第5話
三人が異世界に行った後、神界は盛り上がっていた。
ここは神界にある、悪戯観戦場。
現代でいうスタジアムのような形をしていて、円の中心には大きなスクリーンがあり、勇者側、悪魔側の動きを逐一放映している。
「おい、悪戯始まったみたいだぞ。」
「やっと始まったかー! 楽しみにしていたんだよな。」
「なあなあ、どっちに掛ける? 俺は断然魔王側だね。」
「んー、俺は勇者側だな。」
「俺は酒でも飲みながらゆっくり見守るよ。」
複数の神たちが、悪戯の開始を心待ちにしていたようだ。
そしてどちらが勝つか負けるか大いに盛り上がっていた。
「おーおー盛り上がってるじゃねぇか、ニア。」
「お、その声はガルフじゃないか~。」
ニアに声をかけた神はガルフ。ニアと親しい神である。
黒い短髪で体格がとてもよく、ニアよりも身長が一回りほど大きい。
悪戯の話を聞いて、ニアの元へと駆け寄ったのである。
ニアとガルフは酒を飲みながら、話し始めた。
「なあニアよ、何故おまえは毎回勇者側なんだ? 勇者側で毎回負けているだろう? この悪戯は圧倒的に魔王のほうが有利なのによ。それに今回の相手は魔王側で負けたことのない、あのエジルだろ? 」
「まあまあガルフ、落ち着きなって~。僕には僕なりの考えがあるんだよ~。それに今回の三人は今まで召喚した人間とは格が違う。」
「ニアなりの考えねぇ...なぁ考えってなんだよ? 」
「時が来たら話すよ~。まだその時じゃない。」
「もったいぶらずに話せよっ! 」
ガルフはニアの首元を掴みブンブンと前後に振る。
「やめてやめてっ! 首取れるから~。そのうちちゃんと話すから。ねっ? 」
「お、すまんすまん。今日は許してやる。その代わり時が来たらちゃんと話せよ? 」
「わ、わかったってばっ! もうガルフ酔っぱらうといつもこれだ。」
「わりぃな。じゃあ今回は俺も勇者側応援するかねぇ。それじゃまたなニア。」
「またね~ガルフ。」
ガルフは酒を飲みながら去っていった。
まるで嵐のようだった。
まあその豪快さがガルフのいいところで憎めないところでもある。
ガルフが帰ったあと、異世界での初戦闘が起きたようだ。
そして神々がざわざわとし始める
「おい、見たかあの人間抜刀。早いな」
「あの女みたいなやつも相当なスピードだぞ。」
「あの軍人も相当やるな。頭が良い。」
「そんなことよりよぉ、今まで初戦闘であんなに魔物に臆さない奴ら居たか? 」
「俺、勇者側に掛けるわ! 」
「俺も俺も! 」
「いーやまだゴブリン倒しただけだろ? 魔王には勝てんだろ。」
「そーだな。」
戦闘を見た神々たちがさらなる盛り上がりを見せる。
しかし、ニアはとても冷静だった。
「あれぐらいやってもらわないと困るね~。まあ期待以上の結果だけど。まだ始まったばかりだ。頼んだよ三人の天才。」
ニアは少しうれしそうな表情をし、その場を去った。
◇◇◇
異世界二日目。
小鳥のさえずりと共に三人は目覚めた。
「みなさーん! ご飯できていますよー! 」
ティナの大きな声が聞こえる。
三人は目をこすりながら、いい香りがする食卓へと向かった。
「三人とも昨日はゆっくり休めたかね? 」
「ああ、ありがとうじいさん。あと頼みがある。」
「頼みじゃと? 」
「ええ、僕たちに魔法を教えてほしいのです。」
「ふーむ。いいじゃろう、食事を済ませたら私のところに来なさい。外で待っている。」
「頼むぜぇ、じいさん。」
三人は食事を済ませ、さっそくじいさんのところへと向かった。
「じいさん。来たぜ。」
「来たか、三人とも。魔法を教える前に一つ聞きたいのじゃがいいかの? 」
「聞きたいこと…?」
「おぬしら…この世界の人間ではないだろう? 」
「!? 」
ベイルは鋭い目つきで三人に問いかける。
三人は予想をしていなかった質問に、驚愕した。
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