第8話 ほんの少しだけ力を分けてくれ
『元気か?カンニングして退学になった、おバカさん。おっと、前置きはこれくらいにして、そこで頼みがある、学園祭の準備に人手が足りなくてな。バカの手もかりたいのだ。仕事はリモートだ。どうせ、山奥の高校で暇だろう?返事は早くよこせ』
……。
まだ、呪縛をするのか?あの生徒会長は!!!
メールアプリを落とすと。スマホを投げ捨てたくなる。
うぐぐ……。
シスターがこちらを心配そうに見ている。そうだった、シスターの前であることを思いだす。
「ははは、ダダの迷惑メールだったよ」
シスターはわたしの乾いた笑い声に淀んだ顔をしている。わたしは綺麗な星空を後にして自室に戻る。心配そうなシスターは寮の入口までついてきてくれた。このメールの内容をシスターに話す時は、あの生徒会長に呪いをかけると誓った。
自室に戻ると、生徒会長からのメールの扱いについて考える。
全ての繋がりを絶つのは簡単だ。今まで、負けを認めるのが嫌でアクセスブロックをしてこなかった。まさかここまでされるとは思わなかった。
メールの返事を考えるのも忌々しい。
とにかく今日は寝よう。うつろな気分で眠りに落ちていく。
朝、気分は最悪であった。生きた心地がしないとは、この事であろう。ぼっーと、しながら朝食を食べていると友恵が近づいてくる。
「あれあれ、元気ないね」
「死んだ腐った魚の目です」
川菜も寄ってくる。結論から言って独りにして欲しいのと、支えてくれる仲間が欲しのと、半々の気分だ。落ち着け、この学園は心に傷を持った仲間だ。わたしはスマホを開くと二人に見せる。
「何!このメールの文章は、完全に下僕扱いじゃん」
「どうでしょう、わたし達が代わりに呪いを行いましょうか?」
友恵は切れて怒り。川菜は呪いの初心者であることを考えたのか。代わりに呪うことを提案する。
「少し考えさせてくれないか?」
「ダメよ、この手の輩はとことん漬け込んでくるわ」
友恵がわたしを説得して呪う事を進める。
「ありがとう、代償のない簡単なモノでいい」
「そうと決まれば」
友恵は職員室に行き、それから放送室に向かう。
『あ、あ、校内の皆さん、先日の編入生が呪いをかけます。ほんの少しだけ皆さんの力を貸して下さい』
校内放送で大々的に呪いのエネルギーを募るのであった。
すると、シスターが慌ててやって来る。
「昨日は言えなかった、ゴメン、シスター」
「大丈夫、この学園はあなたの味方です」
シスターが事情を知ったのだ、もう後戻りはできない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます