XXXVI

夜、僕は就寝用のシャツに着替えようとクローゼットからそのシャツを取り出したところだった。

もうその他の支度も全部終わって、後は寝るだけ。

…と言うより、

大佐の部屋に行って、そこで大佐と一緒に寝るだけ。

ベッドの端に座り、取り出した白シャツを羽織って下からボタンを留めていこうとした、

その時、


「…っ、!」


既に着替え終えた大佐が、僕が大佐の部屋に行く前にこちらへ来てしまったようだ。

…大佐は就寝用の服装でもなく、上着だけ脱いだ状態のまだ着替える前の服装のままだった。

僕は予想をしていなかった状況に服を着る手を止めてしまう。

大佐は何も言わずにそのままドアを閉めると、黙ったまま僕の方へと向かって来る。


「ぇ、あの、僕行くの遅かったですか…?えっと————」


僕は大佐に向かって謝ろうとしたが、僕が話しているのにも関わらず大佐は足を止めずに僕へと近付き、

そのまま僕の手首を掴んで後ろへ押し倒した。

少し勢いがついていて、僕の身体が少しベッドで跳ねる。


「っっ……、

…た、大佐…?」


少し突然だった為、僕も驚いてしまった。

…、まだしっかりとシャツが着れていなかった僕の身体は、シャツがはだけた状態になっている。

…大佐はまだ何も話さなかった。

そのまま顔を近付けられ、口と口が重なりそうになって僕はつい目を瞑ってしまう。


「…、私がただ待ち切れなかっただけだ」


…僕は大佐の声を聞くと、瞑っていた目をゆっくりと開けた。

そして、近距離で見つめてくる大佐を見つめ返す。

…大佐はそんな僕を少しの間また見つめた後、

そのまま更に僕に顔を近付け、口と口を重ねた。

…大佐の片手が、僕の頬へ添えられる。

少しの間互いに口を動かしていると、

やがて、大佐はゆっくりと自分の舌を僕の口の中へと入れ込んでくる。


「っぅん、ん」


僕の手首を掴む大佐の手が、ゆっくりと僕の掌へと移動をし、優しく指を絡めてくる。

…僕もそれに応えるように大佐の手を握り返した。

僕の口からは、吐息と共に若干の声が漏れていた。

少しの間口の中をあそばれた後、大佐はゆっくりと僕の顔から離れ、舌と舌で繋がった唾液が糸を引く。

僕の身体が火照り始め、ほんの少しだけ、息が上がっていた。

ぼーっとしたような意識で、目の前にある大佐の顔を見つめる。

…大佐の身体も火照り初めているように感じたが、表情はいつも通り凛々しかった。

大佐は、少し経った後また僕の口に口を重ねてくる。

そして、キスを交わしているまま僕の背に手を置いて身体を起こし、

僕の身体を運ぶようにしながらベッドの真ん中へと移動した。

…そして、そのまままた押し倒すようにして僕を寝かせ、顔を見つめてくる。

…、緊張してきた。

大佐の目を見つめ返したいが、恥ずかしい気持ちが溢れてしまって見つめ続けることが出来ない。

僕達は今までに二回大佐と夜を過ごせる機会を作っていたが、結局二回とも途中から状況が変化してしまうなどして落ち着いて過ごすことが出来ていなかった。

なので、しっかりと時間を過ごせるのは今日が初めてだ。

…そう思うと、余計に緊張してしまう。

僕は大佐をあまり見つめられないまま少し目線を晒していた。

…やがて、大佐がゆっくりと下から滑らすような形で僕の胸に手を置いた。

…そして、様子を伺って顔を覗き込むようにして僕に顔を近付けてくる。


「…大丈夫、だろうか」


様子を伺いながらも少し心配しているような声色で、大佐が僕に訊く。

…僕は、そんな大佐の目に頑張って自分も目線を合わせようとそちらの方を見る。


「はい、…大丈夫です」


僕は大佐に小さく返事をした。

…、

少しの間、沈黙が流れる。

僕はまた手を合わせられなくなりそうになり、目線を逸らしてしまいそうになるが、

その時、

僕はあることを思い付いた。


「……大佐、」


僕がそっと名前を呼ぶと、大佐は反応して黙って僕を見る。

…そんな大佐に、

僕は首へと腕をまわした。

そうすると大佐は少し驚いた顔を僕に見せたが、

僕に腕をまわされ、僕の顔と大佐の顔は更に距離を縮める。


「少し、相談…と言うか、お願い、があるんですけれど……、」


僕は恥ずかしい思いで頑張って言葉を振り絞る。

大佐は、僕と顔が近距離になりながらも真っ直ぐに僕を見ていた。

…僕はその先を言うのをほんの少し躊躇ってまた目線を逸らした後、

再び大佐と目を合わせ、

そして、ゆっくりと口と口を重ねた。

大佐も僕と口が重なって目を閉じると、少しの間だけ舌を絡め合った。

…多少の大佐の息を感じながらも、僕は大佐とのキスを続けた。

……少しの時間が経った後、僕達はまた顔と顔を離した。

大佐は僕の顔を見ると、少し驚いた表情に変わり、僕の顔の次に自分の身体へと目を移す。


「Major、

これは……、」


…キスをした事で、

僕達の身体を人間の姿へと変化させた。


「あの、前に人間化薬を飲んだ日の夜、大佐と一緒に過ごそうとしましたが、

僕の気持ちが乱れてしまって結局途中で眠ってしまったじゃないですか…、

……えっと、なので、

今日は、その続きが出来たら…と思って……、」


僕のコピー能力を使って、変身魔法をかけたのだ。

以前の機会で、せっかくお互いに人間の姿になれたと言うのにも関わらず、満足するまで夜を過ごせなかったのがずっと心残りだった。

…だから、今日は、

改めて、大佐と人間の姿で夜を過ごしたいと思った。

…そんな僕を、

大佐は黙ったまままた僕と目を合わせて見つめていた。


「…、」


大佐はしばらくすると、

品定めするかのような表情で視線を下ろし、

そして、僕の唇に親指を軽く押し付けた。


「…、随分と積極的だな」


大佐はそう呟いた。

…少し恥ずかしくなった僕も、視線を下ろしてしまう。

すると大佐は、そのまま僕の頬を掴むような形で再び顔を正面に向かせ、ぐっと顔を近付けた。


「後悔してももう遅いぞ

…だが、

…もしも嫌になったなら、その時に言って欲しい」


大佐の囁くような声に、僕は小さく頷いて返事をする。

…また少しの間見つめあった後、

大佐の口が僕の口に重なる。

お互いにゆっくりと口を動かし合い、やがてまた舌を当てがっていく。

ほんの少し強引な大佐の舌使いに、時折息や声が漏れる。

僕はまた大佐の首に腕を回し、より身体を距離を近付けた。

…顔の近くで聞こえる大佐の息使いに、ソウルの鼓動が段々と早くなっていく。

そして僕の口と重なっていた大佐の口は、流れるようにして口から首元の方へと伝い、耳へと辿り着く。

皮膚から感じる感覚に小刻みに肩をすくめる。

ゆっくりと、大佐は僕の耳へとキスしていく。

…大佐の息が耳介に当たり、さっきよりも更に近い距離に大佐を感じてどんどん気持ちが高まっていく。

妙な気分になっていきながら、僅かに感じる感覚に身体を細かく波打たせる。

呼吸が、不規則になっていく。

やがて、大佐の口元は耳からゆっくり首の方へ伝っていく。

その道中、また身体を波打たせながら皮膚で感覚を感じていた。

それと同時に、大佐は僕の首にまわされた腕に片腕ずつゆっくりと手を這わせ、そのまま耳元に移動させて指を絡めていった。

大佐から感じる体温も、手の温かさも、息も、全部がいつもより熱い。

自分達の身体が人間になっている事を更に自覚させられ、気分も一緒に高揚していく。

大佐は僕の首を探るように伝いながら口元で皮膚に触れていた。

…感じる感覚に、勝手に身体が動いてしまう。


「っ、…っ」


感覚に声が勝手に出てしまいそうになる。

僕は声が出ないよう我慢して抑えた。

大佐の手を握る力が自然と強まっていく。

それに伴って、大佐の僕の手を握る力も強まっていった。

…やがて、首筋に感覚が走り、僕の身体は軽く跳ねる。

さっき感じていた感覚よりも強く、高まっていく気分をどんどん促進させていった。

限りなく距離が近く大佐の身体と触れ合っている状態になっている事を再確認すると、

また更に気分が高揚して身体が熱くなり、息が上がっていく。

…すると、

今まで皮膚を刺激されてより感覚が敏感になっている首筋に、

ゆっくりと、舌が押し付けられていった。


「っっ、ぅ、ん」


首筋に舌が食い込んで、より感覚が強くなっていく。

首の最も感じやすい部分を刺激されて、どんどん身体の力が抜けていくようだ。

大佐の舌先が、次は僕の首筋の下から上へとゆっくりと伝っていく。


「ん、あ、っ」


ゾクゾクとした感覚が背筋を襲う。

声を我慢しようにも抑えられなくなってきて、そうしようとすればする程苦しくなって、ソウルの鼓動は高まっていくばかりだった。

冷静でいようにも、いられない。

…そして、

やがて大佐の片手が僕の両手を頭の上で纏めて固定し、もう片方の手はゆっくりと服の中へと入り込み、

その表面を指先でなぞられる。

その大きな手が、脇腹の方へと移動していき、嫌らしくとも拒否し切れない手つきで皮膚を刺激していく。


「ふ、はっ、ぁ、…っぁあ」


ダメだ、抑えられない…っ

身体からも顔からも力が抜けていくのが分かる。

しかし、それに反応して波打つ身体によって身体の変な部位に力が入ってもいる。

処理の追いつかない体の状態に、頭がふわふわしたような感覚に陥ってしまう。


「……Major」


突然耳元で名前を呼ばれで少し驚いてしまったが、返事をするように僕は強く瞑っていた目をうっすらと開けた。


「…、

……可愛い」


普段の大佐からは滅多に聞けないその言葉に、ソウルは大きく跳ね上がった。

それによって妙な気分を更に倍増させられ、感覚をも狂わせられてしまう。

続いて、また大佐の舌が首筋に当たり、皮膚を押されながらゆっくりとなぞられていく。


「ぅあっ、あ、ん、ぅ…っ」


感覚がどんどん強くなっていっている気がして、身体が波打つのも抑えられず、小刻みに震えている。

永遠と、上擦った我慢のできない声と息が漏れ続けている。


「我慢はするな

身体も、声も…、力を抜かなければ負担がかかって余計に苦しくなってしまう」


そう言いながら、また大佐は僕の脇腹にゆっくりと指を這わせる。


「ひ、ふあっ、あぁ」


感覚に、背が沿ってしまう。

強く瞑って堪えようとしていても、感覚がそれを邪魔して目に力が入らなくなっていく。

うっすらと開いた視界の先はぼやけていて、ただただ喘ぎ声が漏れているのを耳で感じ取っていた。

身体が酷く熱い。汗も大量にかきじめている。

気付けば呼吸も不規則になっていて、さっきよりも喘ぎ声を漏らさないようにする事は難しくなっていた。

…ああ、…頭がふわふわ、する……。

おまけに真っ白で、もう何も考えられなく、なってきた……

———————————————————————————

Majorに魅せられる姿が、私の欲望を促進させていく。

さっきまではまだ冷静にMajorを見ていたものの、

段々と取り乱し始め、歯止めが効かなくなってしまいそうだった。

…少し続けた後、Majorの首から口を離し、一息ついてMajorの顔正面に向き直った。

Majorは息切れて肩を上下させながら、うっすらと私の顔見つめる。

……あぁ、

そんな顔で見られてしまっては、

更に、欲望の制御が出来なくなってしまう。

私は身に付けたままだったネクタイを片手で解き、その辺に放った。

とうに身体は熱くなり、気分の高揚で若干呼吸も速度を増している。

…私はまたMajorの手に自分の手を絡ませ、さっきと同じように押さえ付け直した。

そして、またMajorの口に口付け、熱く舌を当てがっていく。

それと同時に、Majorのシャツと肌の間にゆっくりと手を入れ込み、そのまま滑らせてシャツを脱がせていった。

…シャツで肌が擦れるだけでも、Majorは身体を反応させていた。

やがて、シャツも完全に脱がせ、ネクタイと同じようにその辺に放った。

…また顔を話して、Majorの顔を見つめる。

Majorは完全に息が上がってしまっていて、しっかりと目を開く力すらないように見えた。

再び絡めた指にも、もう力が入り切っていない。

…まだほとんど何もしていないと言うのに、これほどの表情を見せてくれるなんて、

本当に、気分が高揚して堪らなく、

こちらまで、狂わせられてしまいそうだ。

私はそんなMajorから、いつの間にか目が離せなくなっていた。

…ふと、Majorの身体に目を下ろす。

…、人間の身体だ。

人間の身体同士でこうして触れ合うのは、今回のMajorが初めてだ。

既に普段感じられないような体温を体感している。

…衣類もまともに着ていないと言うのに、驚く程お互いに身体が熱くなって汗が止まらなくなっていた。

…そして、舐めるようにMajorの身体に視線を滑らせていると、

…Majorの、胸先が目に入る。

…これも、人間の姿でしか見る事が出来ない。

普段の身体から人間の身体になると、これ程沢山の変化が出ると言う事を改めて実感していた。

人間の身体については、私も知らない事が多い。

…それを、今日深くまで知れるとなると、

やはり、興奮で気持ちが収まらない。

……、

理性が、抑えられなくなりそうだ。

私の手はそのまま不本意かのようにMajorの胸先へと伸びていく。

…そっと、Majorの片胸に手を触れる。


「っ、っっ」


反応して、少しMajorの身体が跳ねる。

胸に触れた手をそのままゆっくり下に滑らせ、脇腹辺りに指先を這わせる。

私の手が移動していく度に、Majorの身体は小刻みに反応していた。

…ある程度脇腹を触って反応を楽しんだ後、

その指先をまたMajorの胸へと移動させ、

指で胸先に触れる。


「っ、ぁ、」


それによって、Majorが少し声を漏らす。

指を動かしていくと、顔を横に向かせ、空いている手で口元を隠すような仕草を取りながらまた小刻みに震えていた。

……、

…もっと、

しっかり、顔を見せて欲しい。

自分で口元を隠しているMajorのその手を掴み、

もう片方の手も纏めて、頭の上で固定した。

固定しつつも、その手に指を絡める。

…そして、もう片方の手でそのまま胸先を刺激し続け、

もう一方の胸先を自分の口で覆い、

ゆっくりと舌を押し付けた。


「あっ、んぅ、」


少し大きく、Majorの身体が反応する。

…付けていた舌を、ゆっくりと動かし始め、

Majorの胸先の上に滑らせた。


「ひぁ、あっ、ぅああっ、あ」


我慢の出来ていないMajorの声は抑えられないまま漏れ出て、身体を反らせて反応を見せていた。

私の手と舌が動かされ続けると、Majorの反応も段々と大きくなっていき、漏れ出る喘ぎ声にも余裕がなくなってきていた。


「あぁっ、ひ、あぁあ、あぁっっ」


Majorの反応に、私の身体もどんどん体温を増していく。

息遣いも、少し荒くなってきているのが自分でも分かった。

…、

私自身も、まともにものが考えられなくなってきている気がする。

ただ無心に、動き続けていた。

…ふと、

舌を動かしながら、Majorの顔へ視線を向けてみる。


「ひぁ、あぁあっっ、ぅ、ぅぁあっ」


苦しいような、けど感覚に酔っているような、

そんな表情で、顔を真っ赤に赤面させていた。

私が少し大胆に動けば、Majorの反応もそれだけ大きくなる。

…可愛、すぎる…

私の鼓動もかなり早くなっていることに今更気が付く。

私の動きと一緒に反応するMajorの様子から、少し目が離せなくなる。

……そんなMajorが、

とにかく可愛らしくて、仕方がなかった。

…、

…もっと、

もっと、見せて欲しい。

私にしか見せてくれないその姿を、

もっと、

見せて欲しい。

そう思うと、また更に気分が上がっていった。

…Majorの身体からは汗が流れていて、熱いとまで感じる程に体温が感じられている。

それがまた、

私の気分を狂わせていくようだった。

—————————————————————————

しばらくして、

大佐は一旦僕から身体を離し、手の拘束も解いた。

……余韻で、全く気持ちが落ち着かない。

…大佐が離れても僕はすっかり息が上がってしまっていて、目を瞑っては沢山息をして、自分を落ち着かせるのに必死になっていた。

大佐も少し僕から離れた後、

着ぱなっしだったシャツのボタンを外し、やっと脱ぎ始めていた。

…大佐はボタンを外していっていたが、

面倒臭くなったような様子で脱ぐのをやめ、

そのまま再び僕に覆い被さる。

…、自然と、視線が大佐の顔から大佐の身体へと移る。

……、わ、

凄い、丈夫そうな身体…、

シャツの隙間から見える大佐の身体に、思わず感心してしまう。

…と同時に、変に恥ずかしくなってきてしまって、少し顔を逸らしてしまう。

…直視出来ず、顔を逸らしてあまり見ないようにしても、

考えるだけで気持ちが乱れてしまいそうになった。


「…、

…嫌、か?」


大佐が小さく僕に訊き、少し顔を覗き込んでくる。

ほんの少し大佐との距離が縮まって、僕の鼓動はさらに早くなって気が落ち着かなくなってしまう。

……どうしよう、

伝えるのにも、恥ずかしい…。

…顔がとてつもなく熱い。

何も考えられなくなってしまいそうだ。


「…、何か思ってる事があるなら、言ってくれないか、」


大佐はまだただ僕を心配しているようだった。

…べ、別に、どうって事、ない筈なのに……、

結局僕は、何も返事ができないまま顔を逸らし続けてしまっていた。

…すると、

大佐がそっと僕の頬に手を当て、正面に向かせた。

……大佐と目が合って、また恥ずかしくなってしまう…。


「…、あの、…違うん、です……」


僕は動揺しながらも、何とか大佐に返事をしようと声を出した。

少し喉でつっかえるようで、少し掠れたような声になってしまっている。


「……、その、…

…かっこ、よくて……、」


また、自然と大佐から目が逸れてしまう。

…実際に思っている事とは違ったかもしれないけど、

あながち、間違っていない事だ。

人間の姿になって、

やっぱり、大佐の姿は本当に綺麗でかっこよかった。

そんな大佐と僕の身体が触れ合っているだなんて考えると、

余計に、

優越感が強くなった。

…、大佐は僕の頬に手を触れて、返事はしないまま少し顔を近づける。

そして、また僕の口にそっと口付けた。

僕はその大佐のキスを快く受け入れ、舌を当てがう。

…そして、またさっきのように大佐の首にそっと腕を回した。

—————————————————————————

Majorの熱い体温を、舌からも感じていた。

キスをしている間際、またMajorの首元や胸に触れる。

…口元では、舌同士が当たって僅かな水音を立てていた、

…、少し治っていた気分が、

また、高揚していく。

キスをし続け、その状態のまま、

私はMajorのズボンへと手を伸ばした。

……、が、

少し、思い留まってしまう。

…、本当に、これ以上一線を超えてしまっていいのだろうか。

流石のMajorでも、嫌がってしまうのでは…?

気付けば、Majorとキスをする口元も止まってしまっていた。

…ストレートに訊くのも少し気が進まない。

…、大丈夫、なのだろうか。

私はMajorの顔を見つめてしまう。

…すると、見兼ねたMajorは少し恥じらいながら私に声を掛けた。


「…遠慮、しないで下さい…

僕は大佐に身を委ねる事だけしますから…、」


Majorは、まだ若干息を上がらせながらそう話した。

…Majorも、これ以上進むことを望んでいる、のか…。

……

…いいのか、

このまま続けても

私はまたMajorに顔を近付けながらも、再びズボンに手を掛けた。

Majorは少し恥ずかしがるような様子を見せたが、

けど嫌がる様子は見せなかった。

……私も、Majorには「嫌なら言え」と伝えた。

Majorがそう言わないのなら、

心配する必要も、ないのか。

…私は一度離した口をもう一度近付け、

そしてまた、重ねた。

…Majorが、求めるように口を動かし始める。

それに伴って、私も舌を当てがった。

キスをしながら、ズボンに掛けた手をそのまま下ろしていき、ゆっくりと脱がせる。

キスをしていて余裕がない中でも、Majorが少し足を上げ、脱がしやすくしてくれる。

…ズボンを脱がすと、

Majorの色白で綺麗な脚が曝け出されて、恥で若干内股になってしまっているのが分かった。

…口元から、頬、首へと皮膚を伝っていく。

と同時に、Majorの脇腹に手を置き、そのまま腹の方へと滑らせていく。

首筋に、少し強く舌を押し付け、腹辺りを指先で焦らした後、

ショーツの縁に親指を掛ける。

…そのままゆっくりとショーツを下ろしていくと同時に、首筋から鎖骨、胸辺りまで舌を伝わせる。

Majorが感覚に反応して、小刻みに身体を反応させていた。

…Majorの熱い体温が、触れている舌から感じられる。

ショーツを下ろし切って、完全に足から抜いた。

Majorの胸から僅かに聴こえる早くて強い鼓動と、気付けば強く抑えられなくなっている自分の鼓動で、どんどん気持ちが乱れていく。

……Majorのショーツは完全に下ろし切っている。

Majorは自分の下半身に目を向けられなくて、肩で深く息をしながら強く目を瞑っている。

…私も、そちらを直視することは出来なかった。

……、

…ここまできても、

それでもやはり不安になって、躊躇ってしまう。


「…本当に大丈夫か?」


小さく、Majorに訊いた。

…Majorは、うっすらと目を開いて返事をするように私に小さく頷く。

……、Majorは、いいと言っているんだ。

私がこれ以上ぐずぐずしていても、何も進まない。

………

…Majorの顔を見つめながら、

Majorのそれに、指先で触れる。


「んっ、っっぅ」


反応して、Majorの身体が跳ねる。

…徐々に触れる面積を増やし、そのままゆっくり下へと伝わせてみる。


「あぅ、ぅう、ぁ」


感覚が強まっているのか、顔を歪ませて、身体をのけ反らせている。

…意識していない身体の部位に、力が入っている様子だ。

そんなMajorの反応を、

私は、更に求めてしまうようでいる。

それに触れていた指を後ろへとまわし、軽く握るような形をとり、

ゆっくりと上下に動かしてみる。


「ひぁっ、あぁっああぁ、」


大きく身体が跳ね、瞑っていた目をも開いてしまうぐらいに反応を見せている。

今、如何わしい気分になっているのには違いない。

私自身、それを自覚するとやはり自分に対しての気色悪さまでも感じてしまう。


「は、あぁあっ、あぁ」


…けど、やめる気にはなれなくて、

むしろ、Majorのその反応に見入ってしまって、

更に、求めようとしてしまっている。

Majorのその、

他では見せない、可愛らしい様子を、

もっと、見たいと、そう思ってしまっていた。

求める気持ちが収まらない私は、脇腹に、ひたっともう片方の手を当て、僅かに指を滑らせた。


「あぁあっ、や、ああ、あぁぁあぁあっっ」


次の瞬間、Majorの身体は酷く波打ち、咄嗟に手元に顔を向けると、

私が触れるそれから液体が飛んで出て私の顔に少しかかった。

突然で驚いて、不意に肩をすくめて目を瞑り、若干顔を背けてしまう。

…その液体が、独特な臭いを漂わせた。


「はぁ、はぁっ……ごめんな、さ……」


酷く息切れて肩を上下させ、半開きな目を私に見せながら、呂律の回っていないままMajorは言った。

…かかった液体が口の端まで垂れて、

それを、ほぼ無意識に舐め取った。

……あぁ、ダメだ

もう、我慢、

できない

理性が切れたのを感じ、衝動的に脱ぎかけのシャツを完全に脱ぎ、自分のズボンのベルトを外し始める。

…この先だけはやらないと決めていた。

…だが、もう、気持ちが抑えられない。

後戻り出来ない事を自覚してしまった。

すまない、…すまない……っ

そのままズボンを脱ぎ捨て、ショーツにも手を掛けて脱がしながらMajorの腕を耳元で押さえ付け、その上に覆い被さる。

…ショーツも脱ぎ捨て、もう片方の腕も押さえ付ける。

Majorは、がっつくような私の様子に驚いた表情で私を見つめ、未だ肩を上下させている。

…今、私はきっと酷い顔をしている事だろう。

自分でも、分かっている。

身体が熱く火照り、汗が滴っている。

やり場のない気持ちで、まだ処理もし切れていない。

…早く、楽になりたい。


「すまないMajor…、許してくれ……っ」


能力で私のソウルとMajorのソウルを胸元に浮かばせる。

そして、自分のそれをMajorの股にゆっくり挿れ込むのと同時に、

ソウル同士を近付けて密着させた。


「っッひぁ、ああぁっっああっぁ」

「っ、……っっ…」


Majorが喘ぎ声を上げるのと同時に、私の身体にも感覚が走る。

自分も声が漏れそうになって、喉奥を締めて耐える。

Majorの足を上へ持ち上げると、背中とシーツの間に腕を入れ込んで強く抱き締めた。


「はぁ、っ、動くぞ…、っ」


私も既に、まともに喋れなくなっている。

Majorは声も出せる余裕がない様子で何度も私に頷いた。

Majorも私の背に腕をまわし、強く抱き締め、

私はゆっくりと入った状態で腰を動かし始める。


「あぁっ、あっ、ぅ、はあ、あ」

「っぅ、…はあ、…っ」


身体が動くと、同時にソウルとソウルも擦れて更に力が入らなくなるような感覚に襲われる。

全身に感じる感覚に、また声が出そうになる。

沢山呼吸をして、何とか抑え込もうとした。

強く目を瞑り、Majorを強く強く抱き締めて身体を動かす。


「あ、あっ、ひぁっ、あ、あ」

「はあっ、はぁ……っ、」


Majorは、喉でつっかえているような喘ぎ声を出していた。

感覚が強くて、私の身体も少し小刻みに震えている。

…腰の力が、抜けてしまいそうだ…。

時折突発的な強い感覚に侵され、スムーズに身体が動かせなくなる。

身体が支配されていくような感覚に、ソウルが強く強く絞まるのを感じる。


「ふぁっ、あっ、う、

っ、たい、っさ……っっ」


呂律の回らない口で、Majorが必死に私の名前を呼ぶ。


「っ、…っ、m、Major…っ」


返事をするように、反射的に名前を呼び返す。

今のこの自分の行動を、決して良かれとは思っていない。

何なら、やらないと決めていた事だ。

けど、理性を抑えられずに一線を超えてしまって、

…物凄い程の背徳感と、充実感を感じていた。


「ったい、さ…っ」

「っ、はぁ…っ、Ma、jor……っ」

「たい、さっ、んっ、ぅ、

き、キス、してくら、さぃっ」


大きく出そうになる声を抑えるのに必死で下げてしまっていた顔を弱々しく上げ、身体を動かしながらMajorの方へ顔を向ける。


「ん、ぅっ、キス、してくら、さっっ」


Majorが、感覚に侵された表情になりながらも、私を求めるような表情で見つめてくる。

…息切れながら顔を近付け、お互いの熱い息がかかった。

……気が、おかしくなりそうだ

真っ赤で汗だくになったお互いの顔を見つめ合い、

やがて熱い感情で、熱い身体で、

熱く、口と口を重ねた。




…身体にも、顔にも力が入らない。

そんな状態のまま後ろに倒れ込み、身体を冷やすように沢山呼吸をする。

頭が真っ白で、視界もままならない。

…しばらくして弱々しく身体を起こすと、

Majorに近寄り、その顔を覗き込む。


「……Major……、」


まだ息切れしていながらMajorに呼び掛ける。

…、しかし、、反応はない。

…刺激が強すぎて、そのまま気絶してしまっていた。

…、やりすぎた、だろうか……。

余韻で肩を上下させながら、顔を伏せる。

……、

取り返しのつかない事を、してしまった。

私が、制御出来なかったが為に、

今後の事も何も考えず、対策すらせずに一線を超えてしまった。

…いいのか?

果たして、許されるの、か…?

こうして、欲望に侵されていくのだと改めて自覚した。

……、愚かなものだ。

身体は止まろうともしなかった。

…確かに幸せではあったが、

…だが、やはり、

とんでもなく、後戻りの出来ない事をしてしまったと、

深く肩を落とした。

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