XVI

…目を覚ました。

…、目を開けた先には、

大佐の寝顔があった。

とても近い距離でそれが見えていて、少しぼんやりと見つめる。

…僕、あれからそのまま此処で寝ちゃってたんだ。

ゆっくりと身体を起こし、少し寝ぼけた意識のまま着替える為に自分の部屋へと向かおうとベッドから降りようとする。

……と言うか、

僕、大佐と一緒に夜を明かしたんだ、な…。

…、ふと、大佐に振り返る。

……前に大佐の寝顔を見たことを思い出して、すぐ側にある大佐の寝顔を見つめる。

一度身を起こした僕だったが、

また大佐の隣で横になって、近くで見る為に大佐の顔に自分の顔を近付ける。

…、

大佐は静かな寝息を立てながら気持ち良さそうに眠っていた。

まだ、起きる気配はなさそう。

……。

あまりに気持ち良さそうに眠っていて、その寝顔に僕の方が少し見惚れてしまって、

僕はつい、大佐の寝顔に手を伸ばし、その頬に触れようとしてしまう。

…が、思い留まって手を引っ込めた。

僕がこうするには、まだ早いのかも。

僕はそんな大佐の寝顔を少し見つめた後、ふと時計に目を移す。

…今の時刻は、五時四十分程だった。

急ぐ必要まではないけど、もうそろそろ準備を始めないといけない時間だ。

大佐の寝顔を後にすると、僕は大佐に背を向けて今度こそベッドから降りようと身を起こす。


「Major、…起きていたのか」


僕は突然背後の方からした声に少し肩をすくめながら驚いてしまう。

振り返ると、大佐はついさっきまで眠っていた筈だと言うのに既に目を開けていて、

少し身体を起こした状態で僕の方を向いていた。


「た、大佐、おはようございます…」


大佐は指で目を擦りながら身を起こし、ベッドから上半身を出した。

…寝起きの状態で、まだ眠そうだ。


「…もう行ってしまうのか」


大佐は、ぼんやりと僕にそう訊く。


「…えっと、今日は敵軍と対戦をする日なので、もう僕は準備の方に……」


それを聞くと、大佐は時計に視線を移す。

…そして、ため息混じりでまた向き直った。


「…もうこんな時間、か

……手間をかけさせるものだ」


大佐はボソッとそう呟くと、ほんの少しだけ不機嫌そうに頭を掻いた。

…、Navy 軍に対して小さな怒りをぶつけているようにも見えた。

……、何だか、僕との時間が削られることに不満を持ってる…?

その様子を見ていて何となく察せた気がした。


「…嗚呼、あぁ、分かった。準備をするんだろう、早く行くとといい」


大佐は引き続き少し不貞腐れたような様子で、ため息混じりでそう話す。

…、

…大佐が何故こんなような様子で話しているのか分からないけれど、…でも、もう準備をしに行かないと…。

僕は小さく「失礼します」と言ってから大佐の部屋を後にしようと出口に振り返ってドアノブに手を伸ばした。


「おい。待て」


大佐からまた話しかけられ、振り返ろうとしたその時。

ドアと僕を挟み、大佐が目の前へテレポートをし、

僕を抱き締めた。

僕は小さく声を漏らし、まだ寝起きで身体が暖かい大佐の体温を感じながら身体が大きな大佐の身体に包まれる。

…やがて大佐は離れ、僕は少し手のやり場に困ったままそんな大佐に微笑みかける。

すると、顔を近付けられ、今度は口を重ねられる。

また小さく声を漏らすが、大佐は僕に口を重ねるとすぐに離れた。


「…さ、もう行け」


大佐が「早く行くといい」って言ったのに、結局大佐の方から引き止めてる…。

僕はまだソウルをドキドキさせながら大佐を見つめ返す。

…そして、また微笑み返してその部屋を後にした。




隊員達の準備がし終わった頃、一旦全員広場に集められていた。

…大佐がもうすぐ此処へ来る筈なのだが、まだその場に大佐は居なかった。

「今回の相手が海軍ってことは、海上での対戦になるんだよな?」「だとしたら俺達の船って…?」「船とか操縦したこともないぞ…」

待っている隊員達からちらほらとそんなような会話が聞こえてくる。

確かに、言われてみれば僕達は元々陸軍で、海上での対戦は勿論、船を操縦するような機会すらなかった。

…僕はそもそも対戦に参加するのが初めてだけど、ここまでやって来て海上での対戦に参加した実績を聞いたことはない。

…でも、大佐も特に何も言っていないようだったし、まるで想定済みのような様子だった。

…、何か、考えでもあるのかな。


「…注目。全員聞いてくれ」


大佐が広場へやって来て、高台に登ると皆んなにそう呼びかける。

隊員達は大佐が来たのに気付くと、少し姿勢を正して会話を止め、そちらの方へと向き直った。


「今さっきまでお前達が話していたように、私達は海上での対戦に対応したような船を所持していない

全員海上での対戦をも経験すらしたことがない筈だ

…だが、何も心配することはない

私が成るようにする予定だ」


大佐の様子に疑問を持ち始めた隊員達はまた少し会話をし始める。

やっぱり、大佐には考えがあったんだ。


「対戦は九時からを予定していて、間もなく七時になるところだ

予定時刻までまだ時間があるだろう、今から全員である場所に向かおうと思っている

…今からその近くまでお前達を移動させる

下手に動かないでいてくれ」


大佐がそう言うと、隊員達は喋るのをやめ、辺りは沈黙に包まれた。

大佐はそんな隊員達の様子を見た後、

手を少し高い位置まで持ってくると、そのまま指を鳴らして見せた。

その瞬間、全員一緒に基地とは違う別の場所までテレポートされる。

辺りを見渡してみると、…恐らく基地付近の山の中だろうか。

僕達はそんな場所まで移動させられていた。


「そう遠くはない。着いて来てくれ」


隊員達の間を割って入りながら、大佐は前へ歩いて行った。

僕達もそれに着いて行く。

…大佐、基地から離れた場所で一体何を用意しているんだろう…。

大佐が基地に居ない時って目立つ程なかったし、そんなに準備するような時間もなかったと思うのに…。

歩いて行った先に、少し隠れた状態で洞窟の入り口なようなものが見えてくる。


「この中に入ってくれ。入口は狭いが中に入ると広くなる筈だ

中は少し暗いから気を付けてくれ。入って行くと視界が効くぐらいには明るくなる」


大佐は隊員達を先に行かせ、自分は隊員達の後を着いて行っていた。

僕は流れるように隊員達の先頭を行き、少し前後を気にしながら歩いて行く。

洞窟はそう長くはないようで、もう少しで出口のようだった。

…洞窟の出口を出ると、今まで暗い視界に慣れていた目に突然日光を浴び、余計に眩しく感じて目元を手で覆った。

そして、そっとその手を退けて目の前の光景を目の当たりにする。

「…す、すげぇ…!!」「俺達の、軍艦…!?」「大佐が一人で作ったのか…?」

僕は目に映るもので言葉を失う。

僕達の目の前には、立派に立ちはだかる軍艦がそこにあった。

隊員達は思わぬ光景に、子供がはしゃぐようにしてその船に駆け寄って行く。

…大佐が用意したものって、これ…?


「海軍と対戦をするのならば、それに釣り合う武器がなければな

Navy軍に宣戦布告した3日後程だっただろうか…、その辺りから製作に取り掛かっていた

だがまあ、ほぼ能力を使ってでの製作だ。それ程時間も労力もかかっていない」


大佐もそう言いながら、そんな船に歩いて近付いて行った。

…にしても、ものすごいクオリティ…。本当に大佐一人で作ったものなの…?

僕もそんな大佐の造った船を見上げていた。


「我ながら上出来だとは思っている

それでも海上戦で使う軍艦だ。その分丈夫に作ってある

恐らく、大砲を一発撃たれたぐらいでは大したダメージは受けないだろう

…それで、これから対戦までの時間で操作の仕方などを教えようと思っている

それ程難しくもない筈だ。お前達ならばすぐに慣れることが出来るだろう」


相手の軍の戦い方は分からないけれど、Navy軍も弱くはない敵軍だ。

どんな攻撃を仕掛けてくるか分からない。それに対応して戦えるようにしておかないとな…。


「誰がどんな役割を担当するかはある程度決めてある

…さあ、あまりゆっくりしすぎていても時間が迫って来てしまう

全員早く乗り込んでくれ」




既に船ももう動かされていて、海の上を移動していた。

操縦を任されている隊員も早い段階で操作に慣れることができ、順調に動かすことが出来ていた。

それ以外の隊員も任された仕事をしっかりとやりこなすことが出来ていて、今のところ不十分なところはなさそうだ。

大佐は、役割分担もしっかりと任せられることを想定した隊員をそれぞれ選んだのだと思うけど、

何から何まで大佐が計画を立てていて、改めて本当に凄い人だと感じた。

僕にも、何か手伝えることがあれば言って欲しかったな…。

僕は、大佐からは特に与えられた役割はなく、主に操縦等は隊員達がやってくれるから余分に覚える必要はないとの話を聞いた。

…僕も少しは何か覚えておいた方がいいと思うけど、本当に大丈夫かな。

出来るだけ、僕も臨機応変に動きたいものだ。

丁度僕達は船の運転席に居て、その部屋には大佐と僕も合わせて五人程居る。

僕は隊員が操縦して進んで行く景色をぼんやりと眺めていた。


「Major、今回の作戦を説明しようと思うのだが、」

「はい、」

「難しい作戦にはしていない。聞いてくれるだけで構わないが、

…今回の対戦時、Majorには少し囮になって欲しいんだ」


囮…。僕にそんな責任重大な仕事、やり遂げられるかな…。

そもそも、一体どう言った程で…?


「Navyは、集めた情報によると中々の力の持ち主だとは聞く。私達の隊員を強引に攻撃したり避けたりしては一人ででも私の首を取りに来るだろうな

以前にNavy軍と戦っていた軍からの情報だ。恐らく間違った内容ではない」


僕は大佐の説明を静かに聞いていた。

…でも、今回は何を言っても僕が初めて経験する対戦なのには変わりのないことだ。

やはり今考えると自信がなくなってきてしまうし、それこそ取り返しのつかないことにならないか、自分自身に心配する気持ちを抱いてしまう。


「…、自信がないだろうか」

「…はい」


僕は自分の気持ちを正直に答えると、少し俯く姿勢をとって見せてしまう。


「…大丈夫だ。私もお前に任せられる仕事だと判断した結果からの作戦なんだ

先程もNavyは強力な力の持ち主だとは言ったが、

恐らく比にならない程お前は強い。あとはお前自身の気持ちの持ち様だ。それ程苦戦すらしないかもしれない

…そうだな、お前は実力も十分以上にあれば能力も優れている

今まで見ている様子でも、それはお前の圧倒的な力となっている筈だ

…、今まで訓練で経験していたことを思い出せばいい。Majorならば心配はいらない」


僕は大佐に励まされながらその話を聞いていた。

…自分が初めて経験することは何であっても恐怖を感じてしまうものだ。

僕が、少佐に任命された時と同じような気持ち。

でも、今でも僕はしっかりと少佐を務められているつもりだし、やり遂げられなかった仕事は今のところもない。

失敗などは何度かあったけれど、それも確かに今までの成長に繋がっていて、今だって僕は成長をし続けている筈だ。

…何よりも、経験をしなければ身にならない。

大佐に任せられた仕事ならば、弱気になっていないでしっかりとやり遂げることだってしたい。

…不安の気持ちは消えないけれど、頑張ってみないと。


「ん、まだ来ていないだと?」


気付けば大佐は隣には居なくて、運転席の窓から景色の方を見ていた。

我に帰った僕は、自分も大佐達と一緒にその窓から外を覗いて見た。


「時間ももう時期だと言うのに…

あちら側の遅刻といったところだろうか」


僕も時計に目を移してみるが、…確かに、もうそんなに遅くはない時間をまわっている。

時間通りに来れないなんてことあるんだ…。

…、何か、嫌な罠に嵌められないといいんだけど…。


「…しかし、丁度いいな

余裕があればもう一つ試してみたいことがあったんだ

少し船の外まで出て来てくれないか」


大佐は隊員達に呼びかけると、隊員達は返事をした後に船内放送で他の部屋にいる隊員達にも同じように呼びかける。

そして一旦運転席から離れ、部屋を出て行った。

大佐、まだ何か用意していることがあるのかな…?


「…Major、どうした。お前もだぞ」


大佐に声をかけられ、僕も慌てて運転席から出て行った。




僕達が外に出て行った頃には、もうほとんどの隊員達が屋外に出て来てくれていた。

…やっぱり、こう見ると僕達の軍って優秀。

普段から大した指導はしていないのにも関わらず、こんなに行動力があるだなんて。

元々の大佐の教えからなのか、それとも、Faithfulさんの教えからなのか…。


「よし、すぐに始める。少し待っていてくれ」


大佐は全員の様子を確認すると、ちょっとした高台まで登って行った。

僕達は、そんな大佐の行動を見守っていた。

そして大佐はそこまで登り終えると、僕達の方に向き直った。


「…じっとしていてくれ、」


大佐はそう言うと、その場からフワッと僕達に手をかざした。

その瞬間、眩しいものに包まれて目を瞑って伏せる。

「…海軍の服だ!」「白い軍服…!」「お前めっちゃ似合ってるー」

そっと目を開け、自分の姿に目を下す。

…なんと、僕達の服装は海軍の白地の軍服へと変化させられていた。

隊員達も興奮した様子で自分達の着る白い軍服を見合っている。


「この方が、今回の対戦にはピッタリの服装だろう

その軍服はお前達へのプレゼントとしよう、今後は好きなように使ってくれ」


大佐も高台から降りて来て、さっきまでは太陽の日光で眩しくて見え辛かった大佐の姿が段々と見えるようになってきた。

…大佐も、海軍仕様の軍服に変化していた。

マントも白地で、普段の裏地が赤色から青色になっていて、いつもとはまた違う雰囲気の軍服を着る大佐がそこにいた。

…単刀直入に言うと、

その大佐は、とてもカッコ良かった。

普段はあまり装飾がついた軍服ではないのに、今回は少し付け足されたように装飾が増えている軍服…。

見ているとドキドキしてしまって、僕は少しだけ顔を逸らした。


「お前達、中々似合っているではないか。念の為用意しておいた甲斐があったな

…しかし、あいつらはまだ来ないのか

いくら遅刻をすれば気が済———」


大佐はし続けていた話を遮るように止め、

突然、レイピアを瞬時に抜いて自分の左側に向かって振り上げた。

と同時に、何処からともなく発砲音が鳴り、何にも気付かなかった僕達は少し身を屈める。

…少し隊員達の様子を見てみると、それぞれ自分の能力によってそれを感じる取ることができ、

既に、いつでも襲い掛かれるような姿勢を構えられている隊員が何人か居たようだった。


「…卑劣な真似をするものだ」


僕もそちらの方に顔を向けると、

…やがて、何もない僕達の船の隣に何かが透明な状態から目に見えるよう形として浮かび上がってくる。


「無駄足を運ばずに貴様の首を取れると思ったのだが、

…誠に残念だ」


僕達の眼に浮かび上がってきたそれは、Navy軍の戦艦のようだった。

…船全体に透過能力がかけられていたのだろうか。

その船の上には、Navy軍隊員達が僕達に身体を向けていて、中央辺りには大将らしき人物が立っている。

…とうにこちらのことを確認出来ていたらしい。

僕や他の隊員もそれを確認すると、すぐにレイピアを抜けるよう姿勢を取る。


「話が違うぞNavy軍

…約束した筈の予定はどうしたと言うのだ」

「敵軍に向かって礼儀正しく約束通りにするとでも思っていたのか?

甘いな、他のナメたような軍と同じにしてもらっては困る」


大佐はNavyから目を離さず、顔色も変えなかった。

…相変わらず僕達の軍は人数が少なく、向こうの方が多かった。


「…確かに話には聞いていたが、

そんなことだろうとは思っていた」


大佐は小さくそう話すと、構えていた身体を直して楽な姿勢をとった。

…向こうは、初めから約束通りに行うつもりなんてなかったんだ。

相手の軍の上層部の首さえ取れれば何だっていい、とでも言いたいのだろうか。

……酷く、闘争に狂ったような思考の持ち様だ。


「…して、Brave

忘れたとでも言うような面でそこにいるつもりか?

貴様を許して放してやったなど一言も言っていない筈だ

それだけの大罪を犯しておきながらのうのうと生きているなど…、

…覚悟は出来ているんだろうな」


丁度僕や大佐の近くに居たBraveはそれを聞いて反応し、返事もしないまま真剣な顔でレイピアを構え続けていた。

Braveはもう完全にこちらの隊員だが、

…今回、恐らくBraveの身が狙われやすいのだろう。

あらかじめ隊員達には、今回の対戦では優先的に気にかけながらBraveの身を護衛してあげるよう伝えてあるが、

僕や大佐は隊員達が剣を振り合っている所には居座らない為、少し心配の気持ちが芽生えてしまう。


「…軍を抜けたくなる程相当な仕打ちをしたのは、そちらの方なのだろう?」


大佐は冷静な様子でNavyに問いかけた。

…奴は顔色を変えて大佐を睨んだ。


「…何だと」

「丁度この場がいい機会だろう

貴様らには自分達がどれ程愚かな考えを持って行動を起こしているのかを自覚してもらおう

…この対戦で、それを篤と訓え込ませて頂こうか」


大佐は続けて冷静な様子でそうNavyに訴えた。

…少しの間、辺りに沈黙が走った。

すると、奴は突然大笑いをし始め、笑い声が大きく辺りに響き渡った。

僕達はそれを見て、一層気持ちを引き締める。


「余計なお世話だColonel!!

何をそれ程生意気な態度を取れるのか図りかねる…

ならば臨む所だ。手加減などしない」


Navyがレイピアを抜くと、周りにいる他の隊員も次々にレイピアを抜いていった。

…奴が、僕達にレイピアを向けて威嚇している。


「お前達。いつもの作戦通りだ、いいな

…よし、かかれッ!!」


大佐が掛け声を上げた瞬間、隊員達が船に飛び移り合って剣を振り合い始めた。


「さっきので多少の挑発は効いたことだろう

効果が大きく出る訳ではないが、気が立ってまともな判断が出来なくなる可能性が上がる

少しは有利になる筈だ

…行くぞ、作戦に移る」


僕は大佐に返事をすると、そのまま後に着いて行った。

…僕達の軍の隊員は明らかに向こうよりも人数が少ないのに、見ているだけで戦力を押していた。

対戦に参加するのは僕は今回が初めてだが、このトリックにはいつ見ても謎を深められるものだ。

…絶対に、人数が少なくて不利と言うかことが大抵なことだと思うのに、僕達の軍にそう言った概念はまるで存在していない様だった。

でも、これならBraveのことも心配はいらなさそう。

皆んなだけの力で、十分に守ってあげられそうだった。

僕はまだ隊員達の分担や立ち位置などを把握出来ていないが、本当にこれだけの人数で手が回ってしまうのには何度も驚かされてしまう。

…僕も、頑張らないとな。

隊員達を見ながら僕は更に気持ちを燃やし、

大佐と一緒に船内の入り口の方へと移動して行った。

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