XXXVII

……

…、目を開けた先には、Majorの寝顔があった。

…朝になっていたようだ。

Majorの身体も、私の身体も、もう人間の姿からは元に戻っている状態だった。

…、Majorは気持ち良さそうに眠ったまま静かに寝息を立てている。

私はすぐに起き上がる気になれず、横になった状態のままMajorの寝顔を見つめた。

……。

流れで、昨日の夜の事を思い出す。

確かに罪悪感は感じている。

けど、

背徳感や、満足感も感じられているような気がする。

…、

間違いなく幸せを感じられていたと言う事を、忘れられる気がしなかった。

私達は昨日の夜で一線を超えてしまったが、

そうする事によって、また互いの距離が更に縮まった気がしている。

…そして、Majorに対して、更に好意が高まった気がする。

Majorが私にしか見せない姿を脳裏に焼き付けて、

優越感を、感じている。

……。

少し身体を動かして時計に目をやる。

現在時刻は六時四十分。まだ起きなくてもいいぐらいの時間だ。

…このままMajorが起きるまで二度寝してしまいたい気分ではあったが、流石にそれは危ういと感じる。

起きる気のない身体を元の方向に戻し、再びMajorに目を向けた。

…、

私はMajorの頬に、そっと手を当てた。

Majorは、本当に昨日の夜の事を嫌に感じていなかったのだろうか。

私が一人で幸せになっているだけで、Majorはそうでなかった、なんて事はないだろうか。

…、だが、もし嫌ならばそのように反応を見せる筈。

それが見られず、むしろ私を更に求めるような様子が見られたからには、心配する必要などないのだろうか。

……。

昨日の夜の気分の高まりや体温を思い出して、

少し、ソウルが落ち着かなくなった。

—————————————————————————

部屋のドアが開く音がして、手元から入り口の方へと顔を向けた。

…、

Majorだ。

Majorは私が必要としていた資料を部屋まで運んできてくれたようだ。

彼は私と目が合うと、柔らかく微笑んだ。


「大佐が言ってた資料は、これで良かったですか?」


Majorは運んできた資料を私の机まで運び、内容を見せた。

私はその資料を受け取って中を確認する。


「…これで間違いない

手間をかけさせたな」


私はMajorにそう伝えた。

Majorは私の言葉を受け取ると、また優しく微笑んだ。

…すると、

入り口の方から、ドアをノックする音が聞こえてくる。

誰か隊員が来たのだろうか。

私はドアに向かって「入れ」と返事をした。

すると、ドアノブが動いてドアが開いたかと思ったが、

外側のドアノブにその声の持ち主がぶら下がるようにしてドアを動かして、そのまま開扉させていた。

…そして、ドアが十分に開いた後、ドアノブから部屋内の地面へと着地した。


「失礼致します!」


声の持ち主はIrisだった。

彼はトビネズミの獣人隊員で、この軍に入隊してからまだそう長くはない。

そして、身体がかなり小さかった。

前までは一人だけの力では部屋のドアが開けられなかったのだが、

訓練にも熱心で、最近は一人でドアが開け閉め出来る程の力が付けられたようだ。

…しかし、この先ずっとこのままではIrisや体の小さい他の隊員に苦労をかけさせてしまうことになる。

彼らの為にも、何かいい設備を作ってやらなければな。


「お前だったか

どうした」

「探している書籍がありまして、大佐の部屋の本棚を見ても宜しいでしょうか!」

「構わない

…、何か調べ物でもしているのか?」


Irisは部屋に入ると、私の部屋の本棚の前に立ってそれを見上げた。

私も席を立ち、本棚の方へと向かう。


「この部屋の本棚に、現在調査している事の情報が書かれた書籍がある事が分かりました

それを少し拝借させていただきたいのですが、Phantom軍について書かれたものはどちらにありますでしょうか、」


Phantom軍……、

…、以前、ナース達に取り憑いていた奴らの軍だ。


「…うむ、

Phantom軍に関して書かれたものはかなり限られてくるぞ

確か一冊だけあった筈だ、だがその中でも少量の情報しか書かれていない」


私は記憶が定かではないその書籍の場所を探り始めた。


「構いません、それだけでも貴重な資料です

俺達はPhantom軍と直接接触をすると言う滅多にない経験をしました

それも軍を乗っ取られる形だったと言う事は、今後この軍について更に深く追及する必要があると俺達隊員は考えています

情報が少ないからこそ、ちょっとした情報でも手掛かりになると推測しています」


…、

確かに、事が過ぎたと言ってこのまま放っておいていい出来事ではない。

最近はそれ以外の大きな出来事も増え、Phantom軍への意識が薄れてしまっていたが、

あの出来事があった時点で、私達の基地の場所は特定されている。

今まで隠し通せていたことが、とうとう外部へ情報が漏れ始めている。

かなり、危険な状況だ。

私はそれを、今改めて感じていた。


「…私達の基地の場所も、情報が漏れ始めている

遅くなってからでは、私達が足元を掬われて取り返しのつかない事になるだろう

調査も早急に進めたいが、危険の感知と自分達の命の保全は怠らないようにする事だ」


丁度目当ての書籍を発見し、私はそう話しながらその書籍を引き抜いた。

…それを引き抜いた後、少し中を開いて確認する。


「…Phantom軍からの危機だけではない

情報が漏れる事で、他の敵軍が攻めてくる可能性もある

不意を突かれた襲撃に対処出来るよう訓練に手を抜かないことも大切だが、

基地周りの警備も怠るなよ」


内容が合っている事を確認し、

そして、それをIrisに渡した。

Irisは自分よりも幅のある書籍を頭上で両手で支える形にして持った。


「了解致しました!お任せ下さい

俺達自身も十分に理解している事であります。そう簡単に我が軍の基地を荒らさせる訳にはいきませんからね」


Irisはそう言うと、書籍を持って部屋を出て行こうと出入り口へ向かった。


「…少しお前の身体では重くはないか

運んでやっても構わないが、」

「ご心配なく!

日々鍛錬でつけた筋力によりこのぐらいの物は問題ありません!」


相変わらずハキハキと話しながらIrisはそう返事をして見せた。

…彼の熱心な一面はいつ見ても感心させられる。

彼曰く、自分は周りよりも身体が小さいためより力をつけるために訓練も人一倍行っているのだそう。

実際そのお陰でどんどん力をつけて、出来ることも更に増やしていっている。

おまけに人と関わる際の気遣いや丁寧さも怠らない。

他の隊員と大きな差が出る程身体が小さいと言うのにしっかりと着いて来れる彼の姿は、誰も良くが評価しているものだった。


「大佐、それと、お手数をお掛けしますが、俺が出て行った後にドアの方を閉めて下さいませんでしょうか!」


ドアの向き的に、自分で開ける事は出来ても閉めることは難しいようだった。

おまけに今回は両手も塞がっていて、余計に困難だろう。

…一人で開けられるようになった事に関しては本当に感心するが、

やはり、身体が小さくても楽に出入り出来る設備を付けてやらなければと、改めて思った。

ドアの方へと向かい、彼の姿を後にドアを閉めようとする。


「…階段など無理はするなよ」

「ご心配いただきありがとうございます!

書籍を使い終わった後はまた返却しに参りますので、その際にはまた宜しくお願い致します!」


そう言い残し、書籍を持って廊下の角へ曲がって行った。

…、しかし、

Phantom軍、か。

…。

私達の基地に攻め込まれる前に、私達もPhantom軍の基地を突き止めた方がいいだろうか。

…しかし、Phantom軍となると本当に何も情報がなく、探しようすらない。

こちらからも探りを入れる必要がある事は十分に分かっているのだが、

……中々に難しい状況だ。

隊員達も調査してくれている、

私も努めねば。


「大佐、」


Majorに呼ばれ、ドアを閉めてそちらに振り返った。


「そう言えば、もう一つ資料を運ぶのを忘れていました

もう一度資料室に行って来ても大丈夫ですか?」


……、そうだ、

確かに、私も何か忘れている気がしていた。

資料は受け取ったが、何か足りない気がしていたのはきっとそのせいだったのだろう。


「そうか、分かった

また帰った際にその資料の確認をさせてくれ」


そう言って私が机に戻るのと同時に、

Majorも資料室へ行こうと私とすれ違った。

……っ、


「っ、!」


私は何か嫌な気配を感じ取り、

咄嗟にMajorを避け、Majorの方へ身構えた。

…私を横切ろうとしたMajorからだ。

…、何だか、

Majorでは、ないような

……、

…何、だ…?


「?

どうしたんですか?」


Majorがキョトンとした表情で私に問いかけた。

……そのMajorの顔を見た瞬間、


「…っ」


私は、気付いてしまった。

そのMajorの目の色が、

真っ赤に変色していた。

……これは、


「…大佐?」


…催眠術、だ。

それもかなり、

強い力でかけられている。

……心情が読めない。

…催眠術…

…前にも、何か、あったような……

……、


「大佐」


…Phantom軍の時だっただろうか…、

しかし、今回は前のとは違う。

今までにない事例だ。

私はMajorらしき人物に距離を詰められ、自然と後を引いてしまう。

…一体どうすれば…っ、

次の瞬間、

それが目の前から突然消えたかと思えば、瞬時に背後に回り込まれ、

殺気を、感じ取った。

私は咄嗟にそれを避け、流れに沿ってレイピアを抜き、

そのまま相手を切り付けようと————

……っ


「…何で避けるんですか?」


出来るわけが、ない。

私の腕は自分の頭上で動きを止めた。

もう相手がMajorではない事はとっくに分かっている。

…だが、

もしこれが催眠術をかけられているだけで、

身体や中身はMajorのままだったら…?

傷を付ければ、

Major自体を傷付ける事に、なる。

…気付いた途端に、手が震え始める。

私は一旦、それから手の届かない所まで距離を取った。

…どうすれば、いいんだ

Majorではないそれが、移動した私へ別人のような視線を向ける。

…私は、その視線をただ受けることしか出来ない。


「……さっさと死ねぇええェエェッ!!!」


Majorではない何かは、表情や態度を一変させ、

殺気に満ちた様子で襲いかかって来た。

やめろ、よせ————

私はそれに対して声も出ないままほとんど何も出来ず、

手を前に出して止めるような仕草だけ取る形になってしまう。

…が、

突然、それは私の真ん前で動きを止め、一方的にレイピアを向けられたような形になる。

……何もかも突然で理解が追いつかず、

自分の手元を見下ろす。


「ッ、!!」


私はそれを見て、息が出来なくなりそうになった。

私が手に持っていたレイピアは、

襲いかかって来たそれの腹を貫通し、持っている手まで血が伝い、滴り落ちていた。

目線だけ、それの顔に向ける。

………

目は、

赤くない。

Majorの、顔だった。

Major、だ


「大…、さ…」


Majorは力が抜けるように息でそう話し、

その場に目を閉じながら崩れ落ちた。


「っ、っっ」


私は咄嗟にMajorを支える。

レイピアの刺さり所が悪かったのか、一向に血が止まらない。


「Majorっ、Majorッッ!!」


必死にMajorの傷口を押さえ、名前を呼び続ける。

が、もう成す術もないとでも言うかのように、

Majorの身体が塵に変わり始める。


「Majorっ、おいやめろ、

よせ、よせ…っっ」


それを阻止しようと、思わずその身体を抱き締める。

……だが、

ついにMajorは塵になり切り、私の腕の中から消えた。


「…ぁぁ、あぁああぁぁ……っ」


やり場のない気持ちが声として漏れ出た。

ソウルが痛苦しく鳴り響き、息切れが止まらなくなる。

頭痛がして、眩暈がして、視界が眩む。

塵になったMajorを身体が崩れ落ちたまま見つめ、片手で頭を押さえた。


『やっちまったなァ、Colonel』


……誰だ、

聞き慣れない声が脳内に響く。

けど、

聞き覚えのある声、だ。

思い出したくない、声だ。


『折角調査部隊にも行かせて、ドッペルゲンガーに協力までしてもらったってのによォ

彼奴ら、なに簡単に殺られちまってんのか…、』


ここには居ない、誰かの声が、声だけが私の脳内で鳴っている。

やめろ、誰だ、

やめろっ、やめろ…っ!!

次第に私に話しかけるような声がどんどん大きくなっていき、私の精神が崩壊されていく。

冷や汗でぐちゃぐちゃになり、自分では制御出来ない程に息切れ、強く強く目を瞑った。


「テメェも、…いつまでも生き残ってんじゃねェよぉおォォォオオオッッ!!!!」

「ああああッ、あぁぁアァアアアアアッッ——————」

—————————————————————————

「ッッガはあっ、はあッ、はぁ、」

「っ、大佐っ!」


あまりの苦しみで逃れるように叫んだ瞬間、目が覚めた。

私はその場に跳ね起き、頭が真っ白になりながらも汗で濡れて冷えた体温を覚え始める。

目覚めた後も大きく息切れ、無意識に目は見開かれていた。


「大佐っ、ねぇ大佐…っ!」


身体を揺すられ、はっとしながら声のする方へ顔を向ける。

…Majorは、本当に心配そうな表情をしながら私の様子を見ていた。


「大佐っ、しっかりして下さい…っ」


Majorの顔を見ていると、段々息が落ち着いてくる。


「Ma、jor、…はあ、はあ」


…まだ余韻が強く、上手く頭が回らない。


「はあ、…Major、

私は————」


自分を落ち着かせる為に声を出した瞬間、

Majorが私の身体を抱き締めた。

…私の冷えた身体が、Majorの体温によって温められていく。


「大佐…っ、僕は此処にいますから…っ!

もう、しっかりして下さい……っ」


Majorは泣きそうになりながら必死に私を落ち着かせようとしていた。

…Majorの体温と声で、段々と目が覚めていく。

Majorは私から離れると、私の両頬を手で覆って顔を覗き込んだ。


「…Major、」

「全部夢だったんです…っ

目を覚まして下さい……」


…夢、

……夢、だったのか、

…そう、だな、

夢、だったんだ。

自分の乱れていた気が落ち着いていくのを自覚しながら、落としていた視線をMajorへと向けた。


「……、とても悪い夢を見たんですよね…、

本当に苦しそうで、本当に心配でした

僕は、絶対大佐の元から居なくなりませんからね…」


Majorは、まだ私を心配するかのような表情で顔を覗き込んでいた。

…、私の気は、Majorのお陰で既に落ち着き切っていた。

…もう、そんな顔をしないでくれ。

心配をかけさせてしまったが、私はもう大丈夫だ。

私も、Majorの両頬へと手を添える。


「…すまない

…、私は、もう大丈夫だ」


夢で良かった。

あの苦しくて堪らない状況が、夢で本当に良かった。

私はMajorに口を重ねようと、そのまま目を瞑り、そっと顔を近付けようとする————


「何してんの?」


はっ、として、

私は動きを止めて閉じていた目を開けた。

……私の目の前にいたのは、

Faithful、だった。

Faithfulは冷たい目で私を見ている。

……、

……?何故、?

私は先程、明らかにMajorと話して確かにその身体に触れていた。

これに関しては、間違ってなどいない。

確かに、私はMajorと一緒にこの空間に居たはずだ。

声も、私が見ていたものも、体温も、

全て、Majorだったはず……、

……何なん、だ…?

何かが、おかし————


「っ」


次の瞬間、

部屋の入り口の方から音がし、咄嗟にそちらへ顔を向ける。

……

…部屋へ来たのは、

……Major、だった。

…何が、起こって、

…っ、

いや、


「っ、違う

違うッ!!

これは違うんだMajor!!」


Majorは、扉を開けたままショックを受けたような表情で私を見つめていた。

違うっ、Major、何もかも違うんだ…っっ

これは、

何かおかしいんだ…っ!!


「ッッ」


Majorの表情は更に深刻になり、

その後、部屋の前から突然逃げるように駆け出し、去って行ってしまった。


「っ…!!

Maj————」


無意識に追いかけようとベッドから降りようとした刹那、

背後から強くうつ伏せに首元を押さえ付けられる。

突然首に強い力がかかり、私は声を漏らしてそのまま抵抗が出来なくなってしまう。


「やっと捕まえたぜ…

ここまでいくら時間と手間かけてきたと思ってんだ」


私を押さえ付ける誰かが、そう私に向かって話した。

その声を聴いて、私はソウルを大きく鳴らし目を見開く。

痛みを感じながらも僅かに動かせる首を動かし、

私を押さえ付ける誰かを目で確認する。


「たく苦労かけさせやがって

いい加減大人しく観念しろ」


私の目の先には、

先程のFaithfulが見えたと思った後には、その姿が徐々に変わっていき、

やがて見慣れない誰かの姿へと変化していった。

…しばらくその顔を見て認識すると、

私の頭は、みるみるうちに真っ白になっていった。


「Quali、a……、」


そいつは、

Qualiaだった。

Qualiaは、私の元恋人、Jessieの殺人者…、

何故、今、此処で……??

目線だけ服装へ移すと、

…奴は、全身真っ黒の軍服の上にマントを着用していた。

…コイ、ツ……


「まさかまた会えるだなんて思ってもなかったぜ

いつ振りだろうなァ?…Colonel」


Phantom軍の、

大、将……??

身体も、透けている……

それを認識すると、更に血の気が引いていく。

全て、辻褄が合う。

合って、しまった。

ナース達へ謎にPhantom軍隊員が取り憑いていたことも、

ドッペルゲンガーがPhantom軍と連んでいた事も、

Majorのドッペルゲンガーが、

『俺達の作戦は、まだ序盤に過ぎない』などと、言っていた事も、

さっきの、

夢の中で聞いた思い出したくない声、も、

全て、

この時の為、


「いつまでも逃げ惑ってんじゃねェよ

折角借り返そうとしてるっつッてンのに…、」


もう身体に力など入らない。

押さえ付けられる力も強く、情報量の多い現実へのショックと絶望で、

今、身体に力など入れて抵抗する事すら出来なかった。

……何故貴様は、

ここまで、して

Ma、jor


「なンだ、アイツのことが心配か?」


透視能力でも使われたのか、思った事にそのまま反応されてしまう。

……何も、

これまで以上に何も、

何も、出来ない。


「…終わりだよ、テメェは

今ここで、全て終わるンだよ」


私にそう言い放ち、Qualiaの真っ赤な瞳が冷酷に私を見下ろした。

気付けば私は、また息が上がっていた。

……そんな、はず、

ある訳………

全ての気力が失せていく。

解決策を考える思考も、抵抗する気も、現実から逃れる気も、

全て、失せる。

Qualiaはそんな私の表情を見て、更にその口角を上げて見せた。


「全て終わりだ

全員死ね」


Qualiaの私を見つめる瞳が怪しく光り始める。

その目を、見つめてはならないと分かっていながらも、

気力の失せた私は抵抗する隙すら逃してその瞳に吸い込まれるようにして見つめ返す。

…意識が、

遠のいて、いく






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