第8話

三人はセイルにたどり着いた。

町に足を踏み入れた時、ティナ以外の三人は違和感を覚えた。


<なあ、今何か感じなかったか?>

<ええ、違和感がありましたね。>

<きな臭いな、これは。>

「…? 皆さんしましたか? 」

「いや、なんでもない。行こう。」

<二人ともこの街には何かあるかもしれない、用心しておこう。>

<ええ。>

<おう。>


セイルの街並みはエルク村より発展しており、人口もかなり多い。

商店街に、武器屋、防具屋、素材屋などがありどこも賑わっている。


「わーっ、すごい人ですねー。」

「そうだな、エルク村とはだいぶ違うな。」

「まずは、王都に冒険者として認められなきゃな。」

「そうですね…どこで認可してもらえるんでしょう? 」

「えっーと、おじいさまが言っていたのは、冒険者ギルドという所で認可していただけるそうです。」

「なぁそこの君、冒険者ギルドってどこにある? 」

「冒険者ギルドなら、商店街を抜けた先にありますよ。」

「ありがとう。」


四人は商店街を抜け、冒険者ギルドへと向かった。

中に入ると冒険者たちで賑わっていた。料理や酒も提供しているようだ。

とりあえず四人は受付の女性に話しかけた。


「すみませーん。冒険者として認可いただきたいんですが。」

「はい、ではこちらの申請書類に必要事項を記入してください。」

「わかった。」


四人は必要事項を記入し、受付へ提出した。


「はい、確かに受け取りました。確認して特に不備がなければ、王都から認可されます。その後冒険者の証を作成いたしますので、一時間ほどお待ちください。」

「わかった。」


書類の確認や、証の作成に時間がかかるようだ。

四人はその間に街を見て回ることにした。


「なあ三人とも俺武器屋と素材屋見に行ってもいいか? ちょっと見てー物があってよ。」

「いいですよ。大和とティナはどうしますか? 」

「俺も武器屋が気になる。エドと一緒に行く。」

「私は特にないので皆さんに合わせます。」

「じゃあ僕とティナは商店街を見て回ります。一時間後にギルド前に集合ってことで。」

「おうよ、またあとでな。」


四人は二手に分かれ街を見て回ることに。

まず大和とエドは武器屋に行った。


「おーおー、結構数あるじゃねーの。指輪だけじゃ心もとないからな。何かしら調達しときたいねぇ。」

「そうだな、俺も脇差が欲しいところだ。」

「まあでもアレは流石にねぇか。」

「アレってなんだ? 」

「銃だよ、銃。」

「ああ、なるほどな、見た感じ剣と弓とかしかないな。」

「まあ予想通りだけどな。この世界には銃ってものは存在しないだろーな。だが逆にアドバンテージだ。 俺は指輪で銃を作れる。」

「弾はあるのか?」

「問題はそれだ。指輪で色々な銃を試してみたんだが、やはり弾は出なかった。」

「作れるのか? 」

「鉛がありゃ何とかなると思うぜ。俺のスキルに錬成術ってのあるし、たぶん作れると思うぞ。あとは銅と亜鉛があればもっといいが。」

「素材屋を覗いてみよう。もしかしたらあるかもしれない。」

「だな。とりあえず今俺らは金がねぇ、必要そうなものに目星つけて後で来ようぜ。」

「そうだな。いったんギルドへ戻るか。」


大和とエドは武器屋と素材屋で色々と物色している一で、

白とティナは商店街の出店を見て回っていた。


「美味しそうなものが色々ありますねっ。白さん。」

「そうですね。報酬を貰ったらみんなで食べ歩きとかもいいですね。」


そんな話をしていると、後ろからガラの悪い二人組の冒険者が声をかけてきた。


「嬢ちゃんたち、暇してんのかい? だったら俺等と遊ばねーか? 」

「うへへ、どっちもかわいいねぇ。悪いようにしねぇからよぉ。」

「あー、そうゆうの間に合っているんで。行きましょうティナ。」

「は、はい…。」


その場を指そうとしたその時、一人の男がティナの腕をつかんだ。


「離してくださいっ! 」

「おーおー、怒ってる顔もかわいいねぇ。 あっはっは。」


必死に抵抗するティナをあざ笑う男。

その時、白が動いた。


「その手を放せ、下衆が。」

「は? 」


その刹那、ティナの腕をつかんでいる男のこめかみに、白の後ろ回し蹴りが入っていた。

うめき声と共に吹っ飛ばされた男は、失神して泡を吹いていた。

するともう一人の男が、逆上して白に向かってきた。


「テメェ、調子に乗るんじゃねぇぞ! 」


白は殴りかかってきた男の攻撃を受け流して、そのまま男の手首をつかみ、回転しながら地面へと投げ落とした。合気道の四方投げである。

まるで華麗な舞のような動きであった。


「今すぐ失せろ、下衆共。」

「す、すいませんでしたぁぁぁ。」


投げられた男は気絶している男を担ぎ上げ、そそくさと逃げて行った。

するといつの間にか周りに人だかりが出来ていて、一連の流れを見ていた商店街の野次馬が騒ぎ出した。


「すごいな嬢ちゃん。あっぱれだぜ。」

「あはは…、ありがとうございます。さっ行きましょうティナ。 あまり悪目立ちするのも良くないです。」

「はっ、はい!」


白とティナは人が少ないほうへと移動し始めた。


「白さん。 助けていただいてありがとうございますっ。」

「いえいえ、当然ですよ。 気にしないでください。」

(白さんいつもは優しいけど、怒ったら怖いんだな…。 怒らせないように気をつけよう…。)

「なんかバタバタしちゃいましたね。あ、そろそろ集合の時間ですね。ギルドへ戻りましょう。」

「はいっ。行きましょう! 」


四人はギルト前に集合した。

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