放つ、光。
「破!!!」
クレンの右手が輝き、やがて輝きは放たれた。
「さすがに中途半端か……だが」
クレンはぼやきながらも何かを考えている様子だった。確かに先ほどよりは弱い光が徐々に男と悪霊に接近していく。クノハもその様子をみまもっていた。だが光が悪霊と男の直ぐ傍までよった。その時だった。
「シュンッ!!」
そのとき、光はまるで自分の意思をもったかのようにまがり、その奥へすすんでいった。
「クレン!!どうして!!あなた、乗っ取られて……」
そんなクレンは叫ぶクノハのほうをみて、にやり、といじわるくわらい、しかし片目をとじてウィンクをした。
「!?どういう意味……」
悪霊と男がにやりとわらいクレンとクノハの様子をみているそのとき、クノハはクレンの放った光をみて、はっとした。
(……そうときまれば、準備をしなきゃ、まだクレンさんの意思があるときに)
「クレンさん、クレンさん!!」
悪霊がこちらの様子をみながら、笑いながら、叫んだ。
「どうやらこちらの勝ちのようだな、ここには“刃物”がたくさんある、この小僧の命、もらったぞ!!」
悪霊はめをとじて、ねんじると、黒いかげが、先ほどわれたガラスのところにむかい、それをよせあつめ、空中にうかべると、悪霊の傍にもっていき、やがてすべてのガラス片は前むきになりクレンに標準をあわせた。
クノハが焦る。
「クレン!!おぼえていますか!私です、先ほど打ち合わせした言葉を唱えてください!!」
「言葉……唱える……」
「そうです!!チャンスは一度しかありません!」
そういっている間に、さきほどクレンの放った光はゆっくりと、おちた骨董品の鏡にすいこまれると、しばらくして、反転し、男と悪霊のほうに背後からむかっていった。
「“ツクモツクレモ、九十九霊に力を貸す”私を信じて、力をかして!!」
「……」
「お願い、クレン」
クノハが、クレンに近づき、なけなしの力で、クレンの肩に振れた。そのときクノハのあまり意図してない所で、クノハの右手から白い光が放たれる。
「ウッ」
「クレン……」
「お前は、恩返しの九十九霊、お前はあの公園で、ずっとまっていたんだな」
「どうして、クレン……」
「今、お前と猫の過去をみた、あの猫は確か初めのうち狂暴な野良猫としてしられていたが、あの猫は幽霊がみえ、お前がしつけていたのか……おとなしくなってから愛されるようになったんだ、お前は猫に何度もチャンスをあげたんだ」
クレンは両手を組み合わせ、ニコリと笑うと、両手に光をあつめ、ただクノハを信じて念じた。
「“ツクモツクレモ、九十九霊に力を貸す”」
そう言い放つと、光がクレンとクノハをつつみこんだ。
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