第7話 2022年
2022年も残すところあと一日となった。
私は一月一日に2022年の目標として、『大』を掲げた。この小学一年生で習うたった三画の簡単な漢字に、私は大きな人になるという強い思いを込めた。
この文章だけでは漢字のままだと思われてしまうかもしれないが、私がこの漢字に込めた思いとはもっと広大であり、例えば、ただただ背丈の大きい人になりたいというような表面的な考えではない。
私にとって前年の2021年は自分の未熟さや無力さを痛感する年で、自分があまりにも小さく、浅い人間だということを思い知らされた。そんな自分に嫌気がさし、変わらなくてはいけないという思いを強く感じ、2022年を自分を成長させる年にすべく、新年を迎えた。
しかし、目標を掲げて二週間も経たないうちに私は、様々な不安や恐怖から日常生活を送るのが困難になるほどの精神状態に陥ってしまった。自分を進化させると言っておきながら実際には退化しているような感覚で、結局自分は口だけでなにもできない人間なんだということを再確認し、自責の念に駆られていて、およそ五カ月ほどこの状態が続いた。
止まない雨はないというのか、明けない夜はないというのか、とにかく私の底辺に落ちた精神状態にも終わりが近づいてきて、終わったころには私の見る景色は今までと変わっていた。そしてこの時、なぜだか自分が大きく成長したように感じた。実際、自分自身が成長したのかは分からないが、少なくとも私は過去の自分より今の自分の方が好きだ。
2022年はとても苦しく辛い年でもあったが、私にとっては大きな年にもなったので、目標である『大』は、ある意味達成した。
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