第4話 回復
「よう」
「どうも」
最近私は黒部君ともしゃべる様になった。
「お前、感情ちょっと戻ってねえか?」
「そう?」
「あぁ、話し方が棒読みじゃなくなってる」
確かにあるかもしれない。この間、同じことをくるみちゃんにも言われた。
「まぁ、治ることに損はないからいいんじゃない?」
「嬉しくないのか?」
嬉しいかどうかね、、、
「感情がないのだからわからないのよ」
感情が戻ってきているのは、両親との暮らしを離れてしばらく経っている、と言うのもあるだろう。
「くるみちゃんがそろそろ定期検査に行かせようか迷ってたぞ」
くるみちゃんはこの間紹介した。くるみちゃんの周りの色が珍しく変わってたな。ピンク色に。
ピンク色は好意の気持ちだ。
「行くのかな……めんどくさい」
「行っといてもいいんじゃねえの?そんはねえだろ」
「そうだけど」
何と言ったってめんどくさい。家で寝たい。
そういえばめんどくさいって思うようになったのも、くるみちゃんと出会ってからだな。
* * *
結局この日、検査に行くことになった。
病院に着くとそこには————
「あれ?影井じゃん」
「誰?知り合い?」
「あぁ、ちょっとな」
黒部と男の人が夕さんと話していた。青色の悲しそうな色の人だ。
「こいつは「あ!お兄さん!」え?知ってるのか?」
「久しぶりだね」
くるみちゃんは面識があるみたいだった。
「お兄さんは前に話した、私を励ましてくれたお姉さんの彼氏だった人だよ」
「へぇ、初めまして。影井結菜です。よろしくお願いします」
「僕の名前は三宅優。よろしくね」
「ちなみに僕はそのお姉さんの父親だね。世間というのは意外と狭いものだね」
* * *
検査の結果は、少し回復の兆しありということだった。
「これは驚いたな。こんなに早く変わるとは」
「珍しいことなんですか?」
「あぁ、少なくとも僕の人生の中で一番早いよ」
そうなのか。くるみちゃんも喜んでるしいいことなのだろう。
「今日は二人はどうするんだい?」
「このまま帰ろうと思ってます」
早く寝たいし
「そうか。気をつけてね」
夕さん、今日は色が濁ってたな。
「お、二人も帰りか?」
病院の玄関ホールで先輩二人と会った。
「はい!そういえば今日はお姉さんの命日でしたっけ」
「うん、そうだね」
だから夕さんの色が濁ってたのか。優さんの色は暖かいオレンジ色になっている。
「優さんは彼女さんが亡くなった時、どうやって立ち直ったんですか?」
「僕は……そうだね。夢かな」
夢?
「どう言うことですか?」
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