


「ここになにかをはめれば、脱出できるのでしょうか…。」

「わからんが可能性はある、探してみよう。」

「そーだな。」


四人はまず大広間の左の部屋を調べた。

その部屋は大きな食堂となっていた。そして大広間同様、物が乱雑に置かれている。

すると突然ティーカップやナイフ、フォークなどが宙に浮かび上がり、四人へと飛んできた。


「あぶねぇ! 」


エドが土属性の魔法で、壁を作り攻撃を跳ね返す。

しかし跳ね返された食器たちは角度を変え、襲い掛かってくる。

別角度からの攻撃は大和と白が弾き落とした。

すると食器たちの動きは止まった。


「終わった、のか? 」


すると次は、大きな机が宙に浮きあがった。


「おいおい、あれが飛んでくんのか? 」


エドの予想通り、机は大和たちへ向け飛んできた。


「ハァッ! 」


大和は机に飛びかかり一刀両断、真っ二つに斬った。

斬られた机は四人の左右に飛び、四人は無傷で済んだ。


「助かったぜ大和。」

「ありがとうございます。」

「流石ですっ。」

「このぐらい大したことない。しかし今のは…? 」

「ポルターガイストみたいだったが、多分誰かがやったと思うな。」

「ええ、そうですね。僕らがこの廃墟に入った途端、閉じ込められたり今の現象。誰かに見られていることは間違えないでしょう。」

「みなさんっ、あれ! 」


ティナが指さす方向には暖炉があり、そこには赤い宝石のようなものが落ちていた。


「これって…。」

「あの石像のくぼみにはまりそうですね。」

「ってことは後三つ同じようなもんがあるってことか。」

「恐らくそうだな、ただ今みたいな感じでただでは集められないだろう。みんな準備しておけよ。」


三人はもちろんといった顔で頷いた。

そして次に大広間の右の部屋に行くことにした。

扉を開くと先ほどの食堂とは違い、長い廊下が続いていた。

廊下を進んでいくと、大きな浴場が現れた。


「うっ…。臭いが…。」

「くっせぇーな。」


浴槽にはヘドロの様なものがたまっており、とても臭いがキツい。

するとその浴槽が蠢きだし、ヘドロをまとった人型の魔物が現れた。


「ありゃなんだ…。」

「た、多分泥人形と思われますっ…。」

「泥人形? まあいい、倒すぞ。」


大和は泥人形へと斬りかかった。

が、二つに斬られたはずの泥人形はその切断面から接着し、再び元の姿に戻った。


「なにっ!? 」

「マジかよっ!? 」

「大和さん下がって!」


白は大きい水の塊を泥人形相手になげ水浸しにし、冷属性の魔法で浴場もろとも泥人形たちを氷漬けにした。

そして、氷漬けにした泥人形を次々と木っ端みじんにしていった。


「ふう…。 これでしばらくは動かないでしょう。」

「いやあ、動きようがないだろ…。」

「流石ですっ。」

「助かった。 それで宝石はあるか? 」

「えーっと、あ! 」


ティナが洗面台のところから青い宝石を発見し、持ってきた。


「これで残りは二つですね。」

「よし、引き続き探そう。」


そのあとも一階を捜索したが宝石は見つからなかった。

四人は大広間から二階へと向かうのであった。

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