第136話 ファーストコンタクト
「あり得ない」
スーツの男は、冷や汗をかき、立ち眩みで膝から崩れ落ちた。
闘技場の選手を借り、この無様な結果は自身の命と直結している事は裏に生きる者なら容易に想像出来るからだ。
負けたとしても、それなりの情報を引き出せないと話にはならない、彼の目的は勝利よりも、偵察と情報収集だからだ。
その彼の胸ポケットから着信が鳴り響く。
恐る恐る通話にし、二言程度話した後に、スピーカーにし、麗奈達の方向に向ける。
スピーカーから、大人の女性の声が聞こえる。
「こんにちは、初めまして、私は、『マダム』」
マダムと名乗る電話越しの相手に、釣り針が引っ掛ったと確信し、麗奈な笑みを浮かべる。
「『初めまして』って、そっちからは見えてるかもだけど、こっちからは、見えてないんだけど、話すなら顔見て話ししない」
電話越しに、マダムの柔らかなにもハッキリと断わりを入れる。
「残念だけど、今は無理よ、私も忙しいから、会いに来てくれたら、話はできるけど、どう、天上院麗奈さん、修羅陸さん、真田剣之介さん」
「俺たちの事もしっかり調べられてるみたいだな」
陸は、面白くないと言う感じで、間に入る。
「流石に、大谷はノーマークみたいだがな」
真田は嬉しそうに茶々を入れるが、そんな2人を麗奈は制止する。
無駄口を叩く暇はない。
「もちらん、会って話がしたい、で、何処に行けば良いのかしら」
「場所は、この彼に案内させるから心配しないで、彼の名はNo.18、大丈夫悪いようにはしないから」
優しく穏やかな話し声だが、麗奈、陸、真田には油断はなかった、何故なら、No.18と呼ばれる男の先程の狼狽ぶりを見れば、このマダムが只者じゃない事は容易に想像出来るからだ。
「さて、やっとで本番って感じだな」
陸は、手の平と拳を合わせ気合いをいれる。
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