第28話 ~つまり文化祭(前編その2)~
『どうしてなの!?
解散寸前の、魔法研究クラブ。
私達は残された1週間で、でき得る限りの事をした。
その1、舞台(部屋)――。
少ない予算で中古の燭台やローソクを調達し『演劇クラブ』から廃棄予定の古い
緞帳の裁断(力仕事)をヤプやクガイに頼りつつ、どうにか室内を飾りつけた。
その2、衣装――。
長らく埃を被っていた『黒のフード付きローブ』をまほ研備品庫(校内)から引っ張り出し、只でさえ多忙なユーセに土下座をして、洗濯と修復を依頼。
その3、外観(何気に超重要事項、清潔感の演出)――。
廃材で小屋の穴を塞ぎ、汚れを落とす。周辺の雑草や枯れ葉も全て取り除いた。
最後に主役――。
『
「
しかし現実は、客数『
「雰囲気はそれなりにあるけれど場所が最悪なのよ。ねえ、何時までこうしているの? 退屈だわ!」
ネムが目の前に置かれた、偽水晶(ガラス玉)に顎を乗せる。
「……とにかく今は、
「いや、さすがに恥ずかしいですよ……そんなに大きな声も出ませんし……」
クラブ長を筆頭に、弱気モードのキノコ達。
長く分厚い前髪で表情(目)は見えなくても、最近は彼女達の考えや気持ちが伝わる。
「
「そっ、それは……」
(少し揺らいだか? もうひと押しだ!)
「崖っぷちの勝負っっ! どんな結果になろうとも、全力で挑むべきですわ!」
「崖……そうですよね! このままでは終われないです、クラブ長!」とフランソワ(黄色)。
「最後まで戦いましょう!」とアルデ(青)。
「……勇気をありがとう、ライリー嬢。こうなれば一丸となって、声を出します!」
そしてクラブ長、ミラ(紫)の決意表明が決まったところで、小屋のドアが強めにノックされた――。
「うわぁ……」
溜め息混じりに偽水晶から顎を離したネムが、フードを目深に被る。
「大変ですっっ! お客様がっ!」
返事を待たずにドアを開けたのは、外で受付をしているラヴ(緑)だった。
彼女は一生懸命に口をパクパクさせるが、初客の緊張からなのか? 言葉が上手く出ない様子。
「ありがとう、もう十分に伝わったわ! やっと(お客が)来たのね! これで一安心……へっっ!?」
ボロ小屋の外には
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