三人の天才が神々の悪戯に挑むようです。

第6話

「どうやらその反応を見る限り、本当のようじゃな。なーに深く詮索はせんよ。」

「なあじいさん、なんで俺たちがこの世界の人間じゃないと分かったんだ? 」

「いくつかあるんじゃが、まずは”気”じゃ。わしはその人間の気が魔力を使うと見えるんじゃが、おぬしらはこの世界の人間、そして魔物どちらにも属さない気をしている。わし自身も初めて見たわい。」

「気ですか。」

白が言うには、気とは根源的なエネルギーのことを指すという。

ベイルじいさんにはそれが人間の周りにオーラのような形として見えるらしい。

「あと、もう一つ。その指輪じゃよ。」

「指輪? 」

「ティナから聞いたんじゃが、おぬしらゴブリンと戦った時にその指輪を武器に変えたそうじゃな。

この世界にも装飾品などに武器を変え、持てる武器を増やすという魔法は存在するんじゃ。しかしな、その技術は装飾品を作る鍛冶師も、それを使う者も魔法に長けていないとできない代物じゃ。そんな高等魔術を使える人間が、魔法を教えてくれってのはおかしなもんじゃろ。おそらく別の世界の代物じゃろう? その指輪。」

「なるほどな。」

流石は元王都直属魔法隊長といったところか。

魔法に対する知識と経験が違いすぎる。

「まあそんなことはよい。何らかの事情があるんじゃろう。魔法を知りたいんじゃな。まずは…」

ベイルじいさんは魔法について説明してくれた。

まず大きく二つ魔法には種類があり、属性とスキルである。

属性については火や水など様々な種類があるという。

スキルについては自己強化や創造術など多岐にわたる。

ものを浮かすなどの簡単なものから、戦闘に特化したものまで、数えきれないほど存在していて、どういった魔法が使えるかはその人間の適正、魔力量に依存するという。

魔力が枯渇すると魔法は使えなくなり、回復までには魔力回復の薬を使うか、一日は休まないといけないらしい。

ベイルじいさんは俺たちの適正、そして魔力量を見てくれるようだ。

じいさんの前には、水晶と何も書かれていない紙が置かれており、水晶に手をかざすとその者の魔法適正、魔力量がわかるものらしい。

「ほれ、まずは大和おぬしからじゃ。」

「おう。」

大和は水晶に手をかざした。

すると水晶は輝きだし、光が文字へと変わり紙に記されていく。

「じゃあ次は僕ですね。」

「最後は俺だな! ほれ。」

白とエドも順に水晶に手を当てた。

「ほう…。これが結果じゃ。」

ガルフじいさんは適性の記された紙を三人に配った。

大和たちは渡された紙に目を通す。

羽須美大和

魔法適正：火属性、雷属性、光属性

スキル：身体強化、斬撃強化、視野拡張、思考加速、思念伝達

魔力量：25000

李 白露

魔法適正：水属性、風属性、冷属性　

スキル：身体強化、打撃強化、硬化、察知、思念伝達

魔力量：28500

エドワード・リックス

魔法適正：土属性、木属性、熱属性

スキル：身体強化、精密射撃、錬成術、隠密、思念伝達

魔力量：23500

「おぬしらやはり、ただものじゃないのぉ。それぞれ属性を三つ持っておるし、身体強化や攻撃能力強化までついておる。魔力量も申し分ない。属性は先天性のものじゃが、スキルについては修練をしたうえで習得しなければならないものばかりじゃ。」

「でも僕らには最初からついていますね? 」

「おそらくじゃが、前の世界での修練や元々持っていた才能などが色濃く出たのじゃろう。」

確かに言われてみると、三人とも自分に合った適正ばかりついている。

今後の戦闘で役立ちそうなものばかりだ。

「で、じいさん。適性はわかったけど、魔法っていったいどう使うんだ? 」

「そうじゃな、まず属性についてじゃが大和、火の玉を想像してみるんじゃ。それの火の玉を掌の上に出すイメージでやってみろ。」

「お、おう。(火の玉…掌に出すイメージ…)」

すると大和の掌から小さな火球が現れた。

「おお!」

「はじめてにしては上出来じゃ。ほれほかの二人もやってみなさい。」

白とエドも同じように自分の属性で試してみた。

白の手からは水が、エドの手からは土がそれぞれ現れた。

「これが魔法ですか…。」

「すげーな魔法。」

「基本的には自分の属性を想像し、どういった形にしたいかイメージするんじゃ。あとはおぬしらの応用次第じゃ、それぞれ自分の思うがままに使うがよい。次にスキルじゃが、スキル名を頭の中で思い浮かべるか、声に出してみるんじゃ。」

「頭の中で思い浮かべる…。”身体強化”」

大和は体が軽くなる感覚に襲われる。

そして少しジャンプしてみると優に人を飛び越せるほど体が動いた。

白とエドも同様に、身体強化を試している。

「これは戦闘で有利に戦えそうですね。」

「元々、大和と白の戦闘センスはすげーからな、さらに強くなったろーな。」

三人は一通り自分の属性魔法、スキルを試した。

するとベイルじいさんは、真剣な顔つきで三人にこう言った。

「おぬしらの強さを見込んで、頼みがある。」

後書

今後の会話文について。

「」は普通の会話

()は心情など

<>は思念伝達テレパシー

と使い分けたいと思います。