第130話 チンピラ達と。

 晴れたベトナム、舗装されていない道を走る、陸一行の乗ったタクシーは、開けた場所で急に車では停まった。


 麗奈はつぶっていた目の片方を開けて、状況を確認する。


 運転手はタクシーのドアを開けて下りるように促す、陸達は特に抵抗する事なく車から降りた、大谷だけは状況を理解していなかった。


 タクシーの運転手は、母国語で何か訴えているが、理解しているのは麗奈だけであった。


 「『ホテルのある市街に行きたいならもっとお金を渡せ』ってさ」


 麗奈はそれを伝えると、真田と陸は鼻で笑った、そのタイミングで草むらの影から10名ほど男達が凶器をもって近寄ってくる。


 「こいらは、『裏』の人間ですかね」

 「うーん、違うんじゃないかな、でも、小さい魚でも餌にはなるんじゃないかな」


 陸は麗奈に確認したが、麗奈は否定した、しかし、この展開は読めている感じであせりはなかった。


 「みんなは、武器持っている相手は大丈夫だよね?」

 お金を出すつもりはない、麗奈は、一同に確認する。



 陸は真田は、 問題ないと言った感じだ。

 「武器を持った相手には手加減は出来ない」

 「剣客が武器を恐れる理由はないだろ」


 大谷だけは、まじかよといった感じで2歩、3歩後退りする。


 「先手必勝」


 麗奈は一気に間合いを詰め、集団の中に入り込む、虚を疲れた男達に、素早いジャブを顔面に叩き込む、一瞬で3名の男が怯んだ。


 麗奈は、その1人に右のハイキックを繰り出す。


 喰らった相手は糸の切れた人形のように前のめりに倒れ込む。


 麗奈の横から鉄パイプを持った男が右から左に払うように棒を振る。

 もちろん、麗奈にカスリもしない、ダッキングで躱し、左のローキックで動きを止め、右ストレートで意識を断ち切る。



 瞬く間に2人を倒した麗奈を前に今度はチンピラ達が後退りする。


 麗奈とチンピラの間に、真田と陸が立ちふさがる。


 「俺達も楽しませてもらおうか」

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