第126話 嵐の前

 (たいした事はなかったな、ルールの制限の下の試合なら修羅や古流系の武術には脅威はなしか、最もルールなしなら流石に私もやばかっただろうし)


 麗奈は、短い試合を終え落胆にも近い、感情でグローブを取ろうとしたが、その時に違和感を覚えた。


 拳が痺れている。


 力を入れている時には気づかなかったが、戦いが終わり自身の拳がダメージ程ではないが無傷でない事を知る。


 「防御打撃、陸の得意とするたたかいかただよ」


 阿修羅が麗奈に歩み寄る、同じ女性でここまで強い麗奈に阿修羅は少し興味が湧いた。


 「もし、これが裸拳であれば私の拳はタダではすまなかったという事か」


 麗奈の考えに、天上院は少し違う見解をのべる。

 「しかし、判定ありの一般的な試合なら圧倒的にお前の判定勝ちだ、打撃防御なんてものは、審判にはわからん」


 麗奈自身、陸の事を理解する。


 「流石といった所だが、やはり1人では危ない、私も同行する、相手は武器をもって襲ってくるかもしれないから、あと一人二人適任者をこっちで探す、それでいいよね、父さん」


 天上院は、やれやれといった感じで、了承する。


 「俺はある程度の対武器はしているが、天上院さんはどちらかと言うと表系の格闘家、大丈夫なんですか」


 そう言われれると、麗奈はニヤリと笑い、問題ない事を伝える。


 「さて、あとのメンツは私が探す、天外は天外でやることもあるだろうが、調整して後から連絡するから、その件だけは国内組で話をつけよう」


 そう言ってる勝手に場を収めた天上院は、足早に修羅家を後にする。


 嵐の前の静けさが阿修羅達を包みこんでいた。

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