第128話 灰色の男
急に会話に、入ってきた男に警戒する、真田、大谷、しかし、男はその緊張感を意に介す事なく、話を続けた。
「そっちが、大谷だよな、少し表に出ろ、話がある」
大谷は黙って動かない、自分と相手の戦力を考えていたが、体格や筋肉量をみてもとてもじゃないが、勝てないとわかった、真田と2人ならと思ったが真田が力を貸すとも思えない。
動かない大谷を見て男は困った様子を見せる。
「なるべく、ひと目につかないところでやれと言われている、ここじゃ出来ない、外にでてくれ」
「残念だが、食事を待ってる、その間外でまっててくれ、こちらの要件が先だ」
真田はそう言うと外に出るように促す。
男は一つ思案し、待つことを決める、しかし、待つのは外ではなく同じテーブルで。
「俺みたいのが、外に突っ立ってくとすぐ職質されるから、ここで待つ、俺も飯くっていいか」
どんな神経してるんだと2人が思っていると、男は2人にたずねる。
「支払いは、そっち持ちでいいか」
「なんでだよ、自分で払え」
大谷は思わずツッコむ。
「いや待てよ、俺が払っても、後からお前を潰ボコボコにした後に財布からお金取るから、お前支払いって考え方も出来るな」
フランクな感じだが、やはり大谷を狙ってきた刺客とその言動から2人は理解できた。
「飯食ったら逃げるなよ、俺は依頼を受けて来た抵抗してもよいけど、俺は強いから、無駄だぞ」
真田は、その話を聞き携帯を取り出し、何処かは電話をする。
男はメニューをじっと見ている、蛇田ならこの隙に頭をかち割るんだろうな、大谷はそんな事を考えていたが、自分から口火を切る気にはなれなかったし、もし、組の人間なら余計トラブルが大きくなるだけだ、大谷はまぁ仕方ないと半分諦めた。
真田が電話を切り暫くすると、今度は男の携帯に着信の連絡がはいる。
男はゆっくり電話をとる。
「はい、一之瀬」
男の名が一之瀬だと、真田と大谷は知る。
「はい、ええ、もう目の前にいますが、飯食ったらボコボコにしますよ、えっ、もういいって、そりゃー、俺も動いてるんですから、タダ働きってのは、キャンセル料くらいは下さいよ」
一之瀬は、急に予定変更に困惑しつつも、少しばかりお金が入る事に納得したのか、電話を切る。
真田は、天上院に連絡し裏から手を回して、大谷の件を中止してもらったのだ。
勿論、一之瀬はそんな事はしらない。
「運が良かったな」
そう言って一之瀬は、席を立つ、真田は食べていかないのかと誘うと、お金も入らないなら、カップラーメンでも買って買えると伝えた。
一之瀬と真田は、また、お互いに出会う事はないと思っていたが、意外な形で再開を果たす事となる。
それは、バベルのトーナメントの会見の席、この時はまだ、一之瀬の参戦は決まってはいない。
「借りが出来たな」
大谷はある程度察していたのか、真田に礼を言う。
「構わんよ、さて、さっそく借りを返してもらおうかな」
真田は、笑顔で交渉を再開する。
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